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5話 セラフィーナ式お着替え
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「よ、よし、まずは周囲の安全確保…!」
更衣室に入るなり、勢いよく扉を閉め、部屋にあるカーテンを全部下ろし、周囲から着替えが完全に見えないようにする。これで一安心…と行きたいが、カーテンは所詮薄布。シルエットから男だとバレてしまうかもしれない。そこで。
「この絵画をこうして…ふんぬっ!」
メキメキ…と嫌な音を立てながら、壁に飾られていた大きな絵画を強引にカーテン沿いに設置する。ちなみにこの絵画、どれもこれも一枚につき金貨数千枚は下らない名画である。そんな高級品をただの壁にランクダウンさせてから、聖女は一人静かにその身に張り付いた衣類をゆっくりとはだけさせる。
「(大丈夫…見られてない…見られてない…)」
見れるはずがないのである。扉は強盗対策でもしてんのかってくらい滅茶苦茶に物を置いて開けられないようにしている。もはやただの要塞と化した更衣室の中で、聖女は一糸まとわぬ姿となり、王子に用意して貰った正装へその身を包み込む。
「ふう…サイズもピッタリ…かな?」
女の子ならば服のサイズを気にしているところだろうが、彼が気にしているのは股間のサイズである。あまりにも服がピチピチだと、一物が服の上から浮かんでしまうのだ。今回は少しふんわりした服装なので、そんな心配がなくて安心している様子。
「次は…これを片付けなきゃ…!」
続いて、ガタンバタンと嫌な音を立てながら、再び絵画を元の位置に戻していく。あまりの騒々しさに外で待機していた司祭に驚かれているが、セラフィーナは気付いていない様子。全ての段取りを済ませると、汗だくだくのまま何食わぬ顔で扉を開けて王室に続く廊下を歩き始める。
「…セラフィーナよ、何があったのだ…?」
「な、なにもありませんよ!私は普通に着替えていただけです!」
「…なら良いのだが…」
じゃあなんで汗だくだくになるねん、と司祭は突っ込みたかったが、我慢してセラフィーナを王室へと送り届けることにした。再び祭司には扉の前で待機して貰い、セラフィーナは汗を拭いて乱れた息を整え、王子の前へ歩みを進めていく。
「お待たせ致しました、陛下」
「…似合っているな。とても美しい」
「お褒めに預かり光栄です」
その場に跪いたセラフィーナに、王子はゆっくりと近付いていく。お互いの香りが微かに触れ合う程に近付くと、セラフィーナに目の前に、その白くて美しい手を差し出した。その美しい動作は、男のセラフィーナでさえ思わずドキリとさせられてしまうほどだ。
「では儀式を始めよう。この手を取りし時より、汝はこの国の為に命を捧げる聖女として生きる事になる。祖国を愛し、我らと、我らの神に盟約を結ぶのならば、我が手を取って立ち上がるが良い」
「……はい」
もう迷いは無い。聖女セラフィーナは、その手を取って静かに立ち上がった。これにて盟約。この国に新たな聖女が誕生し、王国に再び安寧が齎されるだろう。近衛兵達も感激し、思わず拍手を贈ったりしている。
「この国を頼む、ラガザハート」
「お任せください、陛下」
と、表面上はすごい頼もしいが、内心どうしようかと心臓がバックバクである。このままいくと1週間後には処刑である。それまでになんとか、なんとか結界を強くする方法を考えなくては!────
更衣室に入るなり、勢いよく扉を閉め、部屋にあるカーテンを全部下ろし、周囲から着替えが完全に見えないようにする。これで一安心…と行きたいが、カーテンは所詮薄布。シルエットから男だとバレてしまうかもしれない。そこで。
「この絵画をこうして…ふんぬっ!」
メキメキ…と嫌な音を立てながら、壁に飾られていた大きな絵画を強引にカーテン沿いに設置する。ちなみにこの絵画、どれもこれも一枚につき金貨数千枚は下らない名画である。そんな高級品をただの壁にランクダウンさせてから、聖女は一人静かにその身に張り付いた衣類をゆっくりとはだけさせる。
「(大丈夫…見られてない…見られてない…)」
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「ふう…サイズもピッタリ…かな?」
女の子ならば服のサイズを気にしているところだろうが、彼が気にしているのは股間のサイズである。あまりにも服がピチピチだと、一物が服の上から浮かんでしまうのだ。今回は少しふんわりした服装なので、そんな心配がなくて安心している様子。
「次は…これを片付けなきゃ…!」
続いて、ガタンバタンと嫌な音を立てながら、再び絵画を元の位置に戻していく。あまりの騒々しさに外で待機していた司祭に驚かれているが、セラフィーナは気付いていない様子。全ての段取りを済ませると、汗だくだくのまま何食わぬ顔で扉を開けて王室に続く廊下を歩き始める。
「…セラフィーナよ、何があったのだ…?」
「な、なにもありませんよ!私は普通に着替えていただけです!」
「…なら良いのだが…」
じゃあなんで汗だくだくになるねん、と司祭は突っ込みたかったが、我慢してセラフィーナを王室へと送り届けることにした。再び祭司には扉の前で待機して貰い、セラフィーナは汗を拭いて乱れた息を整え、王子の前へ歩みを進めていく。
「お待たせ致しました、陛下」
「…似合っているな。とても美しい」
「お褒めに預かり光栄です」
その場に跪いたセラフィーナに、王子はゆっくりと近付いていく。お互いの香りが微かに触れ合う程に近付くと、セラフィーナに目の前に、その白くて美しい手を差し出した。その美しい動作は、男のセラフィーナでさえ思わずドキリとさせられてしまうほどだ。
「では儀式を始めよう。この手を取りし時より、汝はこの国の為に命を捧げる聖女として生きる事になる。祖国を愛し、我らと、我らの神に盟約を結ぶのならば、我が手を取って立ち上がるが良い」
「……はい」
もう迷いは無い。聖女セラフィーナは、その手を取って静かに立ち上がった。これにて盟約。この国に新たな聖女が誕生し、王国に再び安寧が齎されるだろう。近衛兵達も感激し、思わず拍手を贈ったりしている。
「この国を頼む、ラガザハート」
「お任せください、陛下」
と、表面上はすごい頼もしいが、内心どうしようかと心臓がバックバクである。このままいくと1週間後には処刑である。それまでになんとか、なんとか結界を強くする方法を考えなくては!────
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