マガイモノ

5

5-6

　やれやれと言うように首を振ると、美央は嘆息して口を開いた。

「まったく、仕方ないなぁ～。零のヤツが何を考えているのか、ユウさんの名は出さないようにそれとなくオレから聞いてやりますよ」

「べ、べつに――オレはっ」

「はいはい」

　そういなすと、美央はくすりと笑う。

「でも、まさかユウさんと、こういう風に話せる日が来るなんて思ってなかったですよ。アイドルやっていた時は、みんなライバルだーって思っていたから……それこそ、同じグループであるハズの明や零にも、オレは敵意を燃やしてましたからね」

　でも今は、こうして本当にやりたかった事にチャレンジできている。

　アイドルをやっていたときよりも、ずっと毎日が楽しい。


――――恋人も、できたし。


「オレ、好きな者同士が、周りのせいで上手く行かない状況っていうのは許せないんですよ。だから、こういう炎上商法で名前を売ろうってヤツは我慢できないんです。まったく、ミヤビのヤツ！　全然売れないもんだから弟を使うなんて――」

「でも、今のところInnovativeの名前は出てきてないんだ。だから、本当にミヤビが関係しているのか……少し自信がない」

「いやいや、ヤツは相当性格悪いですからね。とことん引っ張ったところで、バーンと表に出てくるに違いないですよ。ウワサじゃあ、地下系のプランナーもInnovativeに出入りしていたって話を、以前聞いたことあるし」

　そう言うと、美央は件くだんの新人ADの写真を睨んだ。


「まずはこいつを、締め上げてやりましょう！　」