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LOVE
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だが、男達は必ずと言っていい程に、揃いもそろって聖が本当に達するまで淫行を止めてはくれないのだ。
女ならば感じたフリも通用するだろうが、極まっているかどうかがダイレクトに反映される男の身では、もはやそれは拷問だった。
色の無くなった透明に近い汁を滴らせ、泣くような声を上げて潮を噴いたところで、ようやく聖は解放された。
こういう風に、余裕もなく純粋に求められるのは久しぶりだ。
「お前は――もしかして、男は初めてか?」
ふと問い掛けると、誉は迷った末に頷いた。
「仲間からは……何事も経験だって誘われたが、そういう気分にはなれなかった。男なんて冗談じゃねーって……あっ」
その『男』を前にして、今のは失言だった思ったらしい。
誉は困ったような顔になると、おずおずと聖へ手を伸ばした。
「……でも、あんたは違う。噂では、とんでもない怖い美人が社長だって聞いてたが……まさかそれが、本当だったなんて夢にも思ってなかった」
「怖い美人?」
「ああ。都市伝説みたいなもんだな。傾国の美女だとか、笑わないかぐや姫だとか――相手は男だろうに、何を言ってんだろうって鼻で笑ってバカにしてたよ」
だがそれは、真実だった。
御堂聖は、とうに四十を超えていると聞いていたのだが、とてもそうは見えない。
夢幻の谷間で漂う天女のように、不思議な魅力に溢れている。
眼前のこの肉体ならば、数多の男を狂わせたという噂話は全て本当の事だったんだろうと、文句なしに頷くことが出来る。
現に、誉の男根は衰える暇もなく、再び屹立していた。
若さの塊のような誉を前に、今度は聖の方が困ったような顔になった。
「そうか……経験もないのに、いきなり誘われても戸惑うだろうな。悪かった」
誉はそれを、この後に至る行為の終了を宣言されたのかと思ったらしい。
即座に慌てた様子で、必死の形相になって取り縋ってきた。
「まってくれ! オレはまだヤリてぇ!!」
素直な言葉に、聖の心が揺れた。
「それじゃあ……オレの言う通りにしてみろ」
「え? 」
「指示するから、その通りに行動しろって言ってんのさ」
嫣然と微笑むと、聖は両手を広げた。
「さぁ、オレを抱き上げて、ベッドルームへ運んでくれ」
「わ、わかった」
誉は即座に頷くと、聖の背中へ腕を回して抱き上げる。
ピッタリと密着する芳しい肉体に、誉の鼓動がドンドンと早鐘を打つ。
素直に反応する若い身体に感化されたように、聖も胸が高鳴る。
間接照明が灯るベッドルームへ到着すると、誉は最上級の美術品を扱うかのような丁寧な仕草で、聖をベッドの上へと降ろす。
そこで聖は、己の身体に纏わりついてたバスローブを完全に脱ぎ去り、ばさりと床へと放った。
隠すものを失った裸体が、白いシーツの上で花開く。
興奮を抑えきれない様子の誉に、聖は「待て」をする飼い主の如く命じた。
「まずは、ここにキスしてもらおうか」
差し出したのは、引き締まった白い脚だ。
「出来るか?」
試すように言うと、誉はそのセリフが終る前に足先へ喰らいついていた。
桜貝のような爪に舌を這わせ、指の股もこそぎ取るようにねぶる。歯を立てて、指の一本一本を甘噛みする。
これが汚いとは、少しも思わない。
むしろ、無上の甘露を口にした気分だ。
際限なくしゃぶり付いていると、聖がくすぐったそうに笑った。
「おいおい……少しは躊躇うとかないのか?」
「にゃい(ない)」
その返答に眉根を寄せ、聖は違う命令をしてみる。
「それじゃあ――今度はそこから少しづつ上に、舌を移動させてみろ」
誉が顔を上げると、そこには、淡く柔らかそうな和毛の中で、自分と同じモノが緩く半勃しているのが分かった。
女ならば感じたフリも通用するだろうが、極まっているかどうかがダイレクトに反映される男の身では、もはやそれは拷問だった。
色の無くなった透明に近い汁を滴らせ、泣くような声を上げて潮を噴いたところで、ようやく聖は解放された。
こういう風に、余裕もなく純粋に求められるのは久しぶりだ。
「お前は――もしかして、男は初めてか?」
ふと問い掛けると、誉は迷った末に頷いた。
「仲間からは……何事も経験だって誘われたが、そういう気分にはなれなかった。男なんて冗談じゃねーって……あっ」
その『男』を前にして、今のは失言だった思ったらしい。
誉は困ったような顔になると、おずおずと聖へ手を伸ばした。
「……でも、あんたは違う。噂では、とんでもない怖い美人が社長だって聞いてたが……まさかそれが、本当だったなんて夢にも思ってなかった」
「怖い美人?」
「ああ。都市伝説みたいなもんだな。傾国の美女だとか、笑わないかぐや姫だとか――相手は男だろうに、何を言ってんだろうって鼻で笑ってバカにしてたよ」
だがそれは、真実だった。
御堂聖は、とうに四十を超えていると聞いていたのだが、とてもそうは見えない。
夢幻の谷間で漂う天女のように、不思議な魅力に溢れている。
眼前のこの肉体ならば、数多の男を狂わせたという噂話は全て本当の事だったんだろうと、文句なしに頷くことが出来る。
現に、誉の男根は衰える暇もなく、再び屹立していた。
若さの塊のような誉を前に、今度は聖の方が困ったような顔になった。
「そうか……経験もないのに、いきなり誘われても戸惑うだろうな。悪かった」
誉はそれを、この後に至る行為の終了を宣言されたのかと思ったらしい。
即座に慌てた様子で、必死の形相になって取り縋ってきた。
「まってくれ! オレはまだヤリてぇ!!」
素直な言葉に、聖の心が揺れた。
「それじゃあ……オレの言う通りにしてみろ」
「え? 」
「指示するから、その通りに行動しろって言ってんのさ」
嫣然と微笑むと、聖は両手を広げた。
「さぁ、オレを抱き上げて、ベッドルームへ運んでくれ」
「わ、わかった」
誉は即座に頷くと、聖の背中へ腕を回して抱き上げる。
ピッタリと密着する芳しい肉体に、誉の鼓動がドンドンと早鐘を打つ。
素直に反応する若い身体に感化されたように、聖も胸が高鳴る。
間接照明が灯るベッドルームへ到着すると、誉は最上級の美術品を扱うかのような丁寧な仕草で、聖をベッドの上へと降ろす。
そこで聖は、己の身体に纏わりついてたバスローブを完全に脱ぎ去り、ばさりと床へと放った。
隠すものを失った裸体が、白いシーツの上で花開く。
興奮を抑えきれない様子の誉に、聖は「待て」をする飼い主の如く命じた。
「まずは、ここにキスしてもらおうか」
差し出したのは、引き締まった白い脚だ。
「出来るか?」
試すように言うと、誉はそのセリフが終る前に足先へ喰らいついていた。
桜貝のような爪に舌を這わせ、指の股もこそぎ取るようにねぶる。歯を立てて、指の一本一本を甘噛みする。
これが汚いとは、少しも思わない。
むしろ、無上の甘露を口にした気分だ。
際限なくしゃぶり付いていると、聖がくすぐったそうに笑った。
「おいおい……少しは躊躇うとかないのか?」
「にゃい(ない)」
その返答に眉根を寄せ、聖は違う命令をしてみる。
「それじゃあ――今度はそこから少しづつ上に、舌を移動させてみろ」
誉が顔を上げると、そこには、淡く柔らかそうな和毛の中で、自分と同じモノが緩く半勃しているのが分かった。
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