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奏は首を振ると、アメリカ行きを否定した。
「……先輩たちのおっしゃる通り、渡米しても逃げているだけだと考え直しました。だから、僕は日本で踏み止まります。そして最期の瞬間まで、七海先輩の傍で付き添います」
改まって言うと、強い意志を込めて、奏は二人に視線を注ぐ。
「新薬開発とは別に――――ここからは、僕のプライベートな話をします。僕の話を……聞いてくれますか? 」
「なんだ? 何でも言ってくれ」
即答する七海と奏を気遣い、九条は「私は席を外した方がいいかな」と訊ねたが、
「いいえ。九条理事も、ここにいてください」
と、奏は何か思いつめた様子で引き留めた。
「私も、居ていいのかい? 」
少し意外そうな様子の九条に頷きながら、奏は真剣な顔になって、ゆっくりと口を開く。
「……これからお話する内容は――――まずは、お二人の同意がない限りは、決して試そうとは思いません。僕の話をしっかりと聞いた上で、それでどうするか……お二人で相談して決めてください」
どうやら奏は、自分の事ではなく、七海と九条のことを考えて何か行動に出ようという気らしい。
「奏……お前、自分の身体と番のことは……」
すると、奏は一瞬だけ目を伏せたが、再びキッと顔を上げる。
「先輩たちが来るまで、落ち込んでずっと泣いていましたが……いつまでもメソメソして泣いている場合ではないと、そう思い切る事にしました」
「奏――」
「僕は案外、タフなんですよ」
無理やり笑いながら、奏はそう言う。
「栄太さんと、正嘉さまには……もう一度会って、確かめたい事があります」
「確かめる? 」
「はい。だけど今は、先輩たちの方が先です。もう時間はあまり残されていないのだから」
そう言うと、奏は一つ息をつき、口を開いた。
「では、これから僕の言う提案を聞いて、よく考えて答えを出してください――」
「……先輩たちのおっしゃる通り、渡米しても逃げているだけだと考え直しました。だから、僕は日本で踏み止まります。そして最期の瞬間まで、七海先輩の傍で付き添います」
改まって言うと、強い意志を込めて、奏は二人に視線を注ぐ。
「新薬開発とは別に――――ここからは、僕のプライベートな話をします。僕の話を……聞いてくれますか? 」
「なんだ? 何でも言ってくれ」
即答する七海と奏を気遣い、九条は「私は席を外した方がいいかな」と訊ねたが、
「いいえ。九条理事も、ここにいてください」
と、奏は何か思いつめた様子で引き留めた。
「私も、居ていいのかい? 」
少し意外そうな様子の九条に頷きながら、奏は真剣な顔になって、ゆっくりと口を開く。
「……これからお話する内容は――――まずは、お二人の同意がない限りは、決して試そうとは思いません。僕の話をしっかりと聞いた上で、それでどうするか……お二人で相談して決めてください」
どうやら奏は、自分の事ではなく、七海と九条のことを考えて何か行動に出ようという気らしい。
「奏……お前、自分の身体と番のことは……」
すると、奏は一瞬だけ目を伏せたが、再びキッと顔を上げる。
「先輩たちが来るまで、落ち込んでずっと泣いていましたが……いつまでもメソメソして泣いている場合ではないと、そう思い切る事にしました」
「奏――」
「僕は案外、タフなんですよ」
無理やり笑いながら、奏はそう言う。
「栄太さんと、正嘉さまには……もう一度会って、確かめたい事があります」
「確かめる? 」
「はい。だけど今は、先輩たちの方が先です。もう時間はあまり残されていないのだから」
そう言うと、奏は一つ息をつき、口を開いた。
「では、これから僕の言う提案を聞いて、よく考えて答えを出してください――」
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