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◇
きっと、連絡の行き違いがあったのだろう。
それか、もしかしたら、予定していた新幹線に乗り遅れたのかもしれない。
聖はそう思い、ホームを動けずにいた。
――――三時間も、そうして待っていた。
仕事がある。予定もつまっている。
でも、もしかしたら……そう、次の新幹線に乗っているかもしれないではないか?
「社長、事務所からも電話が来ています。そろそろ戻りませんと――」
そんな聖に、戸惑いながら真壁は声をかける。
「……」
聖は、無言だ。
溜め息をつき、真壁は携帯電話に耳を当てながら何度かやり取りをした後、いったんそれを切る。
「――これで五回目です。いい加減に戻りませんと、20時のファアリーとの会議に間に合いません」
「ああ、そうだな……次でダメだったら、いったん引き上げる」
さすがにタイムリミットだ。
ユウには携帯電話を渡しているハズだが、どうして連絡がないのだろう?
何度も電話をしているのだが、一向に返信がない。
まさか、何か事件にでも巻き込まれてしまったのだろうか?
心配し出すとキリがない。
だが、そんなヤキモキしている状況の聖の元へ、ようやく待ちわびた返信が来た!
パッと表情を明るくし、聖は携帯電話を見る。
(ユウ――! )
だが、電話ではなく、メールで一行。
【オレはもう東京にいますが、あなたに会うつもりはありません】
ふらりと眩暈がして、聖はホームの柱に身体を預けた。
「――ユウ……」
「社長? 」
聖は、一言漏らしたっきり無言になる。
困惑する真壁であるが、突如感じた不穏な雰囲気にピリリと緊張した。
それは、聖も同じであった。
周囲を見遣ると、先ほどからこの辺を警戒していた私服警官が、立ちはだかる様に聖と真壁の周囲を塞いでいる。
どうやら、何か捕り物に巻き込まれつつあるらしい。
それは、じつは大分前から感じていた。
だから、厄介ごとを避けるべく、本来ならもっと早く立ち去るところだったのだが――ユウに未練があって、動けずにいたのだ。
一度は、こちらの事情を説明して放免されたのだが、まだ何かあるのか?
警察が何をしようとしているのかなんて、こっちは本当に全く関係ないのに。
「――また、何か? 」
不機嫌な声で訊くと、相手は高圧的に告げてきた。
きっと、連絡の行き違いがあったのだろう。
それか、もしかしたら、予定していた新幹線に乗り遅れたのかもしれない。
聖はそう思い、ホームを動けずにいた。
――――三時間も、そうして待っていた。
仕事がある。予定もつまっている。
でも、もしかしたら……そう、次の新幹線に乗っているかもしれないではないか?
「社長、事務所からも電話が来ています。そろそろ戻りませんと――」
そんな聖に、戸惑いながら真壁は声をかける。
「……」
聖は、無言だ。
溜め息をつき、真壁は携帯電話に耳を当てながら何度かやり取りをした後、いったんそれを切る。
「――これで五回目です。いい加減に戻りませんと、20時のファアリーとの会議に間に合いません」
「ああ、そうだな……次でダメだったら、いったん引き上げる」
さすがにタイムリミットだ。
ユウには携帯電話を渡しているハズだが、どうして連絡がないのだろう?
何度も電話をしているのだが、一向に返信がない。
まさか、何か事件にでも巻き込まれてしまったのだろうか?
心配し出すとキリがない。
だが、そんなヤキモキしている状況の聖の元へ、ようやく待ちわびた返信が来た!
パッと表情を明るくし、聖は携帯電話を見る。
(ユウ――! )
だが、電話ではなく、メールで一行。
【オレはもう東京にいますが、あなたに会うつもりはありません】
ふらりと眩暈がして、聖はホームの柱に身体を預けた。
「――ユウ……」
「社長? 」
聖は、一言漏らしたっきり無言になる。
困惑する真壁であるが、突如感じた不穏な雰囲気にピリリと緊張した。
それは、聖も同じであった。
周囲を見遣ると、先ほどからこの辺を警戒していた私服警官が、立ちはだかる様に聖と真壁の周囲を塞いでいる。
どうやら、何か捕り物に巻き込まれつつあるらしい。
それは、じつは大分前から感じていた。
だから、厄介ごとを避けるべく、本来ならもっと早く立ち去るところだったのだが――ユウに未練があって、動けずにいたのだ。
一度は、こちらの事情を説明して放免されたのだが、まだ何かあるのか?
警察が何をしようとしているのかなんて、こっちは本当に全く関係ないのに。
「――また、何か? 」
不機嫌な声で訊くと、相手は高圧的に告げてきた。
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