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68話 デートプラン!?
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翌日。正式に専属騎士になったアルヴェルトの元に、綺麗に仕立てられた装備一式が届いた。聖女と同じく純白を意味する白の外套に、鈍色に輝くメイル。鋼鉄製の剣までついている。
「ど、どうだ?似合ってるか?」
「わぁ!お似合いですよ!これ、ルーチェさんが用意したんですか?」
「…そうよ。特注したんだから、感謝しなさいよね」
「お、おう、ありがとう…!」
気恥しそうに照れる。それを聞いて、セラフィーナはニヤリと笑う。
「ルーチェさん、もしかしてアルヴェルトさんを最初から合格にさせる気だったんじゃないですか?」
「なっ!?そ、そんな訳ないでしょ!」
「嘘だー、特注品のメイルなんて即日に届くわけありませんもん。本当は雇う気満々だったんでしょーこのこの~」
「あーもう!その通りよ!まったく…!合格おめでとう、これからもきちんとセラフィーナ様を護るのよ!」
照れ隠しするかのように、投げやりに台詞をアルヴェルトに投げつける。純白の騎士はニッコリ笑って、力強く返事した。
「ああ!」
余談だが、最終試験の件はしっかりアルヴェルトに謝罪したらしい。これからは同じ仕事仲間であるし、後に残るような禍根は残さない方が良いだろう。
「さて、早速で申し訳無いんだけど、セラフィーナ様と一緒に王城まで向かってくれる?」
「王城?良いけどよ。…もしかして、例の女の件か?」
「そうですね。パトリツィオ様が私を呼び出す時は、彼女関係だと思います」
例の女、フランカ・デュジャルダン。パトリツィオを狙う演劇家の娘で、俳優である。前回、セラフィーナに酷く追い詰められたはずだが?
という訳で、王城へとやってくる。扉の前で、パトリツィオが見張りの騎士に外套を自慢している。でその扉の奥で、いつものようにセラフィーナは王子に謁見していた。
「お待たせしました、パトリツィオ様」
「いや、来てくれてありがとう。セラフィーナ。ここに呼んだという事は…まあ、つまりアレだ」
「フランカお嬢様ですね?」
「ああ…やっぱり諦めきれないらしくてな…今度は『恋人なら、楽しそうにデートするはずだ』と言って来てな…」
「で、デ…デート!?///」
なまじ半端に説得力があるので、パトリツィオは断り切れず、結局見せることを承諾してしまったらしい。またまた、苦しそうに頭を抱えている。
デートと言えば、恋仲の男女がする遊び。二人で遊んで仲を進展させる、恋人ならばほぼ必須の過程である。パトリツィオとラブラブデートなど、想像するだけで恥ずかしさで頭が爆発してしまいそうである。
「一応…プランは決まっているんだが、君が楽しんでくれる自信が無い」
「そ、そんな、大丈夫ですよ!パトリツィオ様が選んだ場所がつまらない訳がありませんよ…!」
そうは言ってみせるが、やっぱりパトリツィオの顔は暗い。まあ無理はない。女性経験ゼロなのに、セラフィーナの為に必死に女性が好きそうな所をリサーチして考えたのだ。多分、失敗する。彼はそう考えて止まなかった。
「ありがとう…嗚呼…不安だ…」
「(こ、これは重症ですね…なんとかしないと本番でも不安がるかも…)」
とは言ったものの。セラフィーナもデートとは何をどうすれば良いのか分からないのである。いつものように策略を巡らせれば良いのだが…
「(例えば、パトリツィオ様のデートプランを聞いて先に楽しめる様にするとk『おっと、セラフィーナ、そこは段差があって危険だ。どうぞお手を…』
『はい…パトリツィオ様……///』
『ははっ。恥じらう君は、まるで可憐な華のようだ』
『そ、そんな…恥ずかしい…///』
「わーっ!やめっ!やめーっ!」
「っ!?…どうした?セラフィーナ?」
「あっ、い、いえ……///」
という訳で、いつものように作戦を練り出す事すら出来ない。かと言って、あんまりのんびりしていては、パトリツィオのデートプランに合わせられないかもしれない。
「…こ、こうなれば、ぶっつけ本番で行きましょう、パトリツィオ様」
「…本当に良いのか?楽しめなかったら…その、君にも悪いだろう?」
「大丈夫です。たとえどんなデートプランでも、私は楽しめます。私の為に陛下が用意して下さったのですから、無下にしたら貴方に失礼ですよ。それと…自信を持ってください。絶対楽しいですから」
そう言って、セラフィーナはニッコリ微笑む。頼もしいことこの上ないが、本心はデートってどうすりゃええんやとドキドキしまくっている。彼女の笑顔に王子は励まされたのか、暗い顔からいつもの凛々しい顔へと戻ってきた。
「セラフィーナ…ありがとう。そうだな。俺が自信を持って君を案内しなくては、楽しめる物も楽しくなくなる。行こう、君の為にとっておきのプランを用意したんだ!」
「ふふっ。…はい、パトリツィオ様」
聖女は王子の手を取って、王城から街へと駆け出していく。それを見送るのは、あんぐりと開いた口が塞がらないアルヴェルト君。しばらくポカーンとしてから、大急ぎで二人を後から追いかけた。
「ど、どうだ?似合ってるか?」
「わぁ!お似合いですよ!これ、ルーチェさんが用意したんですか?」
「…そうよ。特注したんだから、感謝しなさいよね」
「お、おう、ありがとう…!」
気恥しそうに照れる。それを聞いて、セラフィーナはニヤリと笑う。
「ルーチェさん、もしかしてアルヴェルトさんを最初から合格にさせる気だったんじゃないですか?」
「なっ!?そ、そんな訳ないでしょ!」
「嘘だー、特注品のメイルなんて即日に届くわけありませんもん。本当は雇う気満々だったんでしょーこのこの~」
「あーもう!その通りよ!まったく…!合格おめでとう、これからもきちんとセラフィーナ様を護るのよ!」
照れ隠しするかのように、投げやりに台詞をアルヴェルトに投げつける。純白の騎士はニッコリ笑って、力強く返事した。
「ああ!」
余談だが、最終試験の件はしっかりアルヴェルトに謝罪したらしい。これからは同じ仕事仲間であるし、後に残るような禍根は残さない方が良いだろう。
「さて、早速で申し訳無いんだけど、セラフィーナ様と一緒に王城まで向かってくれる?」
「王城?良いけどよ。…もしかして、例の女の件か?」
「そうですね。パトリツィオ様が私を呼び出す時は、彼女関係だと思います」
例の女、フランカ・デュジャルダン。パトリツィオを狙う演劇家の娘で、俳優である。前回、セラフィーナに酷く追い詰められたはずだが?
という訳で、王城へとやってくる。扉の前で、パトリツィオが見張りの騎士に外套を自慢している。でその扉の奥で、いつものようにセラフィーナは王子に謁見していた。
「お待たせしました、パトリツィオ様」
「いや、来てくれてありがとう。セラフィーナ。ここに呼んだという事は…まあ、つまりアレだ」
「フランカお嬢様ですね?」
「ああ…やっぱり諦めきれないらしくてな…今度は『恋人なら、楽しそうにデートするはずだ』と言って来てな…」
「で、デ…デート!?///」
なまじ半端に説得力があるので、パトリツィオは断り切れず、結局見せることを承諾してしまったらしい。またまた、苦しそうに頭を抱えている。
デートと言えば、恋仲の男女がする遊び。二人で遊んで仲を進展させる、恋人ならばほぼ必須の過程である。パトリツィオとラブラブデートなど、想像するだけで恥ずかしさで頭が爆発してしまいそうである。
「一応…プランは決まっているんだが、君が楽しんでくれる自信が無い」
「そ、そんな、大丈夫ですよ!パトリツィオ様が選んだ場所がつまらない訳がありませんよ…!」
そうは言ってみせるが、やっぱりパトリツィオの顔は暗い。まあ無理はない。女性経験ゼロなのに、セラフィーナの為に必死に女性が好きそうな所をリサーチして考えたのだ。多分、失敗する。彼はそう考えて止まなかった。
「ありがとう…嗚呼…不安だ…」
「(こ、これは重症ですね…なんとかしないと本番でも不安がるかも…)」
とは言ったものの。セラフィーナもデートとは何をどうすれば良いのか分からないのである。いつものように策略を巡らせれば良いのだが…
「(例えば、パトリツィオ様のデートプランを聞いて先に楽しめる様にするとk『おっと、セラフィーナ、そこは段差があって危険だ。どうぞお手を…』
『はい…パトリツィオ様……///』
『ははっ。恥じらう君は、まるで可憐な華のようだ』
『そ、そんな…恥ずかしい…///』
「わーっ!やめっ!やめーっ!」
「っ!?…どうした?セラフィーナ?」
「あっ、い、いえ……///」
という訳で、いつものように作戦を練り出す事すら出来ない。かと言って、あんまりのんびりしていては、パトリツィオのデートプランに合わせられないかもしれない。
「…こ、こうなれば、ぶっつけ本番で行きましょう、パトリツィオ様」
「…本当に良いのか?楽しめなかったら…その、君にも悪いだろう?」
「大丈夫です。たとえどんなデートプランでも、私は楽しめます。私の為に陛下が用意して下さったのですから、無下にしたら貴方に失礼ですよ。それと…自信を持ってください。絶対楽しいですから」
そう言って、セラフィーナはニッコリ微笑む。頼もしいことこの上ないが、本心はデートってどうすりゃええんやとドキドキしまくっている。彼女の笑顔に王子は励まされたのか、暗い顔からいつもの凛々しい顔へと戻ってきた。
「セラフィーナ…ありがとう。そうだな。俺が自信を持って君を案内しなくては、楽しめる物も楽しくなくなる。行こう、君の為にとっておきのプランを用意したんだ!」
「ふふっ。…はい、パトリツィオ様」
聖女は王子の手を取って、王城から街へと駆け出していく。それを見送るのは、あんぐりと開いた口が塞がらないアルヴェルト君。しばらくポカーンとしてから、大急ぎで二人を後から追いかけた。
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