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『さぁ? よく分かんねーけど、こいつがどうしてもって言うからさ。なんか面白れぇのかと思って、とりあえず横浜まで来たんだよ。暇だったしな』
そう、完全にすっとぼけたのだ。
ここに至るまで、一生懸命愛想を振りまいて“楽しい雰囲気”を作っていたのだが、そのすべてを否定されたようなものだ。
さすがの朝日も、思わず抗議の声を上げていた。
『いくら何でもこんなのヒドイよ、どうしてそんな事を言うんだ!? 涅槃は、僕の事を何だと思ってるんだよ?』
『はぁ? なんだよ、いきなり……』
『僕とデートするのがそんなに嫌なの? それとも、恐竜展に大人が行くのが恥ずかしいっていうの? どっちなんだよ!?』
実に尤もな、ストレートな朝日の言い分だったが、涅槃はこれに激高した。
悪友がニヤニヤと笑いながら『何だよお前ら、もしかして痴話喧嘩か?』と、揶揄したのも原因かもしれないし、初めて朝日が自分に対して反抗した事に驚いた所為かもしれないが。
とにかく涅槃は、次に最悪の行動に出た。
怒りのまま拳を振り上げて、朝日の側頭部を至近距離から思い切り殴りつけたのだ。
その衝撃に、朝日は後ろに吹っ飛んでいた。
『てめぇはグダグダうるせぇんだよ! 恋人ヅラもうぜぇし、第一キメーんだよ!』
さらに、そんな暴言まで浴びせた。
おおよそ、恋人に対してするような行いではない。
こんな目に遭ってようやく朝日は、涅槃は全く自分の事を好きでもないし愛してもいなかったのだという事を理解した。
『ね、涅槃……待って……』
頭を殴られたことで脳震盪が起こり、すぐに立ち上がることも出来ない。
呻き声を漏らしながら路上に蹲る朝日だったが、涅槃はそれを気にする様子もなく『せっかく横浜まで来たんだ、遊んでいこうぜ』と、悪友の肩を抱いて立ち去って行こうとした。
(――そんな、さっきまでは僕と楽しそうにお喋りしていたじゃないか)
そう、完全にすっとぼけたのだ。
ここに至るまで、一生懸命愛想を振りまいて“楽しい雰囲気”を作っていたのだが、そのすべてを否定されたようなものだ。
さすがの朝日も、思わず抗議の声を上げていた。
『いくら何でもこんなのヒドイよ、どうしてそんな事を言うんだ!? 涅槃は、僕の事を何だと思ってるんだよ?』
『はぁ? なんだよ、いきなり……』
『僕とデートするのがそんなに嫌なの? それとも、恐竜展に大人が行くのが恥ずかしいっていうの? どっちなんだよ!?』
実に尤もな、ストレートな朝日の言い分だったが、涅槃はこれに激高した。
悪友がニヤニヤと笑いながら『何だよお前ら、もしかして痴話喧嘩か?』と、揶揄したのも原因かもしれないし、初めて朝日が自分に対して反抗した事に驚いた所為かもしれないが。
とにかく涅槃は、次に最悪の行動に出た。
怒りのまま拳を振り上げて、朝日の側頭部を至近距離から思い切り殴りつけたのだ。
その衝撃に、朝日は後ろに吹っ飛んでいた。
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さらに、そんな暴言まで浴びせた。
おおよそ、恋人に対してするような行いではない。
こんな目に遭ってようやく朝日は、涅槃は全く自分の事を好きでもないし愛してもいなかったのだという事を理解した。
『ね、涅槃……待って……』
頭を殴られたことで脳震盪が起こり、すぐに立ち上がることも出来ない。
呻き声を漏らしながら路上に蹲る朝日だったが、涅槃はそれを気にする様子もなく『せっかく横浜まで来たんだ、遊んでいこうぜ』と、悪友の肩を抱いて立ち去って行こうとした。
(――そんな、さっきまでは僕と楽しそうにお喋りしていたじゃないか)
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