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しおりを挟む安永は、部下に聖を抱えさせながら急いで車へ乗り込み、車庫のシャッターを開いたところで、まぶしいライトに立ち竦んだ。
目の前には複数の警察車両が集結しており、更に、鬼のような顔で立つ天黄正弘が腕を組んで立っていた。
この瞬間に、安永は絶望と共に、己の負けを悟る。
「く、くそぉ……」
安永の口から、呻くような絶望の声が漏れる。
「警察だっ! 車を降りろ! 両手を上げて全員出て来い! 」
安永の部下たちは、不安気に互いを見遣りながら、チラリと自分たちの組長を見た後、渋々車を降りた。
車内に残っているのは、安永と、意識を失っている聖だけとなる。
「安永、降りてきやがれ――! 」
正弘の怒声に安永はガタガタ震えながら、それでも聖をガッチリと腕の中に抱え込む。
相変わらず柔らかくてしなやかな身体だ。
乳白色の肌は滑らかで、いつまでも触っていたい。離したくない。
ドラッグのせいで顔色は悪いが、そこがまた儚げでそそる。
他の誰かに渡すくらいなら、いっそのこと……。
「安永――!! 」
「よ、寄るなっ! 」
安永は窓を開け、声を放つ。そして、手にした護身用の拳銃を一発撃った。
――――ドンッ!
「っ!? 」
「それ以上近付いたら、こいつを聖の頭にぶち込むぞ! 」
安永の言葉に、場は緊迫した。
ここまで追い詰めておいて、肝心かなめの聖を失っては元も子もない。
外で待機していた男達は、次の一手が打てずに歯噛みをする。
一方、車内では、安永は憑かれたように聖の身体を弄りながら、その柔肌を揉みしだいていた。
たった今まで、飢狼のような男達に嬲られていた身体は、蕩けるほどに柔らかい熟成肉のようだ。
――――この場を逃げ切るのは、もう不可能だ。
それならば、限界までこの美肉を味わわなければ死んでも死にきれない。
安永はそう思うと、片手に拳銃を構えたまま、残っている腕で聖の身体を触り、撫で、揉みくちゃにする。散々吸われて腫れている胸の尖りにも、吸い付くようにしゃぶり付く。
聖の身体から立ち昇る芳しい香りに、頭がクラクラするようだ。
「くそっ堪らねぇっ! 」
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