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17話 聖女の調べもの
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「ご馳走様でした!」
従者達と楽しくお喋りしながらも、出された料理を全部綺麗に平らげたセラフィーナは、丸まったお腹を抱えたままゆっくりと席を立った。
「とても美味しゅうございました。これからも、美味しいお食事を作って頂けるのを楽しみしています」
「まあ嬉しい。聖女様、私達明日からも頑張って料理を作らせて貰いますね!」
ぺこりと、再びスカートの端をつまんで頭を下げる。従者達の反応は、概ね好印象。温かな視線に見送られながら、ルーチェと共に自分の部屋に向かっていく。
「……どうでした?私、聖女としてきちんとやれていましたか?」
「はい、セラフィーナさん。先程の貴女は紛れも無く聖女でした。食べ方は少々お下品でしたけどね」
「ぅ…善処します……///」
もうちょっと節操持ってなんとかせいと叱られた。王子とのお茶会でもやらかしてるし、端正せねばならないだろう。廊下を渡り、一番奥の大きな扉に辿り着くと、ルーチェはその扉をゆっくりと開いた。
「ここがセラフィーナさんのお部屋になります。どうぞお入りください」
「わぁ……」
この部屋を見るのは二回目だが、それでも彼女は感嘆の声を上げてしまう。絢爛豪華な家具に、何不自由なく取り揃えられた調度品の数々。お嬢様の生活そのものと言った具合だろう。
「この部屋は貴女のプライベートルーム。私と二人きりでいるか、アンタ一人でいるだけなら素の自分で居ても良いわ」
「そっか、良かったー。…ええと、屋敷の案内はこれでおしまい?」
「今日の所はこれくらいね。一度に沢山見ても覚えられないでしょうし。でも時間はあるし、一つくらいなら見ておきたい場所を先に見学する事も出来るわよ?」
本来はこの後、湯治を済ませてから就寝なのだが、先に湯治を行っていたので時間が余っているのだ。その時間を利用して、案内するという訳だ。
「見ておきたい場所…そうだ。ルーチェ、この御屋敷に図書館はある?」
「図書館?アンタ、本好きだったっけ?」
「うん、本は好きだよ。…それより、図書館で調べ物をしたいんだ。あったら案内して欲しいな」
「ふーん…図書館はあるわ。ちょっと遠いから、早速出発しましょう」
「うん!」
ルーチェと共に廊下を歩き、地下に続く階段を下っていく。薄暗いランプの明かりが二人の白い肌を淡く照らしていく。
「そう言えば、何を調べたいのですか?セラフィーナさん」
「あ、はい。結界魔術の事についてです。私、これこれこうですから…」
「ああ、そういう事でしたか…承知致しました」
他の従者に聞こえてたらまずいので、暗号的な感じで会話する。セラフィーナが調べたい事とは、ずばり結界魔術を成功させる方法。男性と女性、異なる性別の力を用いてようやく完成する結界術を、男の自分でも成功させる方法を探さなくてはならない。その為には、魔術の事を記した本を読んで色々な呪文を試すのが一番だろう。
「見えてきましたよ。こちらがセントポーリア大図書館になります」
従者達と楽しくお喋りしながらも、出された料理を全部綺麗に平らげたセラフィーナは、丸まったお腹を抱えたままゆっくりと席を立った。
「とても美味しゅうございました。これからも、美味しいお食事を作って頂けるのを楽しみしています」
「まあ嬉しい。聖女様、私達明日からも頑張って料理を作らせて貰いますね!」
ぺこりと、再びスカートの端をつまんで頭を下げる。従者達の反応は、概ね好印象。温かな視線に見送られながら、ルーチェと共に自分の部屋に向かっていく。
「……どうでした?私、聖女としてきちんとやれていましたか?」
「はい、セラフィーナさん。先程の貴女は紛れも無く聖女でした。食べ方は少々お下品でしたけどね」
「ぅ…善処します……///」
もうちょっと節操持ってなんとかせいと叱られた。王子とのお茶会でもやらかしてるし、端正せねばならないだろう。廊下を渡り、一番奥の大きな扉に辿り着くと、ルーチェはその扉をゆっくりと開いた。
「ここがセラフィーナさんのお部屋になります。どうぞお入りください」
「わぁ……」
この部屋を見るのは二回目だが、それでも彼女は感嘆の声を上げてしまう。絢爛豪華な家具に、何不自由なく取り揃えられた調度品の数々。お嬢様の生活そのものと言った具合だろう。
「この部屋は貴女のプライベートルーム。私と二人きりでいるか、アンタ一人でいるだけなら素の自分で居ても良いわ」
「そっか、良かったー。…ええと、屋敷の案内はこれでおしまい?」
「今日の所はこれくらいね。一度に沢山見ても覚えられないでしょうし。でも時間はあるし、一つくらいなら見ておきたい場所を先に見学する事も出来るわよ?」
本来はこの後、湯治を済ませてから就寝なのだが、先に湯治を行っていたので時間が余っているのだ。その時間を利用して、案内するという訳だ。
「見ておきたい場所…そうだ。ルーチェ、この御屋敷に図書館はある?」
「図書館?アンタ、本好きだったっけ?」
「うん、本は好きだよ。…それより、図書館で調べ物をしたいんだ。あったら案内して欲しいな」
「ふーん…図書館はあるわ。ちょっと遠いから、早速出発しましょう」
「うん!」
ルーチェと共に廊下を歩き、地下に続く階段を下っていく。薄暗いランプの明かりが二人の白い肌を淡く照らしていく。
「そう言えば、何を調べたいのですか?セラフィーナさん」
「あ、はい。結界魔術の事についてです。私、これこれこうですから…」
「ああ、そういう事でしたか…承知致しました」
他の従者に聞こえてたらまずいので、暗号的な感じで会話する。セラフィーナが調べたい事とは、ずばり結界魔術を成功させる方法。男性と女性、異なる性別の力を用いてようやく完成する結界術を、男の自分でも成功させる方法を探さなくてはならない。その為には、魔術の事を記した本を読んで色々な呪文を試すのが一番だろう。
「見えてきましたよ。こちらがセントポーリア大図書館になります」
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