彼が恋した華の名は:2

亜衣藍

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LOVE

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 自分以外のモノを、こんな至近距離で観るなんて初めての事だ。

 その所為か、興奮よりも気後れする気持ちの方が先に立ってしてしまい、結果、それはダイレクトに誉の身体に現れた。

 たった今まで、ギンギンに勃起していた男根は、自信なさげに首を垂れてしまったのだ。

 その様子を視野に入れると、聖はフッと吐息をもらした。

「――どうやら、ダメのようだな」

「そ、そんな事はっ!」

 これは、未知の行為に気後れしてしまっただけの、一時的な現象だ。

 テクニックも何も無いままで、ちゃんとこの美しい男を満足させ、最後まで抱くことが出来るのだろうかと戸惑ったに過ぎない。

 第一、これ程魅力に溢れた獲物を前にして、男としてここで撤退するなどあり得ない。

「オレは女相手なら結構経験あるが、男とはヤッた事がないんだ。だから、どうすればいいのか分からなくて――――でも、ここで終わりにはしないでくれ!」

 縋り付くような必死の形相になる誉に、聖は苦笑した。

「ま、男が初めてじゃあ、たしかに仕方がないか。それなら……後ろからはどうだ?」

 そう言うと、聖はベッドの上で身体の姿勢を変えた。

 うつ伏せになった背中には、目にも鮮やかな紅の華が咲き誇っている。

「え――」

 誉はその背中を目の当たりにして、言葉を失った。

 そういえば、誰かが言っていた。

 ジュピタープロダクションは元々ヤクザが経営する会社で、社長もヤクザ者なんだと。

 今まで、そんなのは芸能界に有りがちな与太話だと気にも留めていなかったが、白い背中に彫られたこの見事な刺青を見ては――――。

「あ、あんた……マジでヤクザだったのか……」

 ますます委縮する誉を、聖は背中越しに見遣る。

「それは昔の話だ。今は立派なカタギだよ。この背中もついでに綺麗にしようかと思ったが――ファンが多くてね」

(ファン)

 その言葉に、誉の中で火が点いた。

 この美しい獣を日夜でているであろう数多の男に、嫉妬心が燃え上がる。

「くそっ」

 誉は悔し気に舌打ちすると、いきなり白い尻を鷲掴みにした。

 そのまま尻肉を揉みしだき、左右へと割り開く。

 突然、日頃秘められた場所を暴かれ、聖は呻くような声を上げた。

「うぅ……」

 触れる外気に、ヒクリと後孔が反応する。

 緋色に染まったそこは、しっとりと艶やかに潤んでいた。

 誉はそれを目の当たりにした瞬間、興奮の頂点に急浮上する。それまで項垂れていた男根も一気によみがえり、再び天を突いた。

 何か気の利いたピロートークや恋の駆け引きでもする場面だろうが、誉にはもうそんな余裕などない。

 獣のように荒い息を吐きながら、己の雄を、臥せったままの聖の後孔へと突き刺した。

 前戯も何も無い状態でのこの行為は、正直言ってかなりの苦痛だ。

 しかし幸いにも、ここしばらく接待・・が続いていた為に、後孔は柔らかく蕩けた状態であった。

(やれやれ。もっとあれこれ命令して、ゆっくり楽しむつもりだったが……そんな余裕はない、か)

 内心で苦笑しつつ、甘い息を吐く。

(これが若さか……)

 誉の眩しいばかりの熱情に感化して、聖の息も上がる。

「あ、あ、あぁ……!」

「くそ、くそっ! どうしてこんなにイイんだっ」

 まさか自分が、アナルファックを――――しかも男相手にする事になるとは。

 数時間前までは、オーディションでの不快な出来事に不貞腐れて、バイト先のバーで接客していたというのに。

 そこに現れた夢のように美しい男が、ジュピタープロの社長だと気付き……もはや因縁に近い形で絡んだのだが。

 この急転直下の展開に、果たしてこれは現実なのかと眩暈めまいがしそうだ。

 パンパンと尻を打ち付け、激しく腰を振る。

 女陰とは全く違う、この後孔の締め付けは未体験だ。
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