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間違いなく、四課の刑事だろう。
しかし、真壁はそれに臆することなく、苛立ちながら口を開いた。
「だから、こっちは被害者だって言ってるじゃないか! 沙也加を誑かして、あいつが、ウチの事務所のタレントにドラッグを蔓延させたんだ! クソッ!! 今まで御堂さんが頑張っていたのも全部無駄になっちまう! 」
そこでハッとして、真壁は逆に訴えた。
「その御堂さんが、行方が分からなくなったんだよ! あんた達、刑事だってんなら、今すぐ御堂さんを捜してくれっ!」
「――何? 」
「それこそ青菱も、天黄も、今総出で捜しているんだ! 出版社の文冬を出た後、行方が分からないんだよ! あんたたちの話を聞いて、ますます嫌な予感がしてならない。その黒龍って半グレ共が……もしかして、御堂さんに……何かしたんじゃないかって――」
真壁は蒼白になって、呻くような声をもらした。
青菱史郎が御堂聖に対し、相当入れ揚げているというのは、極道なら誰でも知っている有名な話だ。
当初、御堂は天黄正弘の色子だろうと、それなりにどこの組も彼に対して気を遣っていたのだが、青菱史郎は聖を見るや否や、全てを捩じ伏せて強引に囲ったと。
そのくらいに、惚れていると。
(もしかして黒龍は――御堂さんなら青菱に対して交渉材料になると判断したのか? )
真壁は一瞬でそれだけ考えると、座ったままの男へ詰め寄った。
周りの刑事たちが直ぐ様拘束するが、構わす彼は懇願する。
「頼むっ! 御堂さんを捜してくれ! 」
その必死さに何かを感じ取ったか、嘆息しながら、綾瀬は静かに立ち上がった。
「――――やれやれ、今夜は徹夜決定だな」
◇
聖が行方不明になったと一報がもたらされ、天黄組は全ての組員に対して、最優先で彼を捜すように命令を下した。
ある意味、今宵の東京程、安全な街はないであろう。厳つい筋モノの男たちがゾロゾロと歩くだけで、小悪党なら怯えて雲隠れしてしまうだろうから。
彼らは、どんなわずかなの暗闇も影の中も、虱潰しに捜索した。
少しでも怪しい半グレは吊し上げ、尋問した。空きビルも地下も捜索し、人探しなら警察に頼むよりもヤクザの方が余程優秀だと思えるくらいに、徹底的に捜した。
同時に、それは、青菱も同じだった。
元の原因は青菱にあるだけに、若頭の史郎の厳命一下、彼らは血眼になって聖を捜索した。だが、彼らの捜す場所は、ある意味偏り過ぎていた。
まさか、まさかである。
――――青菱の分家にあたる、安永組の安永泰造の元に【黒龍】が身を寄せ、そこに聖が捕らえられているなどとは、誰も夢にも思わなかったのである。
しかし、真壁はそれに臆することなく、苛立ちながら口を開いた。
「だから、こっちは被害者だって言ってるじゃないか! 沙也加を誑かして、あいつが、ウチの事務所のタレントにドラッグを蔓延させたんだ! クソッ!! 今まで御堂さんが頑張っていたのも全部無駄になっちまう! 」
そこでハッとして、真壁は逆に訴えた。
「その御堂さんが、行方が分からなくなったんだよ! あんた達、刑事だってんなら、今すぐ御堂さんを捜してくれっ!」
「――何? 」
「それこそ青菱も、天黄も、今総出で捜しているんだ! 出版社の文冬を出た後、行方が分からないんだよ! あんたたちの話を聞いて、ますます嫌な予感がしてならない。その黒龍って半グレ共が……もしかして、御堂さんに……何かしたんじゃないかって――」
真壁は蒼白になって、呻くような声をもらした。
青菱史郎が御堂聖に対し、相当入れ揚げているというのは、極道なら誰でも知っている有名な話だ。
当初、御堂は天黄正弘の色子だろうと、それなりにどこの組も彼に対して気を遣っていたのだが、青菱史郎は聖を見るや否や、全てを捩じ伏せて強引に囲ったと。
そのくらいに、惚れていると。
(もしかして黒龍は――御堂さんなら青菱に対して交渉材料になると判断したのか? )
真壁は一瞬でそれだけ考えると、座ったままの男へ詰め寄った。
周りの刑事たちが直ぐ様拘束するが、構わす彼は懇願する。
「頼むっ! 御堂さんを捜してくれ! 」
その必死さに何かを感じ取ったか、嘆息しながら、綾瀬は静かに立ち上がった。
「――――やれやれ、今夜は徹夜決定だな」
◇
聖が行方不明になったと一報がもたらされ、天黄組は全ての組員に対して、最優先で彼を捜すように命令を下した。
ある意味、今宵の東京程、安全な街はないであろう。厳つい筋モノの男たちがゾロゾロと歩くだけで、小悪党なら怯えて雲隠れしてしまうだろうから。
彼らは、どんなわずかなの暗闇も影の中も、虱潰しに捜索した。
少しでも怪しい半グレは吊し上げ、尋問した。空きビルも地下も捜索し、人探しなら警察に頼むよりもヤクザの方が余程優秀だと思えるくらいに、徹底的に捜した。
同時に、それは、青菱も同じだった。
元の原因は青菱にあるだけに、若頭の史郎の厳命一下、彼らは血眼になって聖を捜索した。だが、彼らの捜す場所は、ある意味偏り過ぎていた。
まさか、まさかである。
――――青菱の分家にあたる、安永組の安永泰造の元に【黒龍】が身を寄せ、そこに聖が捕らえられているなどとは、誰も夢にも思わなかったのである。
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