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「う、うぅ……! 」
ガクリと、聖は波間に沈む。
身体の中から、ようやく波が引いて行った。ホッとして、少し陸に上がって休もうと、また波を腕で掻く。
だが――――
「ツギハオレダ」
「ひっ! 」
また新たな波が、聖を襲った。
「お、ぼれ、る――からぁ」
この、身体を焼くような、悦楽の熱い汚泥の海から逃れたいのに。どうして、いつまでも逃れられないのだろう?
「あぁ……そこ、や……」
胸の尖りにしゃぶり付き、噛んで吸い込む意地の悪い魚たち。
聖の、最も敏感であるはずの雄芯を、弄ぶように扱く熱い潮の渦。
「あ、あっ!! 」
聖自身、もう何度目か分からない薄くなった精を迸らせ、ガクリと首を垂れる。
「アマクテイイニオイダ。ナンダヨ、サイコウジャネェカ! 」
「アイツノオンナダッテダケハ、アルヨナ」
(うるさいな……)
不快な潮騒から耳を背けようと、聖は陸を目指して手足を動かす。
白濁の汚泥に塗れながら、波から逃れようと畳を這う聖の足を押さえ、潮騒は会話のようなものをする。
「オット! マダマダオワリジャナイゼ」
「ナンシュウシタ? オレ、モウトチュウカラカゾエテナインダケド」
ゲラゲラと笑うような汚い潮騒が聞こえたと思ったら、次に、散々波に抉られ続けて敏感になっていた蕾に、何か器用に動く生き物が入り込んできた。
――――気持ちが悪い……。
「や――出て、いけ……」
「エロッ! ミロヨ、ドンドンナカカラアフレテクルゼ? ナンカイダシタッケ? 」
「コノクライホグレタラ、ニホンクライハイルンジャナイノカ? 」
「オッ! ニリンザシッテヤツカ? 」
身体が痺れて、いう事をきかない。
早く、陸に上がって――――行かないと。
そうだ、あの子が待っている。
「……る」
「ハァ? 」
「もう、帰る……あの子が、待って……る、はずだから……」
朱に染まった美体をくねらせ、夢見るように言う。
「いか、ないと――」
可愛い、可愛い、聖の何より大切な――。
「ああっ! 」
ドンっと、一気に突き上げきた波に、聖の身体は硬直した。
大きい! 怖い! もう、戻れないかもしれない……!
「あ、あ、あ、あぁ――」
「オラオラ、ガンバッテクワエコメヨ!! 」
「っ! ――――」
もう、声にならない絶叫を上げ、聖の身体も意識も波間へと消えた。
ガクリと、聖は波間に沈む。
身体の中から、ようやく波が引いて行った。ホッとして、少し陸に上がって休もうと、また波を腕で掻く。
だが――――
「ツギハオレダ」
「ひっ! 」
また新たな波が、聖を襲った。
「お、ぼれ、る――からぁ」
この、身体を焼くような、悦楽の熱い汚泥の海から逃れたいのに。どうして、いつまでも逃れられないのだろう?
「あぁ……そこ、や……」
胸の尖りにしゃぶり付き、噛んで吸い込む意地の悪い魚たち。
聖の、最も敏感であるはずの雄芯を、弄ぶように扱く熱い潮の渦。
「あ、あっ!! 」
聖自身、もう何度目か分からない薄くなった精を迸らせ、ガクリと首を垂れる。
「アマクテイイニオイダ。ナンダヨ、サイコウジャネェカ! 」
「アイツノオンナダッテダケハ、アルヨナ」
(うるさいな……)
不快な潮騒から耳を背けようと、聖は陸を目指して手足を動かす。
白濁の汚泥に塗れながら、波から逃れようと畳を這う聖の足を押さえ、潮騒は会話のようなものをする。
「オット! マダマダオワリジャナイゼ」
「ナンシュウシタ? オレ、モウトチュウカラカゾエテナインダケド」
ゲラゲラと笑うような汚い潮騒が聞こえたと思ったら、次に、散々波に抉られ続けて敏感になっていた蕾に、何か器用に動く生き物が入り込んできた。
――――気持ちが悪い……。
「や――出て、いけ……」
「エロッ! ミロヨ、ドンドンナカカラアフレテクルゼ? ナンカイダシタッケ? 」
「コノクライホグレタラ、ニホンクライハイルンジャナイノカ? 」
「オッ! ニリンザシッテヤツカ? 」
身体が痺れて、いう事をきかない。
早く、陸に上がって――――行かないと。
そうだ、あの子が待っている。
「……る」
「ハァ? 」
「もう、帰る……あの子が、待って……る、はずだから……」
朱に染まった美体をくねらせ、夢見るように言う。
「いか、ないと――」
可愛い、可愛い、聖の何より大切な――。
「ああっ! 」
ドンっと、一気に突き上げきた波に、聖の身体は硬直した。
大きい! 怖い! もう、戻れないかもしれない……!
「あ、あ、あ、あぁ――」
「オラオラ、ガンバッテクワエコメヨ!! 」
「っ! ――――」
もう、声にならない絶叫を上げ、聖の身体も意識も波間へと消えた。
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