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最終章
最終章-2
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ヤツが現われる場所は既に知っている。
ツイン・ロードの本社が入ってる、ビルだ。
既に、その本社には二階堂たちが居る事は、先程の電話での会話で確認している。
その場に関川が居たのなら二階堂と替わっていただろうが、それは無かったことから考えると、関川はこれから駆け付ける可能性が高い。
ならば、ツイン・ロード本社に至るこの路上が、関川を捕らえるチャンスだ!
真壁はその事を近藤へ伝えると、返事が来る前にプッと切った。
(頼みます、近藤さん。オレが必ず、聖さんを守って見せます)
そうだ、何があっても必ず守ってみせる。
それが、今は亡き兄徹との約束だったし、真壁が何事にも代えがたい真の誓いであり願いだ。
たとえ、聖がそれを望んでいなくても……何を犠牲にしても、必ず守ってみせる!
(恨まれても構いません。オレはあなたを守るために、この計画を実行します)
真壁はそう思うと即座に、意を決し、今度は違う番号へと電話を掛けていた。
その電話は、ワンコールで直ぐに通じた。
ゴクリと喉を鳴らし、真壁は口を開く。
「あの、笊川多生という男の事なんですが――」
◇
ツイン・ロードでは、役員を交えての会議が急遽開催されていた。
とはいっても、代表を務める二階堂と、チーフクリエイターと、ディレクター兼経理担当の、例の三人である。
肩書だけはしっかりしているが、根が学生時代から抜けきっていない彼らは、この期に及んでもまだ妙に享楽的であった。
「なんか、ジュピタープロが面倒臭いこと言って来たみたいでさ。すっかり受付が慌てちゃってさ。で、そういう契約事は関川さんにお願いしている訳だし? だから僕から関川さんに連絡したんだけど、そうしたら直ぐにこっちに来るって言うから、今それ待ちなんだよね」
ツイン・ロードの本社が入ってる、ビルだ。
既に、その本社には二階堂たちが居る事は、先程の電話での会話で確認している。
その場に関川が居たのなら二階堂と替わっていただろうが、それは無かったことから考えると、関川はこれから駆け付ける可能性が高い。
ならば、ツイン・ロード本社に至るこの路上が、関川を捕らえるチャンスだ!
真壁はその事を近藤へ伝えると、返事が来る前にプッと切った。
(頼みます、近藤さん。オレが必ず、聖さんを守って見せます)
そうだ、何があっても必ず守ってみせる。
それが、今は亡き兄徹との約束だったし、真壁が何事にも代えがたい真の誓いであり願いだ。
たとえ、聖がそれを望んでいなくても……何を犠牲にしても、必ず守ってみせる!
(恨まれても構いません。オレはあなたを守るために、この計画を実行します)
真壁はそう思うと即座に、意を決し、今度は違う番号へと電話を掛けていた。
その電話は、ワンコールで直ぐに通じた。
ゴクリと喉を鳴らし、真壁は口を開く。
「あの、笊川多生という男の事なんですが――」
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とはいっても、代表を務める二階堂と、チーフクリエイターと、ディレクター兼経理担当の、例の三人である。
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「なんか、ジュピタープロが面倒臭いこと言って来たみたいでさ。すっかり受付が慌てちゃってさ。で、そういう契約事は関川さんにお願いしている訳だし? だから僕から関川さんに連絡したんだけど、そうしたら直ぐにこっちに来るって言うから、今それ待ちなんだよね」
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