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 シックスナインも好む。

 嬌声を上げながら、何度でも。

 圧倒される程、底なしの淫乱だった。

 栄太の雄芯を復活させようと、喉まで呑み込んでしゃぶりついてきたりもした。

…………奏自身は、そんな真似をして栄太を誘って巧みに翻弄していた事実など、全く記憶に残っていないようだが。

 本当に全く、ヒート時のオメガの性とは、なんとも悩ましいものである。

 あれだけ燃え上がってドロドロになる程抱き合っても、その短い期間が過ぎれば、全てをきれいに忘れてしまう。

 そんな事は身に覚えがないと、つれない態度に戻ってしまう。

 果ては、バカな事を言うな、侮辱しているのかと憤って去ってしまう始末だ。

 この5年、何度それを繰り返した事か。

 とにかく、オメガにとっては発情期の時における『初めてのセックス』以外は、記憶に残らないらしい。

 その肝心の初めて・・・・を散々な結果にしてしまった事を、栄太はずっと後悔している。

 許されるなら、もう一度、奏の記憶を塗り替えてやりたい。

「――――奏」

「あ……」

 背中に回していた手を徐々に下におろし、薄い尻を撫ぜる。

 そして、そっと指先で後孔に触れて確かめる。

 ビクッと、奏の身体が震えた。

(やはり……まだ硬いな……)

 発情期ではないので、そこは自然には濡れない。

 栄太は用意してたローションを手に取り、ゆっくりとマッサージを開始する。

 ここに至る前に、バスルームでも丹念に解していたが……やはり時間を掛けないと、奏は相当辛い思いをするだろう。

 奏は栄太の胸にしがみついたまま、ずっと小さく震えている。

 フットライト以外の照明を落としているのでよく見えないが、その顔は真っ赤に染まっているのだろう。

 清らかで、純真で、無垢な乙女のように…………。

 愛液を垂らして扇情的に誘ってくる奏は問答無用にセクシーだったが、こっちの奏の方が本当なんだろう。

 そう思い、栄太はフッと笑う。

 今、この瞬間も、この・・・奏なら全てを覚えていてくれる。

 電気を消してほしいと言ったり、顔を上げるのも恥ずかしくて、ずっと栄太の胸に顔をうずめていたり。

 ヒート時の、奏の抱き心地は最高だったが――――ドロドロになり潮を噴くほど激しく愛し合った筈なのに、朝になった途端に奏は静穏に戻ってしまい、凍り付くような視線で栄太を拒絶してきた。

 用が済んだのだから、もう失礼させて頂きますと冷たく言い捨てられた。

 食事に誘っても無視、贈り物をしても無反応。

 あれ程、虚しい気分はない。

 あの、胸を刺されるような思いは……もう、たくさんだ。

――――だから、今のこの時が、何より大切だと思う。

「奏……」

 ゆっくりと指を侵入させ、優しく動かしてみる。

 腕の中で、奏がピクリと反応して声を漏らす。

「あ――やっ」

 その声が、隠しようもなく甘いものを孕んでいるのが分かる。

 奏も、欲情し始めているのだ。

 その証拠に、先程からモジモジと腰を揺らめかせている。

 左手を回し、そっと奏の前を確認する。

「やんっ! 」

「ふっ……」

 思わず、笑みが零れる。

 奏の雄芯は、後ろからの刺激に反応してか、明らかに勃起していた。

「一度――……一緒にスッキリしておくか? 」

「え? や、ちょ、ちょっと……! 」

 奏の返事を待たず、栄太は、自分のモノと奏を一緒に握り込む。

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