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Good-bye, days dear
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『傾国の美女』
それはまさに、聖の事を指し示すような徒花の名であった。
この華麗な花に囚われた者は、実に数多い。
そしてここに、白子豪という新たな犠牲者が誕生しようとしていた。
子豪は、未だ聖に囚われた自覚も無いまま、己の優位を信じているのだろう。
着衣のままキングサイズのベッドに座ってふんぞり返り、依然として立ったままの聖を、横柄な態度で睥睨する。
「――ミドー・ヒジリと言ったか? 日本鬼子の分際で、お前はこの私に媚びを売って甘い汁を吸いたいのだろう? だったら、それなりの態度を取るんだな」
(※日本鬼子=日本人に対する蔑称)
絶対的な権力と、はち切れんばかりの若さと自信に支えられ、子豪は、聖に向かって更に嘲笑の言葉を投げ掛けようとした。
だがそれは、強制的に終了させられる。
聖がそれまで履いていた靴をパッと抜き捨てたかと思ったら、その足のまま、ふんぞり返っていた子豪の股間をギュッと踏んだからだ。
「っ!」
「オレが、何だって?」
「何をする! わ、私は白家の正当なる血族である、子豪――」
「お坊ちゃん、お喋りがしたいのか?」
聖は子豪の長話をフンと鼻で笑い飛ばし、足の指を巧みに動かす。
自在に蠢く指と絶妙な圧迫感に、たちまち子豪の股間は膨れ上がった。
「やややや、やめろっ!」
子豪は慌てふためき、ベッドから飛び降りようとする。
だが、聖はその動きを牽制するように、自身の膝を子豪の足の間へトンと置いたかと思ったら、次にグッと上体を屈めた。
こうなると、当然相手は身動きが取れない。
子豪の上に覆いかぶさるような姿勢になると、その超至近距離で、聖は微笑みを浮かべた。
「お前は、オレが欲しいんだろう?」
「うっ……な、生意気な……」
聖の指摘に、子豪はあからさまに動揺したように言い淀む。
「私は、お前のような――に、日本人なんかとは――」
「違うっていうなら、オレはこのまま帰るだけだ」
聖はあっさり言うと、子豪に覆いかぶさるようにしていた上体を浮かして身を翻そうとした。
子豪は咄嗟に、その腕を掴む。
「まて!」
「……何か、まだ用があるとでも?」
背中越しに振り返り、二ッと笑う。
蠱惑に満ちた婀娜なその笑みは、まさに人心を惑わす毒の華。
既に囚われていた子豪には、もう逃れるすべはない。
「わ、私に――お前は要求したい事があるんだろう? 私なら、大抵のことは叶えられるぞ。言いたい事があるなら聞いてやるから、口に出してみろ」
あくまで、まだ自分が優位だと言いたい様子だ。
聖はふと視線を外すと、掴まれていた腕に、片方の手を這わる。
「子豪、痛いんだが」
「っ! す、すまないっ」
慌てて手を離した子豪に向かい、逆に聖は手を差し伸べた。
「なぁ、子豪」
「う……」
「――あんたの方が、オレに傅いて願う事があるんじゃないのかい?」
「なっ!」
「『我需要你』だろ?」
両腕を子豪の背中へ回し、その耳元で囁く。
子豪はわなわなと震えていたが、それは怒りの為ではない。
抑えきれない興奮に息を荒くしながら、欲望の炎に瞳を燃やして、口を開く。
「この――贱人が!」
そう吐き捨てるように言うと、子豪は聖の纏っていた着衣を引き裂いた。
それはまさに、聖の事を指し示すような徒花の名であった。
この華麗な花に囚われた者は、実に数多い。
そしてここに、白子豪という新たな犠牲者が誕生しようとしていた。
子豪は、未だ聖に囚われた自覚も無いまま、己の優位を信じているのだろう。
着衣のままキングサイズのベッドに座ってふんぞり返り、依然として立ったままの聖を、横柄な態度で睥睨する。
「――ミドー・ヒジリと言ったか? 日本鬼子の分際で、お前はこの私に媚びを売って甘い汁を吸いたいのだろう? だったら、それなりの態度を取るんだな」
(※日本鬼子=日本人に対する蔑称)
絶対的な権力と、はち切れんばかりの若さと自信に支えられ、子豪は、聖に向かって更に嘲笑の言葉を投げ掛けようとした。
だがそれは、強制的に終了させられる。
聖がそれまで履いていた靴をパッと抜き捨てたかと思ったら、その足のまま、ふんぞり返っていた子豪の股間をギュッと踏んだからだ。
「っ!」
「オレが、何だって?」
「何をする! わ、私は白家の正当なる血族である、子豪――」
「お坊ちゃん、お喋りがしたいのか?」
聖は子豪の長話をフンと鼻で笑い飛ばし、足の指を巧みに動かす。
自在に蠢く指と絶妙な圧迫感に、たちまち子豪の股間は膨れ上がった。
「やややや、やめろっ!」
子豪は慌てふためき、ベッドから飛び降りようとする。
だが、聖はその動きを牽制するように、自身の膝を子豪の足の間へトンと置いたかと思ったら、次にグッと上体を屈めた。
こうなると、当然相手は身動きが取れない。
子豪の上に覆いかぶさるような姿勢になると、その超至近距離で、聖は微笑みを浮かべた。
「お前は、オレが欲しいんだろう?」
「うっ……な、生意気な……」
聖の指摘に、子豪はあからさまに動揺したように言い淀む。
「私は、お前のような――に、日本人なんかとは――」
「違うっていうなら、オレはこのまま帰るだけだ」
聖はあっさり言うと、子豪に覆いかぶさるようにしていた上体を浮かして身を翻そうとした。
子豪は咄嗟に、その腕を掴む。
「まて!」
「……何か、まだ用があるとでも?」
背中越しに振り返り、二ッと笑う。
蠱惑に満ちた婀娜なその笑みは、まさに人心を惑わす毒の華。
既に囚われていた子豪には、もう逃れるすべはない。
「わ、私に――お前は要求したい事があるんだろう? 私なら、大抵のことは叶えられるぞ。言いたい事があるなら聞いてやるから、口に出してみろ」
あくまで、まだ自分が優位だと言いたい様子だ。
聖はふと視線を外すと、掴まれていた腕に、片方の手を這わる。
「子豪、痛いんだが」
「っ! す、すまないっ」
慌てて手を離した子豪に向かい、逆に聖は手を差し伸べた。
「なぁ、子豪」
「う……」
「――あんたの方が、オレに傅いて願う事があるんじゃないのかい?」
「なっ!」
「『我需要你』だろ?」
両腕を子豪の背中へ回し、その耳元で囁く。
子豪はわなわなと震えていたが、それは怒りの為ではない。
抑えきれない興奮に息を荒くしながら、欲望の炎に瞳を燃やして、口を開く。
「この――贱人が!」
そう吐き捨てるように言うと、子豪は聖の纏っていた着衣を引き裂いた。
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