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こうなったら、行くとこまで行かないと鎮まらない。
安永は、猛り狂っている己の雄芯を、聖のその滑らかな腿に擦り付けると、大きく足を開かせて股の間に潜り込もうと、狭い車内で格闘する。
先程の発砲により、距離を取って外で待機している男達からは、安永と聖の二人だけが残っている車内の様子は分からない。
だが、車が激しく動く様子から、安永が何をしようとしているのかは、容易に想像がついた。
「……あの阿保ぉ、頭に血が上ってとち狂ってやがる」
呆れたように正弘が言うと、その隣に控えていた男が、怒りで怒号を放った。
「ぶっ殺されてぇのか! 出てきやがれ!!」
後ろに控えている組員たちも、同様の様子だ。特に、まだ二十歳前後に見える若い男と、綾瀬と同じくらいの年齢であろう、たった今怒声を放った、身体の大きな厳つい男の怒りは相当の様子だ。
揃いも揃って、目が怒りで燃えている。
剣呑なヤクザたちの様相に、綾瀬たち警官は、どっちを救出しようとしているのだか分からなくなりそうだ。
「綾瀬警視」
「なんだ? 」
「先ほど、屋敷の中にいた【黒龍】の幹部四名を拘束しました」
「やはり、ここにいたか」
「警察車両へ収容しましたが――全員、未成年です」
部下の報告に綾瀬は苦々しい表情になる。
そして、睨み合ったまま膠着状態になっているヤクザたちを見遣った後、綾瀬は踵を返した。
「その黒龍の幹部たちの所へ案内してくれ」
◇
血達磨状態で拘束されていた男達を見下ろし、綾瀬は背後の部下を振り返った。
「どうして、全員全裸で出血しているんだ? 拘束するときに相当暴れたのか? 」
綾瀬の問いに、部下は困惑顔で答える。
「いえ――それが、元々この状態で、屋敷内で拘束されていたんですよ。こっちは手間が省けて良かったですが」
「救急は呼んだか? 」
「はい。深刻なケガはないようですが、一応は。向こうの方も、もしかしたら怪我人が出るかもしれないですし」
「よし、それでいい。しかし、こいつらの様子は――」
「……はい。私も同感です」
少し頬を赤らめながら告げる部下の同意に、綾瀬も、うーんと唸る。
とりあえず、全裸のままでは具合が悪いので、こちらも間に合わせに彼らへ毛布を与えているが――彼ら自身から漂う、独特の臭いと汚れに、ついさっきまで彼らが何をやっていたのか容易に想像できるというものだ。
何となく、状況は推測できた。
先程からずっと、表のヤクザたちの怒号が、ここまで轟いて来るし。
その現在人質に取られている聖という男は、彼らにとって相当に麗しいオンナなのだろう。
刑務所に入って帰ってくると、そっちの方に開眼する男が多いと聞いたことがあるが、どうやら、本当らしい。
(愛及屋烏ってヤツかね。聖ってのは、かなりキツイ性格で頑固だって話だが、それもひっくるめて惚れてんのか? 物好きなことだ。さては、この男達もそれに触発されたクチか)
人のモノだと、余計に欲しくなるガキの心理だろうか。
(オレには分からないねぇ、そういう心の動きは。何故に、火中の栗を拾うマネをするんだか。それでボコボコになってんじゃ、どうしようもないね)
嘆息しながら、綾瀬は口を開く。
「――君たち。理由はどうあれ、その傷はここでヤクザに暴行を受けた所為だと、署で証言してくれるかい? 」
綾瀬の問いに、男達は無言になる。
それはそうだろう。
大陸に逃亡した後なら幾らでも強気になれただろうが、ここは日本だ。
下手に、ここで暴行を受けた事を証言してしまったら、確実にヤクザの報復を受ける。
安永は、猛り狂っている己の雄芯を、聖のその滑らかな腿に擦り付けると、大きく足を開かせて股の間に潜り込もうと、狭い車内で格闘する。
先程の発砲により、距離を取って外で待機している男達からは、安永と聖の二人だけが残っている車内の様子は分からない。
だが、車が激しく動く様子から、安永が何をしようとしているのかは、容易に想像がついた。
「……あの阿保ぉ、頭に血が上ってとち狂ってやがる」
呆れたように正弘が言うと、その隣に控えていた男が、怒りで怒号を放った。
「ぶっ殺されてぇのか! 出てきやがれ!!」
後ろに控えている組員たちも、同様の様子だ。特に、まだ二十歳前後に見える若い男と、綾瀬と同じくらいの年齢であろう、たった今怒声を放った、身体の大きな厳つい男の怒りは相当の様子だ。
揃いも揃って、目が怒りで燃えている。
剣呑なヤクザたちの様相に、綾瀬たち警官は、どっちを救出しようとしているのだか分からなくなりそうだ。
「綾瀬警視」
「なんだ? 」
「先ほど、屋敷の中にいた【黒龍】の幹部四名を拘束しました」
「やはり、ここにいたか」
「警察車両へ収容しましたが――全員、未成年です」
部下の報告に綾瀬は苦々しい表情になる。
そして、睨み合ったまま膠着状態になっているヤクザたちを見遣った後、綾瀬は踵を返した。
「その黒龍の幹部たちの所へ案内してくれ」
◇
血達磨状態で拘束されていた男達を見下ろし、綾瀬は背後の部下を振り返った。
「どうして、全員全裸で出血しているんだ? 拘束するときに相当暴れたのか? 」
綾瀬の問いに、部下は困惑顔で答える。
「いえ――それが、元々この状態で、屋敷内で拘束されていたんですよ。こっちは手間が省けて良かったですが」
「救急は呼んだか? 」
「はい。深刻なケガはないようですが、一応は。向こうの方も、もしかしたら怪我人が出るかもしれないですし」
「よし、それでいい。しかし、こいつらの様子は――」
「……はい。私も同感です」
少し頬を赤らめながら告げる部下の同意に、綾瀬も、うーんと唸る。
とりあえず、全裸のままでは具合が悪いので、こちらも間に合わせに彼らへ毛布を与えているが――彼ら自身から漂う、独特の臭いと汚れに、ついさっきまで彼らが何をやっていたのか容易に想像できるというものだ。
何となく、状況は推測できた。
先程からずっと、表のヤクザたちの怒号が、ここまで轟いて来るし。
その現在人質に取られている聖という男は、彼らにとって相当に麗しいオンナなのだろう。
刑務所に入って帰ってくると、そっちの方に開眼する男が多いと聞いたことがあるが、どうやら、本当らしい。
(愛及屋烏ってヤツかね。聖ってのは、かなりキツイ性格で頑固だって話だが、それもひっくるめて惚れてんのか? 物好きなことだ。さては、この男達もそれに触発されたクチか)
人のモノだと、余計に欲しくなるガキの心理だろうか。
(オレには分からないねぇ、そういう心の動きは。何故に、火中の栗を拾うマネをするんだか。それでボコボコになってんじゃ、どうしようもないね)
嘆息しながら、綾瀬は口を開く。
「――君たち。理由はどうあれ、その傷はここでヤクザに暴行を受けた所為だと、署で証言してくれるかい? 」
綾瀬の問いに、男達は無言になる。
それはそうだろう。
大陸に逃亡した後なら幾らでも強気になれただろうが、ここは日本だ。
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