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「ああ、あの人も相変わらずです。頭も切れるんですが、周りの反発も多くて……やり方を巡って、昔ながらの極道の親父さんとは、度々衝突しているようですね。御堂さんも囲われ者から解放されたハズなんですが、未だに固執して放そうとしないらしいです」
「そう、か……」
舎弟からの報告を受け、男は複雑な表情を見せる。
御堂聖と初めて会った時から、十年以上が経つ。
だが、未だにあの男が何を考えているのか分からない。
あれだけ天黄正弘の信任が厚いのに、それを無下にして、大学に通ってカタギを振舞おうとしたり、芸能事務所の社長に就こうとしたり。
東堂三郎との一件では、色事をあれだけ嫌がっていたというのに、すっかり豹変して青菱の囲われ者になったり。
「本家では、兄貴の出所祝いの用意をしてあります。返す返すも、お勤めご苦労さんでした」
「おう」
そう言うと、近藤碇はフゥと息を吐いた。
◇
今宵の聖は、様子がおかしかった。
いつもならば、絶対に声などもらすものかと歯を食いしばって、加虐な責め苦に意地でも耐えるのに、その意地をはなから放棄したように、ただ切ない声を上げて鳴いている。
首筋、わきの下、脇腹と、弱いところを立て続けに責めると、頬を染めて涙をこぼす。
薄紅の胸の尖りを強く吸ってやると、白い喉をのけぞらして喘ぐ。
最初から抵抗はなく、ただ与えられる快楽に縋るように、あえかな声をもらす。
「もっと……もっと、強く――! 」
――――オレを壊してくれ……。
快楽の中で、悲鳴のような声を上げ、ただ咽び泣く。
儚い桜の花びらのように散る涙と、白く滑らかな肉体。
抱いても抱いても、まだ足りない。
ひと時も満足する事ができない。
いくら肉を穿ち、最奥を突いても、決して充足感は訪れない。
この手にあるのに、まるで、霞のようにすり抜ける夢幻のようだ。
「あ、あっ! 」
幾度目かの絶頂を迎え、その背中が弓のようにしなる。
強烈な締め付けと、この世のものとは思えぬくらいの快楽に、青菱史郎も咆哮をあげる。
「くぉっ――! 」
「あぁっ!! 」
芳しい汗の香りと、かすかに塩の味がする涙。
史郎は顔といわず体といわず、聖の全身を口にする。
厚い舌を這わせ、唇を合わせて強く吸い上げる。
「ん、んっ」
溢れる唾液も、全てを飲み干す勢いで吸い、舌を絡める。
苦し気に表情を歪ませる聖の、眦に浮かぶ涙も全て舐め上げる。
やがて弛緩した身体から己を引き抜く事もせず、そのまま横倒しに抱え込み、クシャクシャになったシーツの上で重なり合う。
聖はヒクヒクと震え、虚ろな表情のまま、史郎の腕の中でまた涙をこぼした。
「――今日は、どうした? 」
「……」
「何度も抱いたが、まるで全然違う人間を犯している気分だ。どうしてだ? 」
「――オレだって――たまには、そんな時もあるんだ」
そう小さな声で答えると、聖はかすかに身じろいだ。
「あっ……」
未だ、奥深く打ち込まれたままの楔に、聖の身体がヒクリと反応する。
綺麗な芯が、ゆるやかに震える。
ほんのりと染まっていた身体が、また鮮やかな紅色に変わる様子に、史郎の楔もまた硬度を取り戻す。
ああ、この身体は猛毒だ。
この毒に侵され、中毒患者になってしまった気分だ。
「くそっ! お前の身体は、キリがない」
「あぁ――強いっ……! 」
「そう、か……」
舎弟からの報告を受け、男は複雑な表情を見せる。
御堂聖と初めて会った時から、十年以上が経つ。
だが、未だにあの男が何を考えているのか分からない。
あれだけ天黄正弘の信任が厚いのに、それを無下にして、大学に通ってカタギを振舞おうとしたり、芸能事務所の社長に就こうとしたり。
東堂三郎との一件では、色事をあれだけ嫌がっていたというのに、すっかり豹変して青菱の囲われ者になったり。
「本家では、兄貴の出所祝いの用意をしてあります。返す返すも、お勤めご苦労さんでした」
「おう」
そう言うと、近藤碇はフゥと息を吐いた。
◇
今宵の聖は、様子がおかしかった。
いつもならば、絶対に声などもらすものかと歯を食いしばって、加虐な責め苦に意地でも耐えるのに、その意地をはなから放棄したように、ただ切ない声を上げて鳴いている。
首筋、わきの下、脇腹と、弱いところを立て続けに責めると、頬を染めて涙をこぼす。
薄紅の胸の尖りを強く吸ってやると、白い喉をのけぞらして喘ぐ。
最初から抵抗はなく、ただ与えられる快楽に縋るように、あえかな声をもらす。
「もっと……もっと、強く――! 」
――――オレを壊してくれ……。
快楽の中で、悲鳴のような声を上げ、ただ咽び泣く。
儚い桜の花びらのように散る涙と、白く滑らかな肉体。
抱いても抱いても、まだ足りない。
ひと時も満足する事ができない。
いくら肉を穿ち、最奥を突いても、決して充足感は訪れない。
この手にあるのに、まるで、霞のようにすり抜ける夢幻のようだ。
「あ、あっ! 」
幾度目かの絶頂を迎え、その背中が弓のようにしなる。
強烈な締め付けと、この世のものとは思えぬくらいの快楽に、青菱史郎も咆哮をあげる。
「くぉっ――! 」
「あぁっ!! 」
芳しい汗の香りと、かすかに塩の味がする涙。
史郎は顔といわず体といわず、聖の全身を口にする。
厚い舌を這わせ、唇を合わせて強く吸い上げる。
「ん、んっ」
溢れる唾液も、全てを飲み干す勢いで吸い、舌を絡める。
苦し気に表情を歪ませる聖の、眦に浮かぶ涙も全て舐め上げる。
やがて弛緩した身体から己を引き抜く事もせず、そのまま横倒しに抱え込み、クシャクシャになったシーツの上で重なり合う。
聖はヒクヒクと震え、虚ろな表情のまま、史郎の腕の中でまた涙をこぼした。
「――今日は、どうした? 」
「……」
「何度も抱いたが、まるで全然違う人間を犯している気分だ。どうしてだ? 」
「――オレだって――たまには、そんな時もあるんだ」
そう小さな声で答えると、聖はかすかに身じろいだ。
「あっ……」
未だ、奥深く打ち込まれたままの楔に、聖の身体がヒクリと反応する。
綺麗な芯が、ゆるやかに震える。
ほんのりと染まっていた身体が、また鮮やかな紅色に変わる様子に、史郎の楔もまた硬度を取り戻す。
ああ、この身体は猛毒だ。
この毒に侵され、中毒患者になってしまった気分だ。
「くそっ! お前の身体は、キリがない」
「あぁ――強いっ……! 」
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