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社長室で、あたしをスカウトしろとストリップを始めた沙也加を見て、聖は正直な感想を言った。
すると、沙也加もニヤリと笑い、
「あたしも、あんたみたいな綺麗な男が、犯し甲斐があると思ってたのよ」
と受けて立った。
それから、有賀沙也加はジュピタープロ一押しの女優になり、堂々と活躍している。
このくらいのタマじゃないと、こんな業界、やってられない。
◇
「ねぇ、社長! コスメのCM、仲介に持ち掛けられた枕の話を断ったって本当なの? 」
沙也加は社長室に乗り込むと、そう聖に詰め寄った。
「あたしは、そのくらい平気だって言ってんじゃん! 」
「――カネで片が付くなら、それでいいんだよ」
ウンザリとしながら、聖は沙也加の追及をやり過ごす。
こういった海外の仕事が絡む場合、仲介業者が必ず間に入る。
まず、そこにどのくらいカネをつぎ込むかで、向こう側との橋渡しや折衝を代理してもらうのだ。
今回は、カネの他に色も求められた。
だが、聖は相場の倍のカネを用意することで、色は回避したのだ。
――――どうして?
そんなの、決まっている。
できるだけ色を排して、せめて、そこだけでもクリーンにしたかったからだ。
近々、ユウが上京する。
ジュピタープロは色だけはお断りだと業界各所へ知らしめて、万が一でもユウが毒牙にかからないようにと、聖は根回しをしたワケだ。
この業界には、モラルなどない。
どいつもこいつもロリコンの変態ばかりで寒気がする程だ。
ユウはまだ、十五歳だ。
若いタレントは、それだけで男女問わず餌食にされやすい。
事務所としては、最大限そこだけは阻止せねば。
だが、そんな聖の親心など、この女優が分かるはずがない。
「ふぅん……社長って、意外と嫉妬深いんだぁ」
「は? 」
「あたしは枕なんて全然平気だって言ってんのに、それを断るって事は、そういうコトじゃあない? 」
何を言いたいのか分かり、聖は嘆息した。
「あのな、てめぇみてぇなババァなんざどうでもいいが、ウチはそこだけは一切受けませんと看板下げとかなきゃあ、後々オレが困んだよ。この話がお前じゃなくて美幸の方に来てたとしても、オレは絶対断るつもりだった」
「何だって、この野郎! 」
沙也加はそう言うと、椅子に座ったままの、聖の膝の上へと飛び乗った。
「生意気言ってんじゃねーよ! あたしが、あの小娘に負けるって言うのかい!? 」
「誰もそんな事は言ってねぇだろうが! 」
スカートの裾をまくり上げて聖の膝に馬乗りになる沙也加に、聖は不機嫌な声で怒鳴り返す。
「重い! 邪魔だ、どけっ! 」
「ふんっ! しらばっくれるんじゃないよ、この淫乱野郎! 昨日、一昨日と二日休んで重役出勤したと思ったら、何だよこの首の痕! 誰につけられたっ!? 」
そう言うと、沙也加は目ざとく聖の首筋に残された痕を見つけ、止める間もなく、ネクタイを取っ払いシャツのボタンを外す。
しかし、その手は途中でピタリと止まった。
「――――社長、あんたマジで誰にやられたのよ? 」
首筋どころか、襟から除く肌のほとんどに、隙間なく噛み傷と鬱血した跡が残っている。
痛みに快楽を感じるような余程のドМでなければ、こんなの嬉しくないし耐えられないだろう。
沙也加は、聖がそういった性癖は持ち合わせていないのを知っている。
そして彼が、暴力に屈するような、か弱い男でないのも知っていた。
すると、沙也加もニヤリと笑い、
「あたしも、あんたみたいな綺麗な男が、犯し甲斐があると思ってたのよ」
と受けて立った。
それから、有賀沙也加はジュピタープロ一押しの女優になり、堂々と活躍している。
このくらいのタマじゃないと、こんな業界、やってられない。
◇
「ねぇ、社長! コスメのCM、仲介に持ち掛けられた枕の話を断ったって本当なの? 」
沙也加は社長室に乗り込むと、そう聖に詰め寄った。
「あたしは、そのくらい平気だって言ってんじゃん! 」
「――カネで片が付くなら、それでいいんだよ」
ウンザリとしながら、聖は沙也加の追及をやり過ごす。
こういった海外の仕事が絡む場合、仲介業者が必ず間に入る。
まず、そこにどのくらいカネをつぎ込むかで、向こう側との橋渡しや折衝を代理してもらうのだ。
今回は、カネの他に色も求められた。
だが、聖は相場の倍のカネを用意することで、色は回避したのだ。
――――どうして?
そんなの、決まっている。
できるだけ色を排して、せめて、そこだけでもクリーンにしたかったからだ。
近々、ユウが上京する。
ジュピタープロは色だけはお断りだと業界各所へ知らしめて、万が一でもユウが毒牙にかからないようにと、聖は根回しをしたワケだ。
この業界には、モラルなどない。
どいつもこいつもロリコンの変態ばかりで寒気がする程だ。
ユウはまだ、十五歳だ。
若いタレントは、それだけで男女問わず餌食にされやすい。
事務所としては、最大限そこだけは阻止せねば。
だが、そんな聖の親心など、この女優が分かるはずがない。
「ふぅん……社長って、意外と嫉妬深いんだぁ」
「は? 」
「あたしは枕なんて全然平気だって言ってんのに、それを断るって事は、そういうコトじゃあない? 」
何を言いたいのか分かり、聖は嘆息した。
「あのな、てめぇみてぇなババァなんざどうでもいいが、ウチはそこだけは一切受けませんと看板下げとかなきゃあ、後々オレが困んだよ。この話がお前じゃなくて美幸の方に来てたとしても、オレは絶対断るつもりだった」
「何だって、この野郎! 」
沙也加はそう言うと、椅子に座ったままの、聖の膝の上へと飛び乗った。
「生意気言ってんじゃねーよ! あたしが、あの小娘に負けるって言うのかい!? 」
「誰もそんな事は言ってねぇだろうが! 」
スカートの裾をまくり上げて聖の膝に馬乗りになる沙也加に、聖は不機嫌な声で怒鳴り返す。
「重い! 邪魔だ、どけっ! 」
「ふんっ! しらばっくれるんじゃないよ、この淫乱野郎! 昨日、一昨日と二日休んで重役出勤したと思ったら、何だよこの首の痕! 誰につけられたっ!? 」
そう言うと、沙也加は目ざとく聖の首筋に残された痕を見つけ、止める間もなく、ネクタイを取っ払いシャツのボタンを外す。
しかし、その手は途中でピタリと止まった。
「――――社長、あんたマジで誰にやられたのよ? 」
首筋どころか、襟から除く肌のほとんどに、隙間なく噛み傷と鬱血した跡が残っている。
痛みに快楽を感じるような余程のドМでなければ、こんなの嬉しくないし耐えられないだろう。
沙也加は、聖がそういった性癖は持ち合わせていないのを知っている。
そして彼が、暴力に屈するような、か弱い男でないのも知っていた。
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