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58話 決着
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次にアルヴェルトの目に映ったのは、自分の目の前に倒れている聖女だった。彼女は無事だったのだろうか、必死に身体を動かして、彼女の安否を確認する。
「…っ…セラフィーナ様!」
「…ありがとうございます、アルヴェルトさん…」
「…良かった、無事だったか!」
「ええ、お陰様で…」
それから、セラフィーナはゆっくり起き上がって、彼の身体にそっと触れた。
「貴方こそ、大丈夫ですか?」
「ああ、チョコが固まって足は変な風に曲がっちまったけどな…」
先程解き放たれたチョコレートの波は、その重量で思い切りアルヴェルトの脚を押し潰してしまったのだ。それでも、セラフィーナを守れた事の方が彼にとっては大事だった。
「ええ!?それは大丈夫じゃないですよ!は、早く脚を見せてください、治しますから!」
「待てよセラフィーナ様、まだ勝負は途中なんだ。全部終わってから…治療してくれ」
ズボッと、壊れたはずの足を実に器用に引き抜く。だが、青く変色したその痛々しい足をそのままに戦うのは、とてつもない苦痛が伴うはずだ。
「セラフィーナちゃんを庇った…君は誠に専属騎士だね」
「あんたこそ、見事なまでに七聖闘だよ」
互いに相手に謙遜しあう。その姿はライバルのようであり、大きく開いた力の差を全く感じさせない。だが、互いにもう分かりきっている。これ以上戦ったところで、アルヴェルトには、微塵も勝ち目がないことを。だが彼は止まらない。自分の犯した罪に、真正面から立ち向かっている。
「まだ続けるかい?」
「当たり前だ。さあ、かかってこい」
「待ってください!アルヴェルトさん!」
だが、彼女はもう見ていられなかった。彼は自分を好いてくれている。そんな人物が、そんな仲間が、自分の目の前でボロボロにされていくのを。だから彼女は立ちはだかった。自分を守ってくれる専属騎士の前に。
「セラフィーナ様…俺は…」
「もうやめてください!これ以上戦うなら、専属騎士をクビにしますよ!」
「なっ…!?」
珍しく強い口調で、アルヴェルトを制止する。クビになってしまったら、これ以上戦って勝てたとしても、彼にはもう未来がない。先ほどまでやる気満々だったアルヴェルト君も、さすがに刀を収めて、セラフィーナの言うことを素直に聞く。
「……わかった。すまねぇ、セラフィーナ様」
「うむうむ。良い判断だね、セラフィーナちゃん。君が止めるといったら終わりにする約束だし、殺し合いはこれでおしまい。さっきはごめんね、ケガはなかったかな?」
「それは大丈夫です。ただ、私をかばってアルヴェルトさんが…」
「…そうか、それは申し訳ないことをしたね。だったら私の魔法で元に…」
「いや、それはいい。セラフィーナ様に治してもらいてぇんだ」
「えっ…私にですか?」
「ああ…だ、ダメか?///」
顔を赤くして、恥ずかしそうにセラフィーナの方を見る。どうせなら、好きな人に自分のけがを手当してもらいたい。そんな少年チックな恋心に気付いたセラフィーナも、思わず顔を赤くする。
「もちろん、いいですよ…///」
なんだかいい感じの雰囲気になりながら、二人はケガの治療を開始する。ところでさっきからお付き人のルーチェがいないのだが、どこに消えたのだろうか。ちょっとあたりを探ってみるとあら不思議。ひとりかなしく、先ほどアルヴェルトと戦っていたマカロンになつかれいるではありませんか。
「ちょ、ちょっとコラ!離れなさいよ!私セラフィーナさんの所に行かなきゃならないんだからー!」
「~♪」
といっても、離れてくれず、むしろ好かれまくっている。うっとうしいことこの上ないが、触れ合ってみると中々にかわいい。そんなわけで、しばらくマカロンたちにもふもふされるルーチェであった。
「…っ…セラフィーナ様!」
「…ありがとうございます、アルヴェルトさん…」
「…良かった、無事だったか!」
「ええ、お陰様で…」
それから、セラフィーナはゆっくり起き上がって、彼の身体にそっと触れた。
「貴方こそ、大丈夫ですか?」
「ああ、チョコが固まって足は変な風に曲がっちまったけどな…」
先程解き放たれたチョコレートの波は、その重量で思い切りアルヴェルトの脚を押し潰してしまったのだ。それでも、セラフィーナを守れた事の方が彼にとっては大事だった。
「ええ!?それは大丈夫じゃないですよ!は、早く脚を見せてください、治しますから!」
「待てよセラフィーナ様、まだ勝負は途中なんだ。全部終わってから…治療してくれ」
ズボッと、壊れたはずの足を実に器用に引き抜く。だが、青く変色したその痛々しい足をそのままに戦うのは、とてつもない苦痛が伴うはずだ。
「セラフィーナちゃんを庇った…君は誠に専属騎士だね」
「あんたこそ、見事なまでに七聖闘だよ」
互いに相手に謙遜しあう。その姿はライバルのようであり、大きく開いた力の差を全く感じさせない。だが、互いにもう分かりきっている。これ以上戦ったところで、アルヴェルトには、微塵も勝ち目がないことを。だが彼は止まらない。自分の犯した罪に、真正面から立ち向かっている。
「まだ続けるかい?」
「当たり前だ。さあ、かかってこい」
「待ってください!アルヴェルトさん!」
だが、彼女はもう見ていられなかった。彼は自分を好いてくれている。そんな人物が、そんな仲間が、自分の目の前でボロボロにされていくのを。だから彼女は立ちはだかった。自分を守ってくれる専属騎士の前に。
「セラフィーナ様…俺は…」
「もうやめてください!これ以上戦うなら、専属騎士をクビにしますよ!」
「なっ…!?」
珍しく強い口調で、アルヴェルトを制止する。クビになってしまったら、これ以上戦って勝てたとしても、彼にはもう未来がない。先ほどまでやる気満々だったアルヴェルト君も、さすがに刀を収めて、セラフィーナの言うことを素直に聞く。
「……わかった。すまねぇ、セラフィーナ様」
「うむうむ。良い判断だね、セラフィーナちゃん。君が止めるといったら終わりにする約束だし、殺し合いはこれでおしまい。さっきはごめんね、ケガはなかったかな?」
「それは大丈夫です。ただ、私をかばってアルヴェルトさんが…」
「…そうか、それは申し訳ないことをしたね。だったら私の魔法で元に…」
「いや、それはいい。セラフィーナ様に治してもらいてぇんだ」
「えっ…私にですか?」
「ああ…だ、ダメか?///」
顔を赤くして、恥ずかしそうにセラフィーナの方を見る。どうせなら、好きな人に自分のけがを手当してもらいたい。そんな少年チックな恋心に気付いたセラフィーナも、思わず顔を赤くする。
「もちろん、いいですよ…///」
なんだかいい感じの雰囲気になりながら、二人はケガの治療を開始する。ところでさっきからお付き人のルーチェがいないのだが、どこに消えたのだろうか。ちょっとあたりを探ってみるとあら不思議。ひとりかなしく、先ほどアルヴェルトと戦っていたマカロンになつかれいるではありませんか。
「ちょ、ちょっとコラ!離れなさいよ!私セラフィーナさんの所に行かなきゃならないんだからー!」
「~♪」
といっても、離れてくれず、むしろ好かれまくっている。うっとうしいことこの上ないが、触れ合ってみると中々にかわいい。そんなわけで、しばらくマカロンたちにもふもふされるルーチェであった。
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