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「面白い顔ぉ? どこがだよ?」
その疑問に、朝日も首を傾げながら答える。
「さぁ? それを訊きたいのはこっちの方だよ。今まで面白い顔なんて言われたの、社長が始めてだし」
そうなのだ。
朝日の顔は特に美形というワケではないが、逆に不細工というワケでもない、極々ありふれた造りをしているのだ。
少し薄い眉に、二重の瞳。高くもなく低くもない普通の鼻筋に、ちょっとだけ厚い唇。
髪はサラサラのストレート。そして中肉中背で、平均的な日本人体系だ。
これのどこか『面白い顔』なのか、言われた朝日自身が全くもって分からない。
「とにかく、社長の眼には、僕はヘンな顔に映ってるらしいし。恭介が言うような事は全然無いよ」
「本当かよ? そんなこと言いつつ、裏で色々やり取りしてるんじゃないのか?」
「もう、しつこいな! それより、お前こそ、パーティーで僕が最初に受けた指示を――」
「ああ、横取りしたってヤツか」
思い切って問い質そうとした矢先に、恭介の方からあっさり自白してきた。
「インカムは俺も付けていたから、社長の指示はこっちにも聞こえてたわけだし。ミッションを達成すべく率先して行動するのは当たり前だろう?」
「でも、あれは僕に言った指示の筈だ」
「グズグズしている方が悪い。トクアンの成婚料は一件に付き10万、そこに国からも補助金が出るんだぞ? 率先して行動するのは社員として当たり前じゃないか」
理論整然と言われると、反論できない。
それに朝日の方も、別件で⑧のきよしと⑨のカオルを無事結びつけることが出来たので、痛み分けと言ってもいい状態だ。
(でも、その件が無かったら、僕は仕事を達成することが出来なかったダメ社員のレッテルを貼られていたかもしれないんだ。やっぱり恭介って、ズルいよな)
こうして二人きりで話したのは初めてだったが、今までは恭介の人となりは“真面目で優しいWebデザイナー”だと思っていた。
だがここに来て、その認識がガラガラと音を立てて崩れている。
(僕は、恭介とは同じ釜の飯を食った仲だと思っていたから、なんか裏切られた気分だな)
その疑問に、朝日も首を傾げながら答える。
「さぁ? それを訊きたいのはこっちの方だよ。今まで面白い顔なんて言われたの、社長が始めてだし」
そうなのだ。
朝日の顔は特に美形というワケではないが、逆に不細工というワケでもない、極々ありふれた造りをしているのだ。
少し薄い眉に、二重の瞳。高くもなく低くもない普通の鼻筋に、ちょっとだけ厚い唇。
髪はサラサラのストレート。そして中肉中背で、平均的な日本人体系だ。
これのどこか『面白い顔』なのか、言われた朝日自身が全くもって分からない。
「とにかく、社長の眼には、僕はヘンな顔に映ってるらしいし。恭介が言うような事は全然無いよ」
「本当かよ? そんなこと言いつつ、裏で色々やり取りしてるんじゃないのか?」
「もう、しつこいな! それより、お前こそ、パーティーで僕が最初に受けた指示を――」
「ああ、横取りしたってヤツか」
思い切って問い質そうとした矢先に、恭介の方からあっさり自白してきた。
「インカムは俺も付けていたから、社長の指示はこっちにも聞こえてたわけだし。ミッションを達成すべく率先して行動するのは当たり前だろう?」
「でも、あれは僕に言った指示の筈だ」
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理論整然と言われると、反論できない。
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(でも、その件が無かったら、僕は仕事を達成することが出来なかったダメ社員のレッテルを貼られていたかもしれないんだ。やっぱり恭介って、ズルいよな)
こうして二人きりで話したのは初めてだったが、今までは恭介の人となりは“真面目で優しいWebデザイナー”だと思っていた。
だがここに来て、その認識がガラガラと音を立てて崩れている。
(僕は、恭介とは同じ釜の飯を食った仲だと思っていたから、なんか裏切られた気分だな)
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