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聖は訝し気な眼差しをミヤビへ注ぎながら、その疑問を口にした。
「ところで――どうして、ここにInnovativeのボーカルがいるんだ? 今までユウと、そんなに交流があったようには見えなかったが――――それに、クウガはどうしたんだ? 」
ユウは、クウガの名前を出して聖をここへ呼んだのだ。
それなのに、ここにはクウガ何某とみられる人物はいない。
「まさか、クウガっていうのはお前かっ!? 」
聖の鋭い視線が、慎一へ向く。
慎一は慌てて、ブンブンと首を振って答える。
「違います! おれは、零のマネージャーを担当している秋川慎一というものです。あ、これが名刺です」
差し出された名刺を受け取り、聖は『ふんっ』と鼻を鳴らす。
「『スタジオ:アフロディーテ』か……一丁前に、金髪は良い事務所に移籍したもんだな」
聖の言葉を受け、慎一はホッと息をついた。
「そ、それはもう! 零は、ウチ一番の出世頭です。お陰様で海外の大手事務所にも登録し、A+のアジア専属モデルとして今やウチの絶対的エースですよ。身贔屓ではありますが、こちらのユウさんに、これ以上相応しい恋人もいないと思います」
慎一としては、ユウの顔も零の顔も、両方を立てたつもりなのだが――――聖はなぜか憎々し気に舌打ちすると、さっさと話題を戻した。
「それじゃあ、ここにクウガはいないんだな? ……ではフェスの件は一度事務所へ持ち帰って、再度イベンターと打ち合わせをするが、ミヤビとInnovativeのメンバー共々、サポートメンバーとして出演は可能だろう。今度こそ真面目に、真剣になってユウと協力しろよ。後で詳しく連絡するから、電話には直ぐ出てくれ。――――さ、行くぞ、史郎」
聖はそれだけ言うと、クウガを捕獲すべくその場を後にしようとした。
だが、ユウはそれを引き留める。
「待ってください、聖さん! 」
「? 」
「クウガは、ここにいます」
「何だと? 」
「ところで――どうして、ここにInnovativeのボーカルがいるんだ? 今までユウと、そんなに交流があったようには見えなかったが――――それに、クウガはどうしたんだ? 」
ユウは、クウガの名前を出して聖をここへ呼んだのだ。
それなのに、ここにはクウガ何某とみられる人物はいない。
「まさか、クウガっていうのはお前かっ!? 」
聖の鋭い視線が、慎一へ向く。
慎一は慌てて、ブンブンと首を振って答える。
「違います! おれは、零のマネージャーを担当している秋川慎一というものです。あ、これが名刺です」
差し出された名刺を受け取り、聖は『ふんっ』と鼻を鳴らす。
「『スタジオ:アフロディーテ』か……一丁前に、金髪は良い事務所に移籍したもんだな」
聖の言葉を受け、慎一はホッと息をついた。
「そ、それはもう! 零は、ウチ一番の出世頭です。お陰様で海外の大手事務所にも登録し、A+のアジア専属モデルとして今やウチの絶対的エースですよ。身贔屓ではありますが、こちらのユウさんに、これ以上相応しい恋人もいないと思います」
慎一としては、ユウの顔も零の顔も、両方を立てたつもりなのだが――――聖はなぜか憎々し気に舌打ちすると、さっさと話題を戻した。
「それじゃあ、ここにクウガはいないんだな? ……ではフェスの件は一度事務所へ持ち帰って、再度イベンターと打ち合わせをするが、ミヤビとInnovativeのメンバー共々、サポートメンバーとして出演は可能だろう。今度こそ真面目に、真剣になってユウと協力しろよ。後で詳しく連絡するから、電話には直ぐ出てくれ。――――さ、行くぞ、史郎」
聖はそれだけ言うと、クウガを捕獲すべくその場を後にしようとした。
だが、ユウはそれを引き留める。
「待ってください、聖さん! 」
「? 」
「クウガは、ここにいます」
「何だと? 」
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