彼が恋した華の名は:4

亜衣藍

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後日談

-19

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 極道の家に産まれ、当たり前のように荒くれ者に育った。

 恐れを知らぬ傍若無人な男だと、自他ともに認める史郎を、これだけ不安にさせるのはこの世でただ一人……聖だけだ。

 もしもこの男を失ったらと考えるだけで、全身に震えが走る。

「お前はそのままでいい」
「?」

「これまで散々、なんとかしてオレに惚れさせようと足掻いたが、それは諦めた。他の野郎にフラフラするのも我慢しよう。だが……これからも、オレの手の届く範囲に居てくれ」

 思いもかけぬ切実なセリフに、聖は少しだけ目を見開く。

 だが、蕩けきった後孔へバックから加えられる圧力に、意識がそれる。

 低く苦鳴を漏らしながら、これが最後のチャンスだとばかりに、背中越しにもう一度あの質問を口にした。

「なぁ……もう一度訊くが、関川を刺すように犯人を唆したのは、あんたなんだろう?」

 それは、YESだ。
 だが『認めてはダメだ』と勘が働き、ここで恩を売っておくという選択肢は取らない事にする。
 史郎はうそぶきながら、ゆっくり腰を進めた。

「何の事だか、知らねぇな? 関川を仕留めたのは、よっぱど執念深い野郎だったんだろうよ」
「――うっ」

 ググっとめり込んで来る異物に腹を圧迫され、低い声が上がる。
 やがてそれは、甘い悲鳴に変わった。

「あ、あぁ……だめ、だ……」
「くそっ……二度目だってのに……締め付けやがる」

 こちらも苦痛に満ちているような、だが心地よさそうな呻き声を上げて腰をグラインドさせた。

“ちゅくぢゅく”っと淫靡な水音を立てながら、獣のような姿勢で絡み合う。

 そうしながら、史郎は聖の前方へ手を這わせ、確かに反応を見せている雄芯を握り込む。

「し、ろぉ――」
「こいつをしゃぶってやりてぇが、今はオレの方が先だ」
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