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そして、それを冷静に諦観するスタッフもいた。
「プログラムはモタつくが、その分インタビューで時間を調整してもらうよう、司会に伝えるんだ。セットも、もういいから引っ込めろ!」
「そうだ。畠山ユウなんざ、過去のスターだ。元々さほど注目されてはいない。番手は遅れているが、観衆の方にも混乱はないから大丈夫だ」
「はい、Pからも同じ指示が出てます」
「……まだ畠山で良かったよ。これがTriangleの方だったら、抗議と問い合わせの集中砲火で炎上だ」
そう言って胸を撫で下ろすスタッフもいたが、状況は深刻だ。
ユウによる想定外の行動によって、殺伐とした空気が現場に漂い、雰囲気は最悪だった。
当然だろう。
畠山ユウの為に用意した舞台美術も労力もその全てが、無駄になってしまったのだ。
居合わせたジュピタープロのスタッフたちも、怒りで青ざめたり赤くなったりして怒鳴りあっている。
誰もが反対するなか、御堂聖の独断と選考で、ジュビタープロからは畠山ユウと決定されたのに。
これでは――。
「どうしてだ? ユウさん……」
もしかして、先日マンションへ強引に押しかけたせいか?
三人は青ざめて、ユウも立つハズだった、華やかな舞台を見遣った。
◇
熱狂の夜は明け、音楽の祭典は大成功に終わった。
テスト的な意味合いが強かったイベントだったが、結果は予想以上に大好評だった。
なんと、視聴率は三十パーセントを超えたのだ。
近年稀にみるこの喜ばしい結果に、年末にも【ミュージック・ヒット・ザ・ジャックポット】は、再び開催される方向で決まった。
――――だが、アクシデントもあった。
出演予定のアーティストだった畠山ユウが、出演をボイコットしたのだ。
当初それは、本人の体調不良ということで処理され、そうテロップが放送されたのだが。
人の口に戸は立てられぬもので、翌日にはボイコットだったと一気に拡散してしまった。
最悪な事に、インターネットで流れてしまったのだ。
そうなっては、もう誰にも止められない。
すぐにネットは大荒れになり、大炎上に発展した。
通常であれば、十年以上もヒット曲のない落ち目の歌手のネタなど誰も気にしないくせに、この時ばかりは、蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。
――生意気だ!
――畠山ユウって、引退してなかったんだ? っていうか、まだ生きていたんだ。
――相変わらず大物ぶってるよね。
「プログラムはモタつくが、その分インタビューで時間を調整してもらうよう、司会に伝えるんだ。セットも、もういいから引っ込めろ!」
「そうだ。畠山ユウなんざ、過去のスターだ。元々さほど注目されてはいない。番手は遅れているが、観衆の方にも混乱はないから大丈夫だ」
「はい、Pからも同じ指示が出てます」
「……まだ畠山で良かったよ。これがTriangleの方だったら、抗議と問い合わせの集中砲火で炎上だ」
そう言って胸を撫で下ろすスタッフもいたが、状況は深刻だ。
ユウによる想定外の行動によって、殺伐とした空気が現場に漂い、雰囲気は最悪だった。
当然だろう。
畠山ユウの為に用意した舞台美術も労力もその全てが、無駄になってしまったのだ。
居合わせたジュピタープロのスタッフたちも、怒りで青ざめたり赤くなったりして怒鳴りあっている。
誰もが反対するなか、御堂聖の独断と選考で、ジュビタープロからは畠山ユウと決定されたのに。
これでは――。
「どうしてだ? ユウさん……」
もしかして、先日マンションへ強引に押しかけたせいか?
三人は青ざめて、ユウも立つハズだった、華やかな舞台を見遣った。
◇
熱狂の夜は明け、音楽の祭典は大成功に終わった。
テスト的な意味合いが強かったイベントだったが、結果は予想以上に大好評だった。
なんと、視聴率は三十パーセントを超えたのだ。
近年稀にみるこの喜ばしい結果に、年末にも【ミュージック・ヒット・ザ・ジャックポット】は、再び開催される方向で決まった。
――――だが、アクシデントもあった。
出演予定のアーティストだった畠山ユウが、出演をボイコットしたのだ。
当初それは、本人の体調不良ということで処理され、そうテロップが放送されたのだが。
人の口に戸は立てられぬもので、翌日にはボイコットだったと一気に拡散してしまった。
最悪な事に、インターネットで流れてしまったのだ。
そうなっては、もう誰にも止められない。
すぐにネットは大荒れになり、大炎上に発展した。
通常であれば、十年以上もヒット曲のない落ち目の歌手のネタなど誰も気にしないくせに、この時ばかりは、蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。
――生意気だ!
――畠山ユウって、引退してなかったんだ? っていうか、まだ生きていたんだ。
――相変わらず大物ぶってるよね。
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