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88話 処刑
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「…………え?」
「……その…先程言いました通りです…」
パトリツィオが真剣に恋をしていると聞いてもうドッキドキだったセラフィーナ。こちらも王子に負けず劣らず。
浮気した上で騙し続けるなんて、陛下に申し訳ない、という気持ちから、ついつい言うまいとしていた本心をそのままぶちまけてしまったのである。
言った内容は、もちろんアレ。
「……それじゃあ…君は男で…女のフリをしていたって言うのか……!?」
「その……はい…そうです……」
【WARNING!WARNING!】
「陛下の気持ちはとても嬉しいです。その……心は女の子のつもりなので…好きだ…って言って下さるのは…とても嬉しいものなんです…///」
「ただ…」
伴侶、ともなれば、当然結婚するということ。そうなったら王子の下半身にトラウマメイカー生成不可避である。仕方なしのカミングアウト。
「な………そ、それは本当……なのか…?告白を断る為の方弁では無くて…?」
「本当です…み、見ますか?」
顔を赤らめるセラフィーナ。見たいような見たくないような最高にして最悪の葛藤がパトリツィオに襲いかかる!
「…見せんでも良い!君がそう言うなら俺は信じよう!///」
「陛下…」
「……だが、それが本当なら大問題だな。君は男で聖女の座に就いているのだから…」
「……わかっております。覚悟の上で…話しました」
死刑。そして、王族を騙した事による重罪も加わる。嘘一つとはいえ、それで大罪人にのし上がってしまったセラフィーナを野放しにする訳にはいかない。
「……とはいえ。だ。君は確かに聖女としての役目は果たしているはず。今君を失うのは国としても、とても困る訳だ」
法に従って彼女を殺害し、結界が薄れて国が滅びてしまえば本末転倒。殺るとなれば簡単だが、殺った後のことを考えると、簡単に決断を下せないのも事実である。
「…確かに、今は結界の維持が最優先だと思います。……でも、だからと言って、嘘をついた事実は消えません。平和になった世界で、私を処刑して下さい」
「っ………」
なんと残酷な選択を迫るのだろうか。いくら騙されていたとはいえ、愛した女を殺すなど。だが、自分は王だ。なにより正しく、民の模範とならねばならない。たとえ聖女でも、法の下に裁かれなければ民は不信を抱き、国を捨てる。どちらかを捨てる以外に、パトリツィオには無いのである。
「……分かった。その時が来たら…答えを出す」
「ありがとうございます」
「ひとまず、今日は下がってくれ。この後、客人を待たせているのでな」
「承知しました。では、失礼します」
ペコリと頭を下げて、引き下がるセラフィーナ。パトリツィオには、彼女のその背中が随分小さくなったように見えてしまった。
「……その…先程言いました通りです…」
パトリツィオが真剣に恋をしていると聞いてもうドッキドキだったセラフィーナ。こちらも王子に負けず劣らず。
浮気した上で騙し続けるなんて、陛下に申し訳ない、という気持ちから、ついつい言うまいとしていた本心をそのままぶちまけてしまったのである。
言った内容は、もちろんアレ。
「……それじゃあ…君は男で…女のフリをしていたって言うのか……!?」
「その……はい…そうです……」
【WARNING!WARNING!】
「陛下の気持ちはとても嬉しいです。その……心は女の子のつもりなので…好きだ…って言って下さるのは…とても嬉しいものなんです…///」
「ただ…」
伴侶、ともなれば、当然結婚するということ。そうなったら王子の下半身にトラウマメイカー生成不可避である。仕方なしのカミングアウト。
「な………そ、それは本当……なのか…?告白を断る為の方弁では無くて…?」
「本当です…み、見ますか?」
顔を赤らめるセラフィーナ。見たいような見たくないような最高にして最悪の葛藤がパトリツィオに襲いかかる!
「…見せんでも良い!君がそう言うなら俺は信じよう!///」
「陛下…」
「……だが、それが本当なら大問題だな。君は男で聖女の座に就いているのだから…」
「……わかっております。覚悟の上で…話しました」
死刑。そして、王族を騙した事による重罪も加わる。嘘一つとはいえ、それで大罪人にのし上がってしまったセラフィーナを野放しにする訳にはいかない。
「……とはいえ。だ。君は確かに聖女としての役目は果たしているはず。今君を失うのは国としても、とても困る訳だ」
法に従って彼女を殺害し、結界が薄れて国が滅びてしまえば本末転倒。殺るとなれば簡単だが、殺った後のことを考えると、簡単に決断を下せないのも事実である。
「…確かに、今は結界の維持が最優先だと思います。……でも、だからと言って、嘘をついた事実は消えません。平和になった世界で、私を処刑して下さい」
「っ………」
なんと残酷な選択を迫るのだろうか。いくら騙されていたとはいえ、愛した女を殺すなど。だが、自分は王だ。なにより正しく、民の模範とならねばならない。たとえ聖女でも、法の下に裁かれなければ民は不信を抱き、国を捨てる。どちらかを捨てる以外に、パトリツィオには無いのである。
「……分かった。その時が来たら…答えを出す」
「ありがとうございます」
「ひとまず、今日は下がってくれ。この後、客人を待たせているのでな」
「承知しました。では、失礼します」
ペコリと頭を下げて、引き下がるセラフィーナ。パトリツィオには、彼女のその背中が随分小さくなったように見えてしまった。
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