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番外編 サブストーリー
29話「ウルトラ・メタモルフォーゼ」
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「今こそ…私達の力を合わせる時です!トレファさん!イチゴさん!ユリネさん!」
「ええ!わかってるわ。…ほんとにこれをやる羽目になるなんてね。」
「もちろんだ。ユリネ殿も、準備は良いか?」
「ん。大丈夫。いつでも、OK。」
四人の魔法少女達は、杖を上に振りかざして叫ぶ。目の前に立つ最強の炎を、今打ち消さんと、その光を眩しく空へ打ち上げる!
「全てを照らす始まりの炎!万物に宿る炎よ、我が元に集え!」
「全てを包む原初の水!万物を潤せし水よ、我が元に集え!」
「全てを抱えし大気の風!万物を愛でし風よ、我が元に集え!」
「全てを支える極大の地。万物を創りし土よ、我が元に集え。」
四大元素がステッキへと注がれ、誰もがまだ辿り着いた事の無い、驚天動地の神話が今切り開かれる。ステッキは四人の体を瞬時に引き寄せ、力を、身体を、心を、一つへと重ね合わせていく。
『万物の流転。世界の象徴。大いなる炎。流動せし水。吹き抜けし風。鎮座する大地。究極の閃光。我が姿はここに極まれり。』
『魔宝少女爆誕』
────
「こっ…この光は…!」
トモヤでさえ圧倒された炎王アクィオンが、合体した目の前の新たなる「敵」に、小さな恐怖を感じていた。どれ程抗っても敵わない、絶対的な力の差がある様な、恐るべき悪寒に包まれた。
「ついに…完成したのか!」
四人の魔法少女達が合体して出来上がった究極の戦士。圧倒的な輝きを放ちながら、『彼女』は地にゆっくりと足をつける。
────ブォォォッ…!
その刹那。凄まじい突風が『彼女』を中心に辺りを吹き抜け、地面はその力にパラパラと小さな土片が空へと舞い上がっていく。
「な、何者だ…!貴様…!?」
「私は…」
魔法少女達は、自分達がどんな名前にするのか全く考えていなかった。そこで、自分達の中であれこれ考えて一番良い名前をつける事にした。
「…ストイユ。お前を倒す、地上最強の戦士だ。」
「地上…最強だと…?」
いつものアクィオンなら、そんな冗談、天地がひっくり返っても有り得ぬ、と鼻で笑うだろう。しかし、目の前の少女から放たれる圧倒的な力に、あながち間違いでは無いのでは、という気さえしてくるのだ。
「さあ、お遊びは終わりよ。せいぜい、楽しませて欲しいわね。」
「黙れ!魔法少女如きが、紅蓮ノ獅子に勝てると思うなァ!」
────ゴォォォッ!!!!
斬撃が空を切り裂き、炎が天空を舞い踊る。炎は遥か地平線の彼方までその地を焼き尽くしながら、前進していく。
「ふん。口ほどにも無い…」
いや。アクィオンは分かっていた。あれ程の魔力を放つ者が、この程度でくたばる訳が無いと。だが、認めたく無かった。自分より上を行くものが存在するなど。
「どうしたの?それで本気?」
涼しい顔をして、立ち尽くすストイユ。魔力で壁を作った訳でも、防御をしたわけでも無い。ただ、「立っていた」だけで。炎を完全に防ぎ切ったのだ。
「もっと本気でやって欲しいわね。それとも、本気を出してこのザマなのかしら?」
腕を出して、クイクイと挑発するストイユ。性格面は、トレファの部分が大きく出ている様だ。
「黙れ黙れ黙れ!我が名はアクィオン!世界を救えし、伝説の王なり!」
────ゴォォォオオォォッッッ!!!!!!!!
剣に炎を宿し、全力で切りかかる。その太刀筋は本物で、世界に有する剣豪達をも圧倒させる程に速く、重い。言うなれば、完璧な攻撃である。
「遅い遅い。」
眠たそうに欠伸をしながら、その剣を避けまくるストイユ。ユリネの力がある為、身体能力も比べ物にならない程格段に上昇しているようだ。
「ちょこまかと…!」
「この程度で世界を支配しようなんて。笑わせるわ。」
一瞬の内にアクィオンの背後へと回るストイユ。それに気付いたアクィオンが斬撃を放とうとするより先に、ストイユの拳がアクィオンをぶち抜く!
────ドゴォォォン!!
「がっ…!?」
「ふむ、力はこんなものかしら。」
大したことないな、と自分の腕を見つめるストイユ。しかし、アクィオンは叩きつけられて付近の柱がひとつ折れた上、その先の地面に叩きつけられている。
「がはっ…き、貴様ァ……!」
「相当抑えてやったわよ。…ま、この調子なら魔法を使うまでも無さそうね。」
つかつか、と。ゆっくりと歩み寄るストイユ。まさに最強。魔戒を牛耳っていたアクィオンでさえ、彼女の猛攻にはもはや手も足も出ない。
「ま、負けるかァァァァァァ!!!!」
アクィオンの悲痛な叫びが、天空へとこだましていく。
「ええ!わかってるわ。…ほんとにこれをやる羽目になるなんてね。」
「もちろんだ。ユリネ殿も、準備は良いか?」
「ん。大丈夫。いつでも、OK。」
四人の魔法少女達は、杖を上に振りかざして叫ぶ。目の前に立つ最強の炎を、今打ち消さんと、その光を眩しく空へ打ち上げる!
「全てを照らす始まりの炎!万物に宿る炎よ、我が元に集え!」
「全てを包む原初の水!万物を潤せし水よ、我が元に集え!」
「全てを抱えし大気の風!万物を愛でし風よ、我が元に集え!」
「全てを支える極大の地。万物を創りし土よ、我が元に集え。」
四大元素がステッキへと注がれ、誰もがまだ辿り着いた事の無い、驚天動地の神話が今切り開かれる。ステッキは四人の体を瞬時に引き寄せ、力を、身体を、心を、一つへと重ね合わせていく。
『万物の流転。世界の象徴。大いなる炎。流動せし水。吹き抜けし風。鎮座する大地。究極の閃光。我が姿はここに極まれり。』
『魔宝少女爆誕』
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「こっ…この光は…!」
トモヤでさえ圧倒された炎王アクィオンが、合体した目の前の新たなる「敵」に、小さな恐怖を感じていた。どれ程抗っても敵わない、絶対的な力の差がある様な、恐るべき悪寒に包まれた。
「ついに…完成したのか!」
四人の魔法少女達が合体して出来上がった究極の戦士。圧倒的な輝きを放ちながら、『彼女』は地にゆっくりと足をつける。
────ブォォォッ…!
その刹那。凄まじい突風が『彼女』を中心に辺りを吹き抜け、地面はその力にパラパラと小さな土片が空へと舞い上がっていく。
「な、何者だ…!貴様…!?」
「私は…」
魔法少女達は、自分達がどんな名前にするのか全く考えていなかった。そこで、自分達の中であれこれ考えて一番良い名前をつける事にした。
「…ストイユ。お前を倒す、地上最強の戦士だ。」
「地上…最強だと…?」
いつものアクィオンなら、そんな冗談、天地がひっくり返っても有り得ぬ、と鼻で笑うだろう。しかし、目の前の少女から放たれる圧倒的な力に、あながち間違いでは無いのでは、という気さえしてくるのだ。
「さあ、お遊びは終わりよ。せいぜい、楽しませて欲しいわね。」
「黙れ!魔法少女如きが、紅蓮ノ獅子に勝てると思うなァ!」
────ゴォォォッ!!!!
斬撃が空を切り裂き、炎が天空を舞い踊る。炎は遥か地平線の彼方までその地を焼き尽くしながら、前進していく。
「ふん。口ほどにも無い…」
いや。アクィオンは分かっていた。あれ程の魔力を放つ者が、この程度でくたばる訳が無いと。だが、認めたく無かった。自分より上を行くものが存在するなど。
「どうしたの?それで本気?」
涼しい顔をして、立ち尽くすストイユ。魔力で壁を作った訳でも、防御をしたわけでも無い。ただ、「立っていた」だけで。炎を完全に防ぎ切ったのだ。
「もっと本気でやって欲しいわね。それとも、本気を出してこのザマなのかしら?」
腕を出して、クイクイと挑発するストイユ。性格面は、トレファの部分が大きく出ている様だ。
「黙れ黙れ黙れ!我が名はアクィオン!世界を救えし、伝説の王なり!」
────ゴォォォオオォォッッッ!!!!!!!!
剣に炎を宿し、全力で切りかかる。その太刀筋は本物で、世界に有する剣豪達をも圧倒させる程に速く、重い。言うなれば、完璧な攻撃である。
「遅い遅い。」
眠たそうに欠伸をしながら、その剣を避けまくるストイユ。ユリネの力がある為、身体能力も比べ物にならない程格段に上昇しているようだ。
「ちょこまかと…!」
「この程度で世界を支配しようなんて。笑わせるわ。」
一瞬の内にアクィオンの背後へと回るストイユ。それに気付いたアクィオンが斬撃を放とうとするより先に、ストイユの拳がアクィオンをぶち抜く!
────ドゴォォォン!!
「がっ…!?」
「ふむ、力はこんなものかしら。」
大したことないな、と自分の腕を見つめるストイユ。しかし、アクィオンは叩きつけられて付近の柱がひとつ折れた上、その先の地面に叩きつけられている。
「がはっ…き、貴様ァ……!」
「相当抑えてやったわよ。…ま、この調子なら魔法を使うまでも無さそうね。」
つかつか、と。ゆっくりと歩み寄るストイユ。まさに最強。魔戒を牛耳っていたアクィオンでさえ、彼女の猛攻にはもはや手も足も出ない。
「ま、負けるかァァァァァァ!!!!」
アクィオンの悲痛な叫びが、天空へとこだましていく。
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