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「はい、今から出ます」
そう返答し、ユウは簡単な荷物をバックへまとめて、部屋を後にした。
◇
乗り込むと、すぐにスタジオへと車は移動を始めた。
ユウは、真壁が運転するその車の後部座席に座ったのだが、どこか真壁の様子に違和感があるのに気付いた。
バックミラーでよくよく確認すると、真壁の顔に痣がある。
「……真壁さん、顔、どうしたんです?」
「えっ! ああ……なんでもないです。ちょっと、階段から落ちまして」
階段から落ちて、顔に痣?
嫌な予感がして、ユウは口を開いた。
「違うでしょう。本当はどうしたんです?」
「いえ、なんでも……」
まさか、
「――御堂社長ですか?」
「いや、これは社長ではなくて、あのガキ……」
自分でも、しまったと思ったのだろう。
真壁が、ハッとしたのが分かった。
「もしかして、昨日の……?」
「――はい。防犯カメラで、ユウさんのマンションを訪れた男を確認しました」
観念して、真壁は認めた。
ユウはサッと青ざめると、急いで携帯電話を取り出し、聖の番号を押した。
数回の呼び出し音の後、『どうした?』と、聖の声が返ってくる。
「聖さん! バカな事を考えているなら、止めてくれっ!!」
『なに? ……真壁のヤツ、しくじったな』
忌々し気に舌打ちするのが聞こえた。
「聖さんっ」
『気にするな。お前には関係ないことだ』
だが、「はいそうですか」と言って、聖にこれ以上面倒をかけるワケにはいかない。
「ダメです! これは、オレの問題です! そこに零って金髪のアイドルがいるんでしょう!?」
『……まぁな』
「絶対に手を出さないでください!」
『――そんなわけ行くか!』
激高した声に、ユウはビクッと肩をすくめる。
だが、ここで引き下がるワケにはいかない。
「お願いです、聖さん!! 手を出しちゃダメだっ!」
『お前は俺の大切な歌手だ。それを傷付けておいて、まさか無罪放免に出来るワケないだろう!?』
そう返答し、ユウは簡単な荷物をバックへまとめて、部屋を後にした。
◇
乗り込むと、すぐにスタジオへと車は移動を始めた。
ユウは、真壁が運転するその車の後部座席に座ったのだが、どこか真壁の様子に違和感があるのに気付いた。
バックミラーでよくよく確認すると、真壁の顔に痣がある。
「……真壁さん、顔、どうしたんです?」
「えっ! ああ……なんでもないです。ちょっと、階段から落ちまして」
階段から落ちて、顔に痣?
嫌な予感がして、ユウは口を開いた。
「違うでしょう。本当はどうしたんです?」
「いえ、なんでも……」
まさか、
「――御堂社長ですか?」
「いや、これは社長ではなくて、あのガキ……」
自分でも、しまったと思ったのだろう。
真壁が、ハッとしたのが分かった。
「もしかして、昨日の……?」
「――はい。防犯カメラで、ユウさんのマンションを訪れた男を確認しました」
観念して、真壁は認めた。
ユウはサッと青ざめると、急いで携帯電話を取り出し、聖の番号を押した。
数回の呼び出し音の後、『どうした?』と、聖の声が返ってくる。
「聖さん! バカな事を考えているなら、止めてくれっ!!」
『なに? ……真壁のヤツ、しくじったな』
忌々し気に舌打ちするのが聞こえた。
「聖さんっ」
『気にするな。お前には関係ないことだ』
だが、「はいそうですか」と言って、聖にこれ以上面倒をかけるワケにはいかない。
「ダメです! これは、オレの問題です! そこに零って金髪のアイドルがいるんでしょう!?」
『……まぁな』
「絶対に手を出さないでください!」
『――そんなわけ行くか!』
激高した声に、ユウはビクッと肩をすくめる。
だが、ここで引き下がるワケにはいかない。
「お願いです、聖さん!! 手を出しちゃダメだっ!」
『お前は俺の大切な歌手だ。それを傷付けておいて、まさか無罪放免に出来るワケないだろう!?』
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