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番外編 サブストーリー
31話「魔法少女よ、永遠なれ」
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アクィオンは死亡し、消滅した。天へと昇る閃光を見た魔戒達は、主を失って限界する力をなくし、次々にあるべき世界へと帰っていくのだった。ストイユはそれを見送ると、火口から飛び上がってトモヤの元へと向かった。
「トモヤ。」
「お前は…そうか。やったんだな。」
「ええ。ここは危ないわ。早く降りましょう。」
「そうだな。」
トモヤ達は、アクィオンによって暴走した火山から立ち去り、その姿を消した。こうして、魔法少女達は、魔戒達と対決するその使命を終えたのであった。
『…お見事でした。魔法少女達。…いえ。スフレさん。トレファさん。イチゴさん。…そして、ユリネさん。』
ぶつり。と。四人は街に戻ると同時に、再び元の4人に戻っていた。アルケリオは、四人の胸から離れていく宝石を見て、静かに告げた。
『貴女達の活躍によって、この世界は魔戒達の魔の手から救われました。…これで、私も眠りにつくことができます。』
「そう…ですか…」
「ちょっと待ちなさいよ。…もう私達って、魔法少女にはなれないのかしら?」
トレファの質問に、アルケリオは静かに頷いた。
『その通りです。魔法少女とは、悪が生まれた時に対抗すべき力として生まれる、善の化身です。悪が消えた今、善の力も必要ないでしょうから。』
「…なるほどね。」
頑張って会得したのだから、もう少し活躍したかったのだが、仕方ないと諦める事にしたトレファ。
『たとえ力を失おうと、貴方達の功績はしっかりと世界の意志に刻まれました。二度目の平和を築いた貴方達を、世界は祝福するでしょう。』
いまいち掴みどころの分からない褒め方であったが、トモヤだけは、それを聞いて何かを理解した様子だった。
『それでは、私は消えましょう。用のない力は、何時までもいても良いわけありませんからね。』
「待って。」
と。呼び止めたのは、ユリネだ。
「…ありがとう。あなたが来なかったら、私はきっとアクィオンに勝てないままだった。」
『いいえ。お礼は私ではなく…仲間の皆さんに言ってください。私は補佐でしかありませんから。』
「…!…」
後ろを振り返ると、ニッコリと笑って、自分を迎え入れてくれる仲間たちがいた。辛いことも、楽しい事も一緒に分かちあった仲間。
「そっか…そうだね。ありがとう、皆。…仲間って…良いものね。」
「えへへ。そうですよね!」
「ふふ。」
「ああ、そうだな。」
と、四人の少女は、楽しそうに語り合った。そう、まるで素敵な魔法にかかったかのように。
『…私はもう、行かなくてはなりません。私も、皆さんのお力添えが出来て良かったです。』
「はい!あ、あの、アクィオンさん、最後に良いですか?」
『…どうぞ。お聞きしますよ。我が主。』
「どうして、私の元にあなたは来てくれたんですか?」
『……それは………』
アルケリオは、そっと素敵なことを耳元で囁いた。それを聞いて、スフレは嬉し恥ずかしいようなで、カーッと顔を赤らめた。
「そ、それじゃあ…なんでも…?」
『はい。どんな事でも。…もう時間です。魔法少女の皆さん、本当にありがとうございました。』
「は、はい!こちらこそ!」
「ええ。またね。ステッキちゃん。」
「あの恥ずかしい姿はもうやめてくれよ~…」
「……」
ユリネは、ステッキと無言で別れを告げた。もう互いに、話せる事は全て話したのだから。
────
それから数日後。トモヤ達は、いつもの酒場でいつも通りの日々を過ごしていた。ジュースを飲んでだらだらしたり、歌を歌ってワイワイ騒いだり。何も変わらぬ平和な日々であった。
ただ一つ、違う点といえば…
「ユリネさんもはい、ぐびーっと!」
「いただきます!んぐんぐ…」
パーティが4人から、5人に増えていた事だろう。
「いい飲みっぷりねー、私よりおっきくなるかもぉ?」
女子四人が楽しんでいるのは、牛乳のがぶ飲み。一位はトレファで、今はユリネがその後をおっている最中だ。
「ぶはー!もう一杯!」
今に腹下すぞー…と思いながら見ているその横で、トモヤは1つ考え事をしていた。あの後、不思議な事にアクィオンに殺された人々や、傷付けられた魔物達が、揃いも揃って復活していたのだ。
「(スフレ達はまだあの宝石を持ってるが…ユリネのは消えて無くなっていた。)」
もしかして、とトモヤは仮説を立てる。最後にアルケリオがスフレに耳打ちした言葉。もしかしたら、あの宝石は願いを叶えてくれる石かもしれないと。
「(はは、んな訳ないか。まあ、仮に本当だとしても…あれだけ頑張ったんだし…少しくらい美味しい思いしたって良いかもな。)」
トモヤはそう言って、バカ騒ぎしている四人を見つめる。仲間達は、一体どんな願い事を石に託すのだろうか。そんな事を考えながら、平和な世界に再び視線を移したのであった。
「トモヤ。」
「お前は…そうか。やったんだな。」
「ええ。ここは危ないわ。早く降りましょう。」
「そうだな。」
トモヤ達は、アクィオンによって暴走した火山から立ち去り、その姿を消した。こうして、魔法少女達は、魔戒達と対決するその使命を終えたのであった。
『…お見事でした。魔法少女達。…いえ。スフレさん。トレファさん。イチゴさん。…そして、ユリネさん。』
ぶつり。と。四人は街に戻ると同時に、再び元の4人に戻っていた。アルケリオは、四人の胸から離れていく宝石を見て、静かに告げた。
『貴女達の活躍によって、この世界は魔戒達の魔の手から救われました。…これで、私も眠りにつくことができます。』
「そう…ですか…」
「ちょっと待ちなさいよ。…もう私達って、魔法少女にはなれないのかしら?」
トレファの質問に、アルケリオは静かに頷いた。
『その通りです。魔法少女とは、悪が生まれた時に対抗すべき力として生まれる、善の化身です。悪が消えた今、善の力も必要ないでしょうから。』
「…なるほどね。」
頑張って会得したのだから、もう少し活躍したかったのだが、仕方ないと諦める事にしたトレファ。
『たとえ力を失おうと、貴方達の功績はしっかりと世界の意志に刻まれました。二度目の平和を築いた貴方達を、世界は祝福するでしょう。』
いまいち掴みどころの分からない褒め方であったが、トモヤだけは、それを聞いて何かを理解した様子だった。
『それでは、私は消えましょう。用のない力は、何時までもいても良いわけありませんからね。』
「待って。」
と。呼び止めたのは、ユリネだ。
「…ありがとう。あなたが来なかったら、私はきっとアクィオンに勝てないままだった。」
『いいえ。お礼は私ではなく…仲間の皆さんに言ってください。私は補佐でしかありませんから。』
「…!…」
後ろを振り返ると、ニッコリと笑って、自分を迎え入れてくれる仲間たちがいた。辛いことも、楽しい事も一緒に分かちあった仲間。
「そっか…そうだね。ありがとう、皆。…仲間って…良いものね。」
「えへへ。そうですよね!」
「ふふ。」
「ああ、そうだな。」
と、四人の少女は、楽しそうに語り合った。そう、まるで素敵な魔法にかかったかのように。
『…私はもう、行かなくてはなりません。私も、皆さんのお力添えが出来て良かったです。』
「はい!あ、あの、アクィオンさん、最後に良いですか?」
『…どうぞ。お聞きしますよ。我が主。』
「どうして、私の元にあなたは来てくれたんですか?」
『……それは………』
アルケリオは、そっと素敵なことを耳元で囁いた。それを聞いて、スフレは嬉し恥ずかしいようなで、カーッと顔を赤らめた。
「そ、それじゃあ…なんでも…?」
『はい。どんな事でも。…もう時間です。魔法少女の皆さん、本当にありがとうございました。』
「は、はい!こちらこそ!」
「ええ。またね。ステッキちゃん。」
「あの恥ずかしい姿はもうやめてくれよ~…」
「……」
ユリネは、ステッキと無言で別れを告げた。もう互いに、話せる事は全て話したのだから。
────
それから数日後。トモヤ達は、いつもの酒場でいつも通りの日々を過ごしていた。ジュースを飲んでだらだらしたり、歌を歌ってワイワイ騒いだり。何も変わらぬ平和な日々であった。
ただ一つ、違う点といえば…
「ユリネさんもはい、ぐびーっと!」
「いただきます!んぐんぐ…」
パーティが4人から、5人に増えていた事だろう。
「いい飲みっぷりねー、私よりおっきくなるかもぉ?」
女子四人が楽しんでいるのは、牛乳のがぶ飲み。一位はトレファで、今はユリネがその後をおっている最中だ。
「ぶはー!もう一杯!」
今に腹下すぞー…と思いながら見ているその横で、トモヤは1つ考え事をしていた。あの後、不思議な事にアクィオンに殺された人々や、傷付けられた魔物達が、揃いも揃って復活していたのだ。
「(スフレ達はまだあの宝石を持ってるが…ユリネのは消えて無くなっていた。)」
もしかして、とトモヤは仮説を立てる。最後にアルケリオがスフレに耳打ちした言葉。もしかしたら、あの宝石は願いを叶えてくれる石かもしれないと。
「(はは、んな訳ないか。まあ、仮に本当だとしても…あれだけ頑張ったんだし…少しくらい美味しい思いしたって良いかもな。)」
トモヤはそう言って、バカ騒ぎしている四人を見つめる。仲間達は、一体どんな願い事を石に託すのだろうか。そんな事を考えながら、平和な世界に再び視線を移したのであった。
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