51 / 90
10
Poisonous flower
しおりを挟む
「それは――」
青菱寅之助と、愛人契約のようなものがあったのは……本当の事だ。
一時はそれが原因で、史郎とも拗れて別れた。
しかしアレは、元々青菱の跡目争いのイザコザにこっちが巻き込まれてしまっただけの話で、聖の責任ではない。
その事を、どう説明すれば一夏に分かってもらえるのか?
「一夏……」
「軽々しく、オレの名前を口にするんじゃねーよ!!」
一夏はそう言うと、聖に再度命令する。
「脱げよ、全部だ」
「――」
「オレは、確かめたいんだ。あんたのどこに、親父や死んだ爺さんを惹きつけただけの魅力があるのかを。オレには、その権利があるハズだ」
そう言われては、聖には反論することが出来ない。
静かに上着を脱ぎ、シャツの前を開く。そうして、下のスラックスも脱ぎ捨てる。
下着姿になったところで視線を向けると、一夏はその先を促すように顎をしゃくった。
「……言ったろう、全部だ」
その命令に、聖は溜め息を一つ付いて、最後に残っていた一枚を足から抜いた。
煌々と灯る明かりの下で、一糸まとわぬ姿になる。
――――息を呑むほどに美しいが、その裸体は決して女性的ではない。
一見すると華奢そうに見えるが、筋肉はバランスよく全身に付いており、ひ弱な肉体ではない事が分かる。
乳白色に輝く肌、ぽつっと立っている可憐な桜色の両乳首。滑らかな腹筋を辿り――その下には、柔らかそうな和毛から覗いている緋色の雄芯。
一夏は、それを目の当たりにして呻くような声をもらす。
造形は、基本的に自分と同じだ。
だが己の身体は、こんなに綺麗な色をしていない。陶器のように滑らかな肌でもない。
やはり、目の前の男は、自分とは違う生き物のようにしか見えない。
そこで、一夏は悟った。
――――御堂聖という男は、綺麗で美しい、ハンターを虜にする無二の美獣なのだと。
その背中に咲き誇る紅い華も、桃源に誘う淫らな花のように濡れ光って見える。
――――綺麗だ。
一夏は無意識にそう思うと、同時に、自分の雄の本能が激しく刺激されるのを感じ取った。
ただ聖の裸体を鑑賞しているだけなのに、己の下っ腹に集中する熱を自覚する。
確かめるまでもなく、相当勃起しているのを悟る。
前が、かなりキツイ。
最初の計画では、裸になった聖を指差して罵り、嘲笑ってやるつもりだった。
『オカマのオッサンなんか、気味が悪いだけじゃないか。傾国だなんだと持ち上げられて勘違いしてんじゃねーよ、この変態野郎』と。
だが、この淫らな美獣を前にしては、そんな虚勢を張る事は不可能だった。
(くそっ! こんなんじゃ、強がり言うだけこっちが惨めだぜっ)
一夏はクッと唇を噛みながら、履いていたジーパンのファスナーへ手を掛け、それをゆっくりと下げる。
すると“ブルン”と音を立てそうな勢いで、一夏の若い雄芯は飛び出してきた。
灯りを煌々と点けていたのは大きな間違いだった。
醜態をさらしたのは、一夏の方だ。
男のヌードに興奮して、激しく勃起したチ〇ポを白日の下へ晒すことになってしまったのだから。
羞恥で顔を真っ赤にして、一夏はガタっと立ち上がる。
「こうなったのは……あ、あんたの所為だからな! 責任持って、親父にやったように、ここに跪いてオレのをしゃぶれよ!!」
突然の逆切れに、聖は戸惑いの声を上げる。
「え? しかし――」
「やれ!」
有無を言わぬ口調で命令すると、一夏はその場で仁王立ちになった。
聖は溜め息をつきながら、そっと壁へ手を伸ばし、部屋の明かりを小さく絞る。
それは多分、一夏のプライドを考慮した優しさに他ならない。
そうして、聖は小さく呟いた。
「――――お前、もしかして……オレのような男は初めてか?」
青菱寅之助と、愛人契約のようなものがあったのは……本当の事だ。
一時はそれが原因で、史郎とも拗れて別れた。
しかしアレは、元々青菱の跡目争いのイザコザにこっちが巻き込まれてしまっただけの話で、聖の責任ではない。
その事を、どう説明すれば一夏に分かってもらえるのか?
「一夏……」
「軽々しく、オレの名前を口にするんじゃねーよ!!」
一夏はそう言うと、聖に再度命令する。
「脱げよ、全部だ」
「――」
「オレは、確かめたいんだ。あんたのどこに、親父や死んだ爺さんを惹きつけただけの魅力があるのかを。オレには、その権利があるハズだ」
そう言われては、聖には反論することが出来ない。
静かに上着を脱ぎ、シャツの前を開く。そうして、下のスラックスも脱ぎ捨てる。
下着姿になったところで視線を向けると、一夏はその先を促すように顎をしゃくった。
「……言ったろう、全部だ」
その命令に、聖は溜め息を一つ付いて、最後に残っていた一枚を足から抜いた。
煌々と灯る明かりの下で、一糸まとわぬ姿になる。
――――息を呑むほどに美しいが、その裸体は決して女性的ではない。
一見すると華奢そうに見えるが、筋肉はバランスよく全身に付いており、ひ弱な肉体ではない事が分かる。
乳白色に輝く肌、ぽつっと立っている可憐な桜色の両乳首。滑らかな腹筋を辿り――その下には、柔らかそうな和毛から覗いている緋色の雄芯。
一夏は、それを目の当たりにして呻くような声をもらす。
造形は、基本的に自分と同じだ。
だが己の身体は、こんなに綺麗な色をしていない。陶器のように滑らかな肌でもない。
やはり、目の前の男は、自分とは違う生き物のようにしか見えない。
そこで、一夏は悟った。
――――御堂聖という男は、綺麗で美しい、ハンターを虜にする無二の美獣なのだと。
その背中に咲き誇る紅い華も、桃源に誘う淫らな花のように濡れ光って見える。
――――綺麗だ。
一夏は無意識にそう思うと、同時に、自分の雄の本能が激しく刺激されるのを感じ取った。
ただ聖の裸体を鑑賞しているだけなのに、己の下っ腹に集中する熱を自覚する。
確かめるまでもなく、相当勃起しているのを悟る。
前が、かなりキツイ。
最初の計画では、裸になった聖を指差して罵り、嘲笑ってやるつもりだった。
『オカマのオッサンなんか、気味が悪いだけじゃないか。傾国だなんだと持ち上げられて勘違いしてんじゃねーよ、この変態野郎』と。
だが、この淫らな美獣を前にしては、そんな虚勢を張る事は不可能だった。
(くそっ! こんなんじゃ、強がり言うだけこっちが惨めだぜっ)
一夏はクッと唇を噛みながら、履いていたジーパンのファスナーへ手を掛け、それをゆっくりと下げる。
すると“ブルン”と音を立てそうな勢いで、一夏の若い雄芯は飛び出してきた。
灯りを煌々と点けていたのは大きな間違いだった。
醜態をさらしたのは、一夏の方だ。
男のヌードに興奮して、激しく勃起したチ〇ポを白日の下へ晒すことになってしまったのだから。
羞恥で顔を真っ赤にして、一夏はガタっと立ち上がる。
「こうなったのは……あ、あんたの所為だからな! 責任持って、親父にやったように、ここに跪いてオレのをしゃぶれよ!!」
突然の逆切れに、聖は戸惑いの声を上げる。
「え? しかし――」
「やれ!」
有無を言わぬ口調で命令すると、一夏はその場で仁王立ちになった。
聖は溜め息をつきながら、そっと壁へ手を伸ばし、部屋の明かりを小さく絞る。
それは多分、一夏のプライドを考慮した優しさに他ならない。
そうして、聖は小さく呟いた。
「――――お前、もしかして……オレのような男は初めてか?」
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
幸せな復讐
志生帆 海
BL
お前の結婚式前夜……僕たちは最後の儀式のように身体を重ねた。
明日から別々の人生を歩むことを受け入れたのは、僕の方だった。
だから最後に一生忘れない程、激しく深く抱き合ったことを後悔していない。
でも僕はこれからどうやって生きて行けばいい。
君に捨てられた僕の恋の行方は……
それぞれの新生活を意識して書きました。
よろしくお願いします。
fujossyさんの新生活コンテスト応募作品の転載です。
狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
羽村美海
恋愛
古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。
とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。
そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー
住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……?
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
✧天澤美桜•20歳✧
古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様
✧九條 尊•30歳✧
誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
*西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨
※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。
※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。
※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。
✧
✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧
✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧
【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!
怠け狐に傾国の美女とか無理ですから! 妖狐後宮演義
福留しゅん
キャラ文芸
旧題:怠狐演義 ~傾国の美女として国を破滅させるなんて無理ですから!~
「今すぐ地上に行って国を滅ぼしてこい」「はい?」
従属神の末喜はいつものようにお日様の下で菓子をかじりながら怠惰を貪っていたら、突如主人である創造母神から無茶ふりをされて次の日には出発するはめになる。ところが地上に降り立ったところを青年に見られてその青年、滅ぼすべき夏国の皇太子・癸と縁が出来てしまう。後宮入りして傾国の女狐として国を滅ぼす算段を立てていくも、何かと癸と関わるようになってしまい、夏国滅亡計画はあらぬ方向へいくことになる。
「愛しの末喜よ。そなたを俺の后に」「どうしてそうなるんですか!?」
※完結済み
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない
すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。
実の親子による禁断の関係です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる