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4 Jealousy
4 Jealousy
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「せっかく、零も契約している大手のモデル事務所を紹介したのに。あいつ、なんでそっちに行かないでジュピタープロに来たんだ!? 」
ユウが怒るのも無理はない。
零の旧知だと名乗ってユウに近付いてきたジンは、ジュピタープロダクション社長であり、ユウの父親でもある御堂聖のゴシップを握っていると脅すような事を言い、そのデータの交換条件を『自分とモデル契約するようジュピタープロと交渉しろ』と言ってきたのだ。
ならば、モデル業界では新参者のジュピタープロダクションより、古くから幅を利かせて海外にも明るい大手モデル事務所の方が良いだろう。
そちらを紹介したなら、当然、ジンはジュピターではなくそっちの事務所を選ぶと思って、わざわざ手を回したというのに。
「そのこともムカつくけど、オレをスルーして、ちゃっかりとジュピタープロダクションに入り込んだ事もムカつく! なんであんな奴、聖さんは採用したんだ!?」
パソコンの画面に向かって不満をぶつけると、困惑したような声が返ってきた。
『う~ん。オレも、ジンとは子役モデルの時に何回か一緒の仕事をしただけで、あまり話すような親しい仲じゃなかったから分かりませんが……でも、ユウさんから聞いた人物像と、オレの知っているジンは随分と印象が違いますね』
「え? そうなのか?」
『はい。モデルは、本人と言うよりも母親の方が熱心で』
「ステージママってヤツか?」
『そうです。ジンは、モデルなんて嫌だ、パパと遊びたいのにってボヤいてました。でも、そんな仕草も可愛いと大人たちは皆メロメロでしたね』
「可愛い? あれが?」
『はい。子役モデルの頃のジンは、フワフワの栗色の髪をした、ふっくらリンゴほっぺの可愛い天使のような子でしたよ』
「……」
それは、本当に竹野仁なのか?
いや、零が言っているのはあくまで子役モデルだった頃の話だ。
人は時が経ては、誰でも変わる。
「――まぁ、わざわざお前に口利きしてもらったのに、無駄になって悪かったよ」
リモートにもかかわらず、ぺこりと律儀に頭を下げるユウへ、零は『とんでもない』と答えた。
『オレに出来る事なら何でも協力するので、遠慮なくどんどん言ってください。本当は、こんな形じゃなくて直接ユウさんの近くに行って、フォローしたかったんですが……』
画面越しに悄然と肩を落とす恋人へ、ユウはくすっと笑いながら語り掛ける。
「仕事が順調な証拠だから、それは仕方がないさ。それより、オーストラリアでの撮影はどうだ?」
『ええ、今のところは大きなトラブルも無くて、まずまずといった感じですね。でも、今日は天気がイマイチ悪くて――撮影が一日伸びそうです。さっさと終えて、早く日本に帰国したいのに』
「そんなに、オレに会いたいのか?」
『もちろんですよ! オレは毎日でも、ユウさんと一緒にいたいんですから』
悔しそうな顔をする零からは、嘘は感じられない。
そう、あの竹野仁から感じ取ったような、嘘の気配は。
(もう、オレが口を出すような話じゃなくなったけど……聖さん、本当に大丈夫かな?)
あんなヤツに惚れるわけがないと、自信たっぷりに振舞っていた聖を思い出し、ユウは小さな溜め息をつく。
(あの人は、自分の事をよく分かってないからな……)
◇
その三日後、予定通り赤坂の料亭での会食を終え、ゲストを見送った聖は、最後に店側が手配したハイヤーへと乗り込もうとしていた。
すると、
「おい!」
「?」
鋭い声に振り向くと、店員を押しのけて、物騒な雰囲気の男たちが近寄って来るところだった。
それを見て、聖は舌打ちをする。
事情を知っている真壁は別件での仕事があり、今夜は席を外している。
ユウが怒るのも無理はない。
零の旧知だと名乗ってユウに近付いてきたジンは、ジュピタープロダクション社長であり、ユウの父親でもある御堂聖のゴシップを握っていると脅すような事を言い、そのデータの交換条件を『自分とモデル契約するようジュピタープロと交渉しろ』と言ってきたのだ。
ならば、モデル業界では新参者のジュピタープロダクションより、古くから幅を利かせて海外にも明るい大手モデル事務所の方が良いだろう。
そちらを紹介したなら、当然、ジンはジュピターではなくそっちの事務所を選ぶと思って、わざわざ手を回したというのに。
「そのこともムカつくけど、オレをスルーして、ちゃっかりとジュピタープロダクションに入り込んだ事もムカつく! なんであんな奴、聖さんは採用したんだ!?」
パソコンの画面に向かって不満をぶつけると、困惑したような声が返ってきた。
『う~ん。オレも、ジンとは子役モデルの時に何回か一緒の仕事をしただけで、あまり話すような親しい仲じゃなかったから分かりませんが……でも、ユウさんから聞いた人物像と、オレの知っているジンは随分と印象が違いますね』
「え? そうなのか?」
『はい。モデルは、本人と言うよりも母親の方が熱心で』
「ステージママってヤツか?」
『そうです。ジンは、モデルなんて嫌だ、パパと遊びたいのにってボヤいてました。でも、そんな仕草も可愛いと大人たちは皆メロメロでしたね』
「可愛い? あれが?」
『はい。子役モデルの頃のジンは、フワフワの栗色の髪をした、ふっくらリンゴほっぺの可愛い天使のような子でしたよ』
「……」
それは、本当に竹野仁なのか?
いや、零が言っているのはあくまで子役モデルだった頃の話だ。
人は時が経ては、誰でも変わる。
「――まぁ、わざわざお前に口利きしてもらったのに、無駄になって悪かったよ」
リモートにもかかわらず、ぺこりと律儀に頭を下げるユウへ、零は『とんでもない』と答えた。
『オレに出来る事なら何でも協力するので、遠慮なくどんどん言ってください。本当は、こんな形じゃなくて直接ユウさんの近くに行って、フォローしたかったんですが……』
画面越しに悄然と肩を落とす恋人へ、ユウはくすっと笑いながら語り掛ける。
「仕事が順調な証拠だから、それは仕方がないさ。それより、オーストラリアでの撮影はどうだ?」
『ええ、今のところは大きなトラブルも無くて、まずまずといった感じですね。でも、今日は天気がイマイチ悪くて――撮影が一日伸びそうです。さっさと終えて、早く日本に帰国したいのに』
「そんなに、オレに会いたいのか?」
『もちろんですよ! オレは毎日でも、ユウさんと一緒にいたいんですから』
悔しそうな顔をする零からは、嘘は感じられない。
そう、あの竹野仁から感じ取ったような、嘘の気配は。
(もう、オレが口を出すような話じゃなくなったけど……聖さん、本当に大丈夫かな?)
あんなヤツに惚れるわけがないと、自信たっぷりに振舞っていた聖を思い出し、ユウは小さな溜め息をつく。
(あの人は、自分の事をよく分かってないからな……)
◇
その三日後、予定通り赤坂の料亭での会食を終え、ゲストを見送った聖は、最後に店側が手配したハイヤーへと乗り込もうとしていた。
すると、
「おい!」
「?」
鋭い声に振り向くと、店員を押しのけて、物騒な雰囲気の男たちが近寄って来るところだった。
それを見て、聖は舌打ちをする。
事情を知っている真壁は別件での仕事があり、今夜は席を外している。
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