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フゥと溜め息をついて、ユウは椅子から立ち上がった。
「急に訊ねて悪かったな。せっかく舞台の稽古をしていたのに、中断させてしまった。もう行くよ」
「すみません……せめて、ミヤビの弟の名前も聞いていればよかったんですが――――弟の方は一般人らしかったので、ちょっと分からないんです……」
「いや、いいんだ。多分、そいつはオレの近くでスタッフとして働いているんだろうし、新顔でそれっぽい怪しそうなヤツにアタリを付けて探ってみるよ」
しかし、それはそれで危ないではないか。
とっくに髪の色は赤から戻しているだろうし、犯人の容姿も含めて名前さえもハッキリしない。
第一、ユウから見せられたメモには、元Triangleの零と破局しろと書かれていた。
犯人がミヤビの弟だとしても、なんでその弟が、零と別れろとユウに言うんだろう?
敵の目的は怨恨だとは思うが――――目的が、本当に謎だ。
明はユウが心配になり、思わず引き留めていた。
「ユウさん、ちょっと待ってください! オレは舞台で抜けられませんが……代わりに、ユウさんを手伝ってくれそうなヤツを呼びますよ」
「手伝う? オレを? 」
「はい。いつも零がお世話になっているんだし、元Triangleのリーダーとしてお礼がしたいですし」
生真面目な明の言葉に、ユウは苦笑した。
「ハハ……いや、もうTriangleも解散して2年が経つんだし、そんなに迷惑は掛けられないよ」
「いいえ。ユウさんを独りにしたら、零に恨まれますから」
明はキッパリと言うと、ポケットから携帯を取り出して何処かへ電話を掛けた。
何回かのコールの後に、電話は繋がる。
「あ―オレ、うん、うん。頼みがあるんだけど――」
幾度かのやり取りの後に、明は「じゃあ、よろしく」と言って電話を切った。
「明日、ユウさんのマンションへ仲間が手伝いに行きます。業界のことは重々知っているので、頼りになると思いますよ」
「誰に連絡したんだ? 」
ユウと、Triangleのこと。両方に精通している人物となると……?
「金城美央です。オレや零と同じ、Triangleの元メンバ―ですよ」
そう告げると、明は力強く言い切った。
「オレたち元Triangleで、ユウさんを必ず助けます」
「急に訊ねて悪かったな。せっかく舞台の稽古をしていたのに、中断させてしまった。もう行くよ」
「すみません……せめて、ミヤビの弟の名前も聞いていればよかったんですが――――弟の方は一般人らしかったので、ちょっと分からないんです……」
「いや、いいんだ。多分、そいつはオレの近くでスタッフとして働いているんだろうし、新顔でそれっぽい怪しそうなヤツにアタリを付けて探ってみるよ」
しかし、それはそれで危ないではないか。
とっくに髪の色は赤から戻しているだろうし、犯人の容姿も含めて名前さえもハッキリしない。
第一、ユウから見せられたメモには、元Triangleの零と破局しろと書かれていた。
犯人がミヤビの弟だとしても、なんでその弟が、零と別れろとユウに言うんだろう?
敵の目的は怨恨だとは思うが――――目的が、本当に謎だ。
明はユウが心配になり、思わず引き留めていた。
「ユウさん、ちょっと待ってください! オレは舞台で抜けられませんが……代わりに、ユウさんを手伝ってくれそうなヤツを呼びますよ」
「手伝う? オレを? 」
「はい。いつも零がお世話になっているんだし、元Triangleのリーダーとしてお礼がしたいですし」
生真面目な明の言葉に、ユウは苦笑した。
「ハハ……いや、もうTriangleも解散して2年が経つんだし、そんなに迷惑は掛けられないよ」
「いいえ。ユウさんを独りにしたら、零に恨まれますから」
明はキッパリと言うと、ポケットから携帯を取り出して何処かへ電話を掛けた。
何回かのコールの後に、電話は繋がる。
「あ―オレ、うん、うん。頼みがあるんだけど――」
幾度かのやり取りの後に、明は「じゃあ、よろしく」と言って電話を切った。
「明日、ユウさんのマンションへ仲間が手伝いに行きます。業界のことは重々知っているので、頼りになると思いますよ」
「誰に連絡したんだ? 」
ユウと、Triangleのこと。両方に精通している人物となると……?
「金城美央です。オレや零と同じ、Triangleの元メンバ―ですよ」
そう告げると、明は力強く言い切った。
「オレたち元Triangleで、ユウさんを必ず助けます」
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