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「しつこいんだよ! オレは、お前になんか二度と会いたくない。何回同じ事を言わせる気だ!!」
ユウの強張った声に、零は悲しそうに顔をクシャリと歪めた。
そうすると、成りはユウよりデカいがまだ十六歳の少年。
大人が、まるで子供を苛めているような構図になる。
「オレ、オレ……」
濃いブルーの目からポロポロと涙が流れると、ますますユウの方が悪者のようになる。
「――――ちょっと、待った!」
これ以上騒ぎになる前にと、慌てて駆けつけた美央と明が合流した。
「あーあ……ユウさん、年下を泣かしちゃダメじゃんか」
「っ! き、君らは……」
「お久しぶりです、ユウさん。オレ達の事、覚えてますよね? 零と同じTriangleのメンバーです。先日はどうも……。ところで、人が集まる前に、場所を変えた方がいいのではないですか?」
この提案に、ユウは逡巡した後、渋々口を開いた。
「……仕方ない、オレのマンションへ来い」
そう言うと、キュッと踵を返した。
◇
殺風景だけど、趣味は悪くない。何より、素足で過ごせる室内は思いのほか快適だ。
それが、ユウのマンションに対する、三人の共通する感想だった。
「わ~完全防音だ! 三八マイクまで置いてあるし、スタジオ並みじゃないですか!?」
「……ここで音を取ることもあるからな」
憮然と答え、ユウは三人のために、大きめのクッションを何個か分厚い絨毯の上へ出した。
「二人掛けのソファーに、男三人はきついだろうからな」
「ありがとうございます」
三人はそれぞれ頭を下げると、各々腰を下ろし、そして改めてユウを見る。
久しぶりに見るユウは、少しやつれているようだった。
二重の大きめの目の下には、うっすらと隈が浮かんでいる。
引きこもる事が多いせいか、日に焼けていない肌は優しい乳白色で、長い睫毛が落とす影をいっそう印象付けている。
三十という歳も相まって、非常にセクシーで、少し退廃的な色気が滲んでいた。
「……で、いったい何の用だ?」
大人で、余裕のある先輩芸能人を取り繕う気は最初から無いのか、忌々しそうに口火を切ったユウは、実に攻撃的に三人を睨みつけてきた。
その、鋭い刃物のようなユウの視線に、なぜか零は既視感を憶える。
(え?)
――――オレは、この射抜くような視線を、何度か経験している?
固まる零を他所に、三人の中で一番大胆な性格をしている美央が口を開いた。
ユウの強張った声に、零は悲しそうに顔をクシャリと歪めた。
そうすると、成りはユウよりデカいがまだ十六歳の少年。
大人が、まるで子供を苛めているような構図になる。
「オレ、オレ……」
濃いブルーの目からポロポロと涙が流れると、ますますユウの方が悪者のようになる。
「――――ちょっと、待った!」
これ以上騒ぎになる前にと、慌てて駆けつけた美央と明が合流した。
「あーあ……ユウさん、年下を泣かしちゃダメじゃんか」
「っ! き、君らは……」
「お久しぶりです、ユウさん。オレ達の事、覚えてますよね? 零と同じTriangleのメンバーです。先日はどうも……。ところで、人が集まる前に、場所を変えた方がいいのではないですか?」
この提案に、ユウは逡巡した後、渋々口を開いた。
「……仕方ない、オレのマンションへ来い」
そう言うと、キュッと踵を返した。
◇
殺風景だけど、趣味は悪くない。何より、素足で過ごせる室内は思いのほか快適だ。
それが、ユウのマンションに対する、三人の共通する感想だった。
「わ~完全防音だ! 三八マイクまで置いてあるし、スタジオ並みじゃないですか!?」
「……ここで音を取ることもあるからな」
憮然と答え、ユウは三人のために、大きめのクッションを何個か分厚い絨毯の上へ出した。
「二人掛けのソファーに、男三人はきついだろうからな」
「ありがとうございます」
三人はそれぞれ頭を下げると、各々腰を下ろし、そして改めてユウを見る。
久しぶりに見るユウは、少しやつれているようだった。
二重の大きめの目の下には、うっすらと隈が浮かんでいる。
引きこもる事が多いせいか、日に焼けていない肌は優しい乳白色で、長い睫毛が落とす影をいっそう印象付けている。
三十という歳も相まって、非常にセクシーで、少し退廃的な色気が滲んでいた。
「……で、いったい何の用だ?」
大人で、余裕のある先輩芸能人を取り繕う気は最初から無いのか、忌々しそうに口火を切ったユウは、実に攻撃的に三人を睨みつけてきた。
その、鋭い刃物のようなユウの視線に、なぜか零は既視感を憶える。
(え?)
――――オレは、この射抜くような視線を、何度か経験している?
固まる零を他所に、三人の中で一番大胆な性格をしている美央が口を開いた。
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