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日本のモデル事務所に、ヨーロッパの事務所、そしてアメリカからも……いったい零はどこにいるんだと詰問され、鼓膜が破れるような罵声を浴びせられ怒鳴られる。
ずっと、この調子だ。
マネージャーなんだから、モデルの行動をしっかりコントロールしろと叱責され、電話に向かい平身低頭謝罪する慎一に、更に言葉が突き刺さる。
「それで、いったいお前は、今どこにいるんだ! 」
「ええと、あの、零の無事を確認してですね……」
「当たり前だ! 保険だけでも何億入っていると思っているんだ! 」
「で、ですよね……」
「零の居場所は? お前はそれで、何をしているんだ!? 」
真面目な慎一は、その矢継ぎ早の詰問を上手に躱す事が出来ずに、馬鹿正直に答えていた。
「ええと、おれが零のパスポートを預かっていたんで、今は一緒に日本に……」
「はぁ!? 日本だって!! この、大馬鹿の○○野郎! 零を上手いこと言いくるめて今すぐ帰ってこい! いいか、お前はっ」
そこで、そこまで隣にいた零が慎一の携帯をひょいっと取り上げ、勝手に電源を落としてしまった。
「あああ! ちょっと、零! 勝手にそんな、ダメじゃないかっ」
「さっきから、小田原評定じゃないですか。要領を得ない時は切り上げるのが一番です」
「小田原って……零はよくそんな言葉知ってるなぁ」
外見は西洋人っぽいのに、そこらの日本人よりずっと博識だ。
と、妙なところで感心していると、零が慎一に向かい小さく頭を下げた。
「慎一さんには迷惑をかけますが、これだけは譲れませんから。それにいざとなれば、契約の時の条件を盾にすれば向こうも黙るでしょう。だから、オレが心配だって言うなら黙ってついてきてください」
「契約……」
「『畠山ユウに関して、柊・タルヴォ・零が行動する件には、一切関与せず制限しない』という条件で契約しているんです。向こうは有耶無耶にする気のようですが、オレは絶対にその点に関しては譲りませんから」
「……」
ずっと、この調子だ。
マネージャーなんだから、モデルの行動をしっかりコントロールしろと叱責され、電話に向かい平身低頭謝罪する慎一に、更に言葉が突き刺さる。
「それで、いったいお前は、今どこにいるんだ! 」
「ええと、あの、零の無事を確認してですね……」
「当たり前だ! 保険だけでも何億入っていると思っているんだ! 」
「で、ですよね……」
「零の居場所は? お前はそれで、何をしているんだ!? 」
真面目な慎一は、その矢継ぎ早の詰問を上手に躱す事が出来ずに、馬鹿正直に答えていた。
「ええと、おれが零のパスポートを預かっていたんで、今は一緒に日本に……」
「はぁ!? 日本だって!! この、大馬鹿の○○野郎! 零を上手いこと言いくるめて今すぐ帰ってこい! いいか、お前はっ」
そこで、そこまで隣にいた零が慎一の携帯をひょいっと取り上げ、勝手に電源を落としてしまった。
「あああ! ちょっと、零! 勝手にそんな、ダメじゃないかっ」
「さっきから、小田原評定じゃないですか。要領を得ない時は切り上げるのが一番です」
「小田原って……零はよくそんな言葉知ってるなぁ」
外見は西洋人っぽいのに、そこらの日本人よりずっと博識だ。
と、妙なところで感心していると、零が慎一に向かい小さく頭を下げた。
「慎一さんには迷惑をかけますが、これだけは譲れませんから。それにいざとなれば、契約の時の条件を盾にすれば向こうも黙るでしょう。だから、オレが心配だって言うなら黙ってついてきてください」
「契約……」
「『畠山ユウに関して、柊・タルヴォ・零が行動する件には、一切関与せず制限しない』という条件で契約しているんです。向こうは有耶無耶にする気のようですが、オレは絶対にその点に関しては譲りませんから」
「……」
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