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51話 結果
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魔力供与には、きちんとした手順が存在する。祭壇に捧げる魔力を用意したら、それを携えて神の目の前で祈りを捧げる。祈りを捧げた後に、魔力を神の壁へと送ることで、ようやく儀式は終了する。
そして今、セラフィーナの運命を決める瞬間がやってきた。集めた魔力を抱えて、セラフィーナは神へと祈りを捧げる。
「天に召します我らが神よ…迷える子羊達を救う為、今再び、私達に貴方の加護をお与え下さい…」
高鳴る鼓動。それは死への恐怖か、或いは未来への渇望か。ここより先の人生を生きていたいと願う、セラフィーナの想いは神に届くのか。不安と苦悩に駆られつつ、聖女は自身の背丈の三倍ほどはあろう大きな膜に包まれた、聖なる魔力をアルベルトに引き渡す。
【WARNING!WARNING!】
「(っ……やっぱり……駄目だったかな…)」
頭に鳴り響くサイレン。これは、男だとバレそうな時に鳴るあの音だ。その音はけたたましく、力強く、頭の中へと響き渡って来る。これが死への恐怖か。
それでも、まだ希望を捨てたくは無い。ベルナルドはまだ、気付いていないかもしれない。縋るように、怯えるように、聖女は僧侶ベルナルドの顔を見つめた。
彼は、少し眉を潜めてから…
「…ありがとうございます。聖女様」
静かに微笑んだ。
「(気付いて……いない……)」
その優しい顔を崩さぬままに、魔力をそっと持ち上げて教会の神像へと捧げた。ふわふわと昇っていく魔力に、ベルナルドは自身の魔力を力強く混ぜ込んでいく。
「天に召します我らが神よ!私達の魔力を貴方に捧げます。どうか、我等の魔力と共にこの国を温かく見守り、その柔らかな手で、迷える羊達を御守り下さい!」
パァァァァ…
輝かしい光とともに、セラフィーナとアルベルトの魔力が空へと舞い上がっていく。いよいよ、審判の時。セラフィーナは生き残るのか。はたまた、死ぬのか。恐ろしい現実を見たくなくて、セラフィーナはぎゅっと目を閉じて祈っていた。
…
……セラフィーナさん?
………セラフィーナさん!
「……ルーチェ…」
そして、次に目を開けたのは、自分の従者に呼ばれてからであった。魔力供与は上手くいったのか。自分は生き残ることが出来るのか。不安で不安でたまらなかった。
「……結界は、どうなりましたか…?」
「…見て下さい!ほら!」
「…あああああっ!」
黄金色に美しく輝く、この国を覆う円形の結界、神の壁。その光の色は、以前ほどで無いにしろ、神々しい光を放っており、結界としての機能を充分に果たしていた。
「ルーチェさん…これって…これって…!」
「ええ…!やりましたね、セラフィーナさん!」
「やったやったー!やったよルーチェさーん!!」
ぎゅっと抱き合い、結界が上手く起動した事を大いに喜び合う二人。ベルナルドが見ている前だったが、そんなものは気にしている場合ではない。今はとにかく、成功した事が二人にとって何よりも大事な事であった。
「…お疲れ様でした。セラフィーナ様、魔力供与は無事に終了しました」
「はい……!」
感動のエンディング。もはやゲームクリア気分である。おめでとう、セラフィーナ。おめでとう、私。おめでとう、僕。自分を心の中で盛大にお祝いして、一人で胴上げされてるような気分に浸っている。
「では、来週もよろしくお願い致しますね」
「…………え?」
ところが、そんな儚いエンディングは、信じられない言葉にあっさり打ち消される。その言葉を聞いて、セラフィーナは目をぱちくりさせる。今、ベルナルドはなんと申したのだ?せっかくの感動を、突如としてぶち壊しにされたような気がする。
「…あれ?説明していませんでしたか?セラフィーナさん、魔力供与は毎週あるんですよ」
「え……え……毎週あるの!?毎月1回とかじゃなくて!?!?!?」
「あはは、ご存知ありませんでしたか。魔力供与は週に一度、神様がお休みになられる安息日に行われます。神がお休みになられている日こそ、私達人は魔物に警戒しないといけませんからね」
「そ、そそ、そそそ……そんなぁぁぁあぁぁぁぁぁっ!!!」
んなアホなー!と叫びたくなるような気持ちをぐっと堪えて、セラフィーナはルーチェの胸の中でわんわん泣いたという。ああなんて可哀想なセラフィーナ。まだまだ苦悩の日々は終わらないのである……
そして今、セラフィーナの運命を決める瞬間がやってきた。集めた魔力を抱えて、セラフィーナは神へと祈りを捧げる。
「天に召します我らが神よ…迷える子羊達を救う為、今再び、私達に貴方の加護をお与え下さい…」
高鳴る鼓動。それは死への恐怖か、或いは未来への渇望か。ここより先の人生を生きていたいと願う、セラフィーナの想いは神に届くのか。不安と苦悩に駆られつつ、聖女は自身の背丈の三倍ほどはあろう大きな膜に包まれた、聖なる魔力をアルベルトに引き渡す。
【WARNING!WARNING!】
「(っ……やっぱり……駄目だったかな…)」
頭に鳴り響くサイレン。これは、男だとバレそうな時に鳴るあの音だ。その音はけたたましく、力強く、頭の中へと響き渡って来る。これが死への恐怖か。
それでも、まだ希望を捨てたくは無い。ベルナルドはまだ、気付いていないかもしれない。縋るように、怯えるように、聖女は僧侶ベルナルドの顔を見つめた。
彼は、少し眉を潜めてから…
「…ありがとうございます。聖女様」
静かに微笑んだ。
「(気付いて……いない……)」
その優しい顔を崩さぬままに、魔力をそっと持ち上げて教会の神像へと捧げた。ふわふわと昇っていく魔力に、ベルナルドは自身の魔力を力強く混ぜ込んでいく。
「天に召します我らが神よ!私達の魔力を貴方に捧げます。どうか、我等の魔力と共にこの国を温かく見守り、その柔らかな手で、迷える羊達を御守り下さい!」
パァァァァ…
輝かしい光とともに、セラフィーナとアルベルトの魔力が空へと舞い上がっていく。いよいよ、審判の時。セラフィーナは生き残るのか。はたまた、死ぬのか。恐ろしい現実を見たくなくて、セラフィーナはぎゅっと目を閉じて祈っていた。
…
……セラフィーナさん?
………セラフィーナさん!
「……ルーチェ…」
そして、次に目を開けたのは、自分の従者に呼ばれてからであった。魔力供与は上手くいったのか。自分は生き残ることが出来るのか。不安で不安でたまらなかった。
「……結界は、どうなりましたか…?」
「…見て下さい!ほら!」
「…あああああっ!」
黄金色に美しく輝く、この国を覆う円形の結界、神の壁。その光の色は、以前ほどで無いにしろ、神々しい光を放っており、結界としての機能を充分に果たしていた。
「ルーチェさん…これって…これって…!」
「ええ…!やりましたね、セラフィーナさん!」
「やったやったー!やったよルーチェさーん!!」
ぎゅっと抱き合い、結界が上手く起動した事を大いに喜び合う二人。ベルナルドが見ている前だったが、そんなものは気にしている場合ではない。今はとにかく、成功した事が二人にとって何よりも大事な事であった。
「…お疲れ様でした。セラフィーナ様、魔力供与は無事に終了しました」
「はい……!」
感動のエンディング。もはやゲームクリア気分である。おめでとう、セラフィーナ。おめでとう、私。おめでとう、僕。自分を心の中で盛大にお祝いして、一人で胴上げされてるような気分に浸っている。
「では、来週もよろしくお願い致しますね」
「…………え?」
ところが、そんな儚いエンディングは、信じられない言葉にあっさり打ち消される。その言葉を聞いて、セラフィーナは目をぱちくりさせる。今、ベルナルドはなんと申したのだ?せっかくの感動を、突如としてぶち壊しにされたような気がする。
「…あれ?説明していませんでしたか?セラフィーナさん、魔力供与は毎週あるんですよ」
「え……え……毎週あるの!?毎月1回とかじゃなくて!?!?!?」
「あはは、ご存知ありませんでしたか。魔力供与は週に一度、神様がお休みになられる安息日に行われます。神がお休みになられている日こそ、私達人は魔物に警戒しないといけませんからね」
「そ、そそ、そそそ……そんなぁぁぁあぁぁぁぁぁっ!!!」
んなアホなー!と叫びたくなるような気持ちをぐっと堪えて、セラフィーナはルーチェの胸の中でわんわん泣いたという。ああなんて可哀想なセラフィーナ。まだまだ苦悩の日々は終わらないのである……
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