彼が恋した華の名は:3

亜衣藍

文字の大きさ
75 / 131
9 living hell

9-20

しおりを挟む
「待ちたまえ!」

「離せ」

「僕は、こうみえて52なんだよ。信じられないくらい若く見えるだろう?」

 突然『どうだ』と言わんばかりに自慢を始めた安蒜に、聖は目的が分からず首をかしげる。

(なんだ、こいつは?)

 しかし安蒜はそんな聖の反応にも頓着せずに、とっておきの口説き文句を言うように、胸を張って続けた。

「僕は心底、美しいものが好きなんだ。だから本業もファッションデザイナーだ。僕を取り囲むすべての物を、美で埋め尽くしたいと思っている」

「ファッションデザイナーが本業だと? 現在AHIRUのデザインは若手が担っているらしいじゃないか。あなたがメインで作っているのは服飾ではなく、金儲けの為のデザイナー・ベビーだろう? 体外受精は確かに違法ではないが、遺伝子を組み替えるような行為は法に抵触する可能性があるはずだ。ジンの為だと思ってここまで付き合ってやったが、オレは――」

 だが、聖のセリフが耳に入らないのか、安蒜は興奮した様子でベラベラと喋り続けた。

「醜くならぬよう細心の注意を払って常に美を追求しているから、僕はこれだけの若々しさを保って綺麗でいられるんだよ。君も、僕のようになりたくはないか? その麗しい美貌のまま、ずっと――」

「なんだ? オレに整形の斡旋をするつもりか?」

「っ!」

「あいにくと、オレはそういった話には興味ないんでね」

 鼻で嗤うと、聖は痛烈な皮肉を口にした。

「あんたみたいな整形モンスターになるなんざ、ごめんだね」

「なっ!!」

 サッと顔色を変える安蒜であるが、度重なる表情の変化は顔面にとって多大なストレスだったらしい。顔の右と左で、何ともアンバランスに顔が崩れる。

 まるでチック症のように頬を痙攣させると、安蒜は奇声を上げた。

「うるさい、うるさい――――!! 僕をバカにしたな!? 優しくしてやればいい気になって! この淫売がっ!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

一軍男子と兄弟になりました

しょうがやき
BL
親の再婚で一軍男子と兄弟になった、平凡男子の話。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

処理中です...