上 下
94 / 116
ワガママで意地悪で、どうしようもなく純愛。

3

しおりを挟む
 達実よりずっと使い込んでいるそれは、赤銅色で隆々とした形をしている。だが、現在只今余裕が無い事は、経験の浅い達実の眼からしても明らかだった。

 硬く勃起して筋が浮かび上がっており、しかもずっと先端からは汁が流れ出ている。

 それを見て、達実は場違いな事を口にした。

「ええと、これは医学でいうトコロの、性的興奮時に弱アルカリ性の粘液を分泌するっていう……つまりカウパー……でいいんだよな? 」

「お前、案外余裕だな」

「だ、だって! 気になるじゃないか」

 性に疎い達実には、何もかもが初体験だ。

 アレンとの情事は未遂だったし、そもそもアルコールの所為で意識が朦朧としていたし。

 でも、悪友たちが言っていた情報はしっかりと記憶している。

(そうだ。これは通称、我慢汁だって言ってた! じゃあ采は、こんな憎らしいくらいに余裕ぶってるけど……いま、物凄く我慢してるってことだよね)

 すると達実は、今度は自分の攻撃の番だと言わんばかりに舌なめずりをした。

 そして、早速行動に移す。

「お、おいっ! 」

「ふふん」

 采の慌てた声に、達実はしてやったりというように鼻で笑う。

 何と達実は、今にも暴発しそうな采の雄芯を、自分の太腿で器用に挟んだのだ。

「涼しい顔しちゃってさ。こんなに大きくしといて、どこまで我慢できるかな? 」

 意趣返しに、達実は自身の太腿へ力を入れてキュッと閉じる。

 すると、ダイレクトにペニスへ刺激を受けて、「うっ」と、采はたまらず呻いてしまった。

「お、まえ……オレにこんな意地悪をして、ただで済むと思うなよ? 」

 低い声で恫喝すると、達実は目尻を快感で紅く染めながらニヤリと笑った。

「あ、そんな事いうんだ? じゃあ……これはどうかな? 」

 言うと同時に、雄芯を挟んだままの太腿を、前後へと蠢かす。

 するとさすがに耐え切れずに、采は呻き声を上げながら達した。

「あ……」

 内腿を滴る熱い白濁に、達実もまた触発されて雄芯をヒクリと緩く勃ち上がらせる。

 その様子を目聡く見つけ、采は再び笑う。

「おいおい、またお前の方が、先にイキそうじゃないか」

「な、なんだよ。たった今、僕に負けたくせに。偉そうに……」

「負けた? 何の事だ? 」

 そのセリフに異変を感じ取り、目線を落とすと、達実はヒクリと喉を鳴らした。

「あ――嘘だろう? 」

 采の雄芯は、たったいま暴発したのが嘘のように、再び隆々と屹立していたのだ。

 ニヤリと笑いながら、采は口を開く。

「本気で欲情したアルファが、一回や二回くらいで果てるワケがないだろう? 一晩中、番と定めたオメガが孕むまでセックスする事が可能な人種なんだ。本来、オレたちアルファは、並大抵の性欲じゃないハズだぞ」

「ぼ、僕はそんなことしないもん」

 可愛らしい反論に、采は相好を崩す。

「生憎と、オレは可能なんだ」

「えぇっ」

「だから、何度も言うように、経験値の違いってヤツを教えてやるよ」

 采はそう言うと、今度は自分の番だとばかりに、達実の雄芯を口に含んだ。

 そうして、今回は容赦なく舌技を駆使して、強烈なブロージョブを開始する。

「……ぅ」

 達実はもう、その刺激に声も出ない。

 目の前で、快楽という名の星がチカチカと踊るようだ。

「や、め――あ、あやまる、から……」

 形のいい眉を弓型に歪め、足先を九の字に折り曲げながら、たまらず哀願の言葉を口にする。

 全身を炙るような熱と、初体験の強烈な刺激と快楽。

 それらに翻弄されて、達実は唇から唾液を垂らしながらパクパクと口を開ける。

「あぁ、さ、さいぃ……んぅっ! 」

 しかも、次に我が身を襲った更なる衝撃に、達実の身体は海老のように跳ね上がった。

 采は達実の雄芯を喉奥まで吸い込みながら、同時に、ヒクヒクと震える可憐な蕾へと指を侵入させたのだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

恋した貴方はαなロミオ

須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。 Ω性に引け目を感じている凛太。 凛太を運命の番だと信じているα性の結城。 すれ違う二人を引き寄せたヒート。 ほんわか現代BLオメガバース♡ ※二人それぞれの視点が交互に展開します ※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m ※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

真柴さんちの野菜は美味い

晦リリ
BL
運命のつがいを探しながら、相手を渡り歩くような夜を繰り返している実業家、阿賀野(α)は野菜を食べない主義。 そんななか、彼が見つけた運命のつがいは人里離れた山奥でひっそりと野菜農家を営む真柴(Ω)だった。 オメガなのだからすぐにアルファに屈すると思うも、人嫌いで会話にすら応じてくれない真柴を落とすべく山奥に通い詰めるが、やがて阿賀野は彼が人嫌いになった理由を知るようになる。 ※一話目のみ、攻めと女性の関係をにおわせる描写があります。 ※2019年に前後編が完結した創作同人誌からの再録です。

旦那様と僕

三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。 縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。 本編完結済。 『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。

運命の息吹

梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。 美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。 兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。 ルシアの運命のアルファとは……。 西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。

幼馴染は僕を選ばない。

佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。 僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。 僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。 好きだった。 好きだった。 好きだった。 離れることで断ち切った縁。 気付いた時に断ち切られていた縁。 辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

処理中です...