男とバレたら即処刑!?聖女な僕が死亡フラグをへし折ります!

日比谷ナオキ

文字の大きさ
上 下
29 / 92

27話 七聖闘

しおりを挟む
「聖教会に関わる重罪には全て七聖闘が関与する。重犯罪者が逃亡を図ろうとするのを阻止するためにもな」

「っ……」

七聖闘しちせいとう。それは聖教会から直々に任命される特別な位であり、その名の通り七人がその座に就いている。彼等は聖教会に携わる事件の裁判に赴き、事の顛末を見届けて教会に報告する任務を任されている。各王国につき一人、合計七国を担当している。

しかし、その実態はそんな簡素なものでは無い。七聖闘は完全な武の実力によって教会に認められた者が成る位であり、その力は当人達がその気になればたった一人で国を転覆させる事すら可能なほど。彼等の存在意義とは、即ち聖教会の力の象徴。絶対的な正義の執行者なのである。いくら熟練の騎士を相手に圧倒できるアルヴェルトでも、国を相手に勝利を掴むなど不可能に等しい。

「腕に覚えはあるだろうが、打ち勝てる等と思うなよ。裁判の始まりイコールお前の死だ。それは覚悟しておけ」

アルヴェルトはもはや、黙って頷くより他に無かった。避けられぬ死、それがセラフィーナの判断次第で決まるという今の状況に、背筋を震わせるより他になかった。











「本当に申し訳ありませんでしたぁぁぁ!」

「気に病まないで下さいね、騎士団長…」

ルーチェは今にも泣き出してしまいそうな騎士団長をなだめつつ、本来の職務へと戻ることにする。誘拐犯も捕まり、職務も終わったので、二人は屋敷に戻ることにした。アルヴェルトの命運を握ってるとも微塵も知らないセラフィーナは、これからの予定を考えていた。

「ルーチェさん、午後は魔術の特訓ですよね?」

「はい。特訓後に夕食、その後は前日と同じです。何か問題はありますか?」

「いいえ、問題は……あ。あの騎士さんの処遇はどうしましょうか?」

「…彼の処遇は私には決められません。セラフィーナさん、専属騎士は貴女の手駒そのものになるのですから」

「えっ?私が……?」

「はい。専属騎士は、私達のように聖女様のために教会から派遣された者では無く、聖女様が雇われた者になるため、聖女様の『私物』という扱いになります。その為、私達はあの騎士には手を出せません。給料、手当、勤務時間にその内容。全て貴女に決めて頂くのです」

言い方を変えてしまえば、専属騎士というものは完全に雇い主の奴隷という事になる。もちろん、不当な扱いをすれば騎士側から反逆されかねないので多くの雇い主はまともな内容で職務につかせるのだが。

「…わかりました。では彼の処遇は私が決めます。私が雇うと決めましたからね」

「ええ。お任せ致します」

お互い頷き合い、再び来た道を戻っていく。男だとバレることなく騎士団との挨拶を済ませ、ひと安心するセラフィーナ。ひとまずは問題無し。誰も彼もが、彼女を女だと信じているだろう。このまま上手くいくと良いのだが…はたして。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...