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しかし成り行きとはいえ、あんなガキを、一瞬でも誘惑する羽目になるとは。
(やれやれ……)
室内の照明を半分に落としたところで、聖はふぅと息を継いだ。
すると、丁度そのタイミングで、ドアがコンコンとノックされた。
「真壁です――――お連れしました」
「入れ」
そう返事をかえすと、すぐにドアが開いた。真壁の、慌てた声が上がる。
「っと! まて――」
「お前らは、外で待っていろ」
真壁を背後に押しやりながら、半年前よりも、どこか荒んだような様子の史郎が前へ出た。一重の鋭い目が、激しく飢えた餓狼のように、重暗い眼光を放っている。
「聖……」
「来いよ――オレが欲しければ」
聖はそう言うと、これまで何度も男たちを虜にしてきた、蠱惑的な笑みを浮かべていた。
◇
「頼み……だと? 」
史郎の声に頷き返しながら、緩く、その史郎の雄へ指を這わせて――……聖は、唇を震わせる。
「ああ」
「言ってみろ」
「どうやら、ユウが――あんたの知り合いに、嫌がらせを受けているようなんだ」
聖の言う『ユウ』が何者なのかは、既に承知している。
史郎がどんなに割り込もうとしても不可能だった、聖の中にある絶対不可侵の領域を独占している息子だと。
――――半年前、ハッキリと別れを切り出した聖の方からの、呼び出しだ。
何か、余程の事が起こったのだろうとは察したが。
「そうか……だからオレを呼んだのか」
(やれやれ……)
室内の照明を半分に落としたところで、聖はふぅと息を継いだ。
すると、丁度そのタイミングで、ドアがコンコンとノックされた。
「真壁です――――お連れしました」
「入れ」
そう返事をかえすと、すぐにドアが開いた。真壁の、慌てた声が上がる。
「っと! まて――」
「お前らは、外で待っていろ」
真壁を背後に押しやりながら、半年前よりも、どこか荒んだような様子の史郎が前へ出た。一重の鋭い目が、激しく飢えた餓狼のように、重暗い眼光を放っている。
「聖……」
「来いよ――オレが欲しければ」
聖はそう言うと、これまで何度も男たちを虜にしてきた、蠱惑的な笑みを浮かべていた。
◇
「頼み……だと? 」
史郎の声に頷き返しながら、緩く、その史郎の雄へ指を這わせて――……聖は、唇を震わせる。
「ああ」
「言ってみろ」
「どうやら、ユウが――あんたの知り合いに、嫌がらせを受けているようなんだ」
聖の言う『ユウ』が何者なのかは、既に承知している。
史郎がどんなに割り込もうとしても不可能だった、聖の中にある絶対不可侵の領域を独占している息子だと。
――――半年前、ハッキリと別れを切り出した聖の方からの、呼び出しだ。
何か、余程の事が起こったのだろうとは察したが。
「そうか……だからオレを呼んだのか」
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