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最終章
最終章-1
しおりを挟む聖の指示により、ツイン・ロードへ伺う旨を真壁は伝えた訳だが。
しかし彼は、聖に気付かれぬようにしながら、急遽違う方へも連絡を入れていた。
それは、聖と同じく真壁の古巣でもある、天黄組であった。
◇
『おう、真壁か。どうした?』
「ご無沙汰してます、近藤さん。こんな事を近藤さんへ頼むのはお門違いだとは思いますが、どうしても力を貸してもらい事が……!」
『お前がそんな事を言うなんて珍しいな。何があった?』
この男の名は近藤碇といって、数か月前に、天黄組組長を襲名したばかりの男であった。
近藤碇は聖と同期ということもあり、何かと真壁も付き合いのあった男である。
真壁は、この近藤の力を借りて、いったい何をしようというのか?
「――――関川というチンピラが、聖さんを的に掛けようとしているんです。この男、極道の風上にも置けないクズのくせに悪知恵がやたらと働くもんで、手に負えません」
『ほぉ? その男を天黄でシメてくれってのか?』
近藤のセリフに被さるように、真壁は氷のように冷たい声で告げる。
「関川を拉致して、オレが個人的に借りているトランクルームまで運んでもらえれば、それでいいです。場所は〇〇区にあるトランクルーム、ナンバーは3002、鍵の解除は1556です。お願いします」
『……それだけでいいのか?』
「はい。借りているトランクルームの周辺には防犯カメラも無いので、天黄組にご迷惑は掛けません。とにかくヤツをそこまで運んでもらえば、あとはオレがやります」
真壁は決意を込めて、そう言い切った。
近藤は電話の向こうで何か言おうとしているようだったが、真壁はそれを無視して、関川の情報を端的に伝える。綾瀬探偵から既に関川の資料をもらっていたので、身長を含む外見や容姿は相手に伝え易かった。
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