ナラズモノ

亜衣藍

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「……君たちの家、放火に遭っているね? あと、親族がひき逃げ事故に遭っている。それについては証言できるかい?今、状況証拠だけでもと、こっちも努力して動いているんだ。目撃情報も頑張って集めている」

「――」

「君達をたった今暴行したのは安永だが、真の黒幕は青菱、だろう? 合法ドラッグの利権で争って、今に至る結果となった――そうなんだろう? 」

 しかし、男達は相変わらずの無言だ。

 いずれにせよ、未成年の彼らは一時検察庁へ送られるが、その後は家裁送致になる。

 凶悪事件を起こした場合なら逆送もあるだろうが、それは余程の場合だ。

「……君たちに一つ訊きたい」

 口調を変え、綾瀬は男達を睨むように見る。

「刑事を射殺したのは、この中にいるか? 」

「――」

「ダンマリを決め込んでも無駄だ。押収した凶器の拳銃から指紋も検出している。君らを調べれば、直ぐに分かるぞ。ここで自白した方が、点数を稼げるんじゃないのか? 」

 そのセリフに、男の一人が顔を上げた。

「オレ、オレがやりました! 」

 その男は、身体こそ大きいが、この中ではあきらかに一番の年下であった。

「――なぜ、撃ったんだ? 」

 綾瀬の質問に、男はあっけらかんとした様子で口を開いた。

「だって、あいつがチクったせいで、ダチの紅が東京駅で危なく捕まるところだったんだぜ。だから、呼び出してヤキを入れることにしたんだ」

「――違う。あいつは、わざと・・・駅で騒ぎを起こして、刑事が張り込んでいるとお前たちに危機を知らせたんだ。決して裏切ってはいない。それなのに、なぜ――」

 すると、男はヘラヘラと笑った。

「そういえば、あの刑事、ぶっ放す時にそんな言い訳してたな~……でも、仕方ねぇじゃん? こっちにもノリってもんがあるし、仲間に気合のあるとこ見せてぇし」

 な、と両隣に同意を求めると、同じく、全く後悔している様子もなく男の仲間たちも笑って頷いた。

「だな。紅も森村も、駅じゃあすげー焦ったんだ。だからシュクセイってヤツだよ、シュクセイ」

「そうそう。オレらに逆らったらこうなるって、見せしめも必要なの」

「命乞いする相手を……ノリ・・で殺したのか? 」

「うるせぇな。もう、どうでもいいじゃん。ドラッグやってて、こっちもラリッてたんだよ。大体あいつ刑事だったんだろう? 死んじまったのは自業自得って事でいいじゃん」

「――――そうか」

 すると、綾瀬はホルダーから自分の拳銃を抜いて、構えた。

 それを見て、背後で控えていた部下が驚愕の声を上げる。

「あ、綾瀬警視っ!? 」

「それじゃあ、オレがここで、ノリでお前らを殺しても、それは仕方ないって事なんだな? 」

 そう冷たい声で告げると、綾瀬は弾倉に装填してた五発の弾全てを、次々に発射した。


――――ドンッドンッドンッドンッドンッ!


「警視――――っ!!」

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