ナラズモノ

亜衣藍

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 だが、これが結果的に合法ドラッグの危険性と違法性をクローズアップする流れになり、その後の法改正に大きな影響を及ぼすことになる。

 この後、少年法も四度に渡り改正され、刑事処分の可能年齢が16歳以上から14歳以上に引き下げられ、有期懲役の上限が20年以下に、無期刑をもって処断すべき場合でも不定期刑も10年~15年に引き上げとなった


(現在2018年では、選挙権年齢を18歳以上へと引き下げる公職選挙法改正案が2015年6月に成立した事により、法制審議会で少年法適用年齢を20歳未満から18歳未満への引き下げが検討されている)


 この大きな流れを作った事件であるのには変わりないが、やはり世間は、現職死亡警官の汚職の方をクローズアップして報道した。唯一〈文冬〉だけは、その流れに逆らうように、現在の少年法の矛盾と薬事法の穴を指摘し、その後メディア賞とドキュメント賞を受賞する。

 しかし――――それらは全て、これから数年後の話になる。

 引責辞任の形を取り、署を去った男のその後など、誰も関心さえ抱かなかった。

   ◇

 身体から毒を抜く治療を始めて、一週間。

 手足のしびれや倦怠感も大分収まり、聖は退院の手続きを看護師に頼んだ。

 まだ若干、眩暈を覚える時はあるものの、いつまでもこんな所にいられない。

 ガタガタになった会社の立て直しに、また奔走しなければ。

 フゥと溜め息をつき、聖はベッドへ腰を下ろす。結局、あれだけ極道の痕跡を消そうとして、カタギの資本に頭を下げて回ったものの、全ては徒労に終わってしまった。

 社長本人が半グレの襲撃に遭い、麻薬中毒で死にかけたとあっては、もうどうにもならなかった。

――――人の口に戸は立てられぬとは、よく言ったものだ。

 ジュピタープロは、やはりヤクザ資本。

 そうレッテルを貼られ、聖の努力は無駄になった。

「……まぁいいさ。会社が潰れたワケじゃない。仕切り直しだと、頭を切り替えるか」

 今は仕方がないと割り切り、聖は、他の極道が手掛ける芸能事務所との提携を受け入れ、援助と力添えを仰ぐことにした。

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