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Cross-purposes of the love

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 つらつらと夢うつつにそんな事を考えている内に、達実はとうとう寝入ってしまった。

「……タツミ? 」

 返事は、ない。

 微かに寝息を立てて無防備に眠る達実は、実際の年齢以上に幼く見える。

 その様子に目を細めながら、アレンは呟く。

「本当に君は――魅力的だな」

 対面のソファーから場所を移し、達実の隣へと静かに腰を下ろす。

 ソファーがアレンの重みで少し揺れたが、達実が起きる気配はない。

 アレンはそっと手を忍ばせて、達実の着ていた服をゆっくりと脱がせにかかった。

 達実が部屋着に着ていたのは、コットン生地のゆったりとしたトレーナーとショートパンツ、そして下着だけだ。脱がせるのは簡単だ。

 袖を腕から器用に抜くと、アッという間に上半身は裸になる。

肌理きめの細かな、光り輝くような綺麗な裸身に、アレンは感嘆の熱い息をもらす。

「なんて美しい――……」

 オメガのように中性的な美しさではない。

 達実はアルファだ。

 その肉体には女性を連想させるようなものなど一切なく、滑らかに引き締まった筋肉が程よく付いている。

――――二の腕にも、胸にも、腹部にも。

 どこからどう見ても、達実は立派な男性の身体をしている。

 まるで、美しく若い牡鹿を思わせるような肉体だ。

 当然、彼はアルファなので、オメガのような催淫フェロモンなど発するわけがないのだが……しかしアレンは、達実に惹き付けられるのを止めることが出来ない。

 生まれながらの王族のように育った彼である。

 自分から誘わずとも、相手の方からへつらって近付いてくるのが当たり前であった。

 オメガは「自分の項を噛んでくれと」擦り寄り、ベータは「自分を何とか後援してくれ」と卑屈に首を垂れる。

 同族である筈のアルファはアルファで、無意味に張り合おうとしたり敵意を剥き出しにしてきたり。

 何ともこの世には下らない低能な奴等ばかりだと、アレンは退屈な毎日を送っていた。


 だが、そんなアレンが――――ある日、アリゾナでこの奇跡の宝石に出会ったのである。


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