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37話 いきなり難関
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ルーチェには休んで貰って、セラフィーナは茶会用のドレスへと着替える。この服は少々股間に不安が残るデザインだが、それでもこれを着ていくしかない。
「準備完了です。お待たせしました、アルヴェルトさん」
「あ、お、おう。…き、綺麗だな…///」
「え…あ、ありがとうございます…行きましょうか…///」
「ああ……///」
とまあ、なんか恋人くさい雰囲気を醸し出しながら、二人並んで王城へと向かう。傍から見ればなかなかのお似合い美男美女カップルだが、実際はアッー!である。
「そう言えば、アルヴェルトさん。チャールズはどうなさったのですか?」
「ああ、アイツなら、屋敷のメイドさんが場所を用意するって言ってくれたよ。騎士団だと猫を飼えないかったから、ここで養ってくれて助かったよ」
「そうでしたか…では、今はウチにいるのですね?」
「そうだな。帰ったら構ってやらないとな。今日はここに連れてきて以来、顔を合わせてないんだ」
「ふふ、でしたら私もお供します。可愛い猫ちゃん大好きなんですよ」
「マジか、ち、ちょっと恥ずいなぁ…なあ、セラフィーナ様…」
「はい?」
「猫好きな男って…変か?」
「いいえ?そうは思いませんよ。可愛いものはみんな大好きだと思います。男も女も、そこは変わらないと思いますよ」
「そ、そうだよな…なーんか騎士団のみんなにからかわれちまってな……」
多分それは、滅茶苦茶強いのに好きな物は可愛い猫ちゃんというギャップから笑われているのだと思います…
「…と、もう着きますね。アルヴェルトさん、私は王子様とお茶会をする事になっていますから、なるべく邪魔にならない位置に隠れて護衛をお願いします」
「ああ。…変なやつが来たら、斬っても良いか?」
「ダメです。斬る前にちゃんと取り押さえてくださいね…」
魔物相手ならともかく、来るのは基本人だしね。騎士団育ちと温室育ちではちょっと価値観が違うのも無理はないが。アルヴェルトには少し後ろを歩いてもらって、王城へと立ち入っていく。
「ああ、ラガザハート様!お待ちしておりました、どうぞこちらに!」
「ありがとうございます」
王城の騎士に連れられるまま、王子の待つ謁見の間へと歩みを進めていく。そうして、以前の様に王子様と相見えた。以前と変わらぬ、美しい鼻筋、整った顔立ち。だがその顔は、苦悩の表情に満ちていた。
「お待たせ致しました、パトリツィオ陛下」
「よく来てくれた、セラフィーナ。ひとまずベランダへ行こう」
王子と共に、ベランダの椅子へと腰かける。苦悩の表情から元に戻らないパトリツィオを見て、セラフィーナは不安そうに声をかけた。
「パトリツィオ様…顔色が優れませんが…やはり、フランカさんの事ですか?」
「…その通りだ。彼女が来るからこそ、君を招いた訳だ」
「ええ…なんだかとても不安そうな顔をなさっていますね…何か、問題がありましたか?」
「ああ、とても困った事になった…実はもう、フランカは来ているんだ」
「もう来ていらしたんですか…ですが、それがどうして困った事に?」
「ああ…彼女には先に、君のことを話しておいたんだ。そしたら彼女は憤慨してね。彼女はこう言ったんだ」
『そのセラフィーナって人が本当に婚約者なら、私の前でキスしてくれない!?』
「…と」
そうして、王子の顔は今日一番に真っ青になる。それに聞いたセラフィーナの顔は、対比するかのようにどんどん真っ赤に染まっていくのであった。
「……へ、陛下と……キスーーーーー!?!?////」
「準備完了です。お待たせしました、アルヴェルトさん」
「あ、お、おう。…き、綺麗だな…///」
「え…あ、ありがとうございます…行きましょうか…///」
「ああ……///」
とまあ、なんか恋人くさい雰囲気を醸し出しながら、二人並んで王城へと向かう。傍から見ればなかなかのお似合い美男美女カップルだが、実際はアッー!である。
「そう言えば、アルヴェルトさん。チャールズはどうなさったのですか?」
「ああ、アイツなら、屋敷のメイドさんが場所を用意するって言ってくれたよ。騎士団だと猫を飼えないかったから、ここで養ってくれて助かったよ」
「そうでしたか…では、今はウチにいるのですね?」
「そうだな。帰ったら構ってやらないとな。今日はここに連れてきて以来、顔を合わせてないんだ」
「ふふ、でしたら私もお供します。可愛い猫ちゃん大好きなんですよ」
「マジか、ち、ちょっと恥ずいなぁ…なあ、セラフィーナ様…」
「はい?」
「猫好きな男って…変か?」
「いいえ?そうは思いませんよ。可愛いものはみんな大好きだと思います。男も女も、そこは変わらないと思いますよ」
「そ、そうだよな…なーんか騎士団のみんなにからかわれちまってな……」
多分それは、滅茶苦茶強いのに好きな物は可愛い猫ちゃんというギャップから笑われているのだと思います…
「…と、もう着きますね。アルヴェルトさん、私は王子様とお茶会をする事になっていますから、なるべく邪魔にならない位置に隠れて護衛をお願いします」
「ああ。…変なやつが来たら、斬っても良いか?」
「ダメです。斬る前にちゃんと取り押さえてくださいね…」
魔物相手ならともかく、来るのは基本人だしね。騎士団育ちと温室育ちではちょっと価値観が違うのも無理はないが。アルヴェルトには少し後ろを歩いてもらって、王城へと立ち入っていく。
「ああ、ラガザハート様!お待ちしておりました、どうぞこちらに!」
「ありがとうございます」
王城の騎士に連れられるまま、王子の待つ謁見の間へと歩みを進めていく。そうして、以前の様に王子様と相見えた。以前と変わらぬ、美しい鼻筋、整った顔立ち。だがその顔は、苦悩の表情に満ちていた。
「お待たせ致しました、パトリツィオ陛下」
「よく来てくれた、セラフィーナ。ひとまずベランダへ行こう」
王子と共に、ベランダの椅子へと腰かける。苦悩の表情から元に戻らないパトリツィオを見て、セラフィーナは不安そうに声をかけた。
「パトリツィオ様…顔色が優れませんが…やはり、フランカさんの事ですか?」
「…その通りだ。彼女が来るからこそ、君を招いた訳だ」
「ええ…なんだかとても不安そうな顔をなさっていますね…何か、問題がありましたか?」
「ああ、とても困った事になった…実はもう、フランカは来ているんだ」
「もう来ていらしたんですか…ですが、それがどうして困った事に?」
「ああ…彼女には先に、君のことを話しておいたんだ。そしたら彼女は憤慨してね。彼女はこう言ったんだ」
『そのセラフィーナって人が本当に婚約者なら、私の前でキスしてくれない!?』
「…と」
そうして、王子の顔は今日一番に真っ青になる。それに聞いたセラフィーナの顔は、対比するかのようにどんどん真っ赤に染まっていくのであった。
「……へ、陛下と……キスーーーーー!?!?////」
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