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番外編 サブストーリー
26話「最強の盾、再来」
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巻きあがる煙。爆煙が空へ立ち上り、もうもうと辺りへと散漫していく。四人の魔力を集めた必殺技。それは、間違いなくアクィオンの身体へと届いていた。
…はずだった。
「今のは効いたぞ。流石はここまで魔戒共と渡り合ってきただけの事はある。」
「なっ…」
だが。アクィオンは、軽いかすり傷を作っているだけで、まるで効いている様子が無かった。あれだけの魔力だ。咄嗟の防御では、ダメージは避けられなかったはずだ。
「不思議そうな顔をしているな。…教えてやろう。我が力、紅蓮ノ獅子を。」
「紅蓮の獅子ですって…!」
ユリネは驚いた。ムスペルヘイム。本来ならば、この世界に存在する地獄の意味を冠する名前だ。だが、アクィオンはそれを、自分の魔法であると名乗った。
「我が魔力は人の体内では抑えきれぬ程の力を持っていてな。溢れ切った魔力は我が周りへと漂い、紅蓮の獅子として、我が鎧へと転じているのだよ。」
アクィオンはそう言うと、手を腰の高さ程にまで持ってきて、そっと開いた。すると、彼の背後に、炎で作り上げられた獅子が浮かび上がったのだ。
「そ…そんな…まさか…!」
それを見て、ユリネは膝を落とす。目の前に立っているこの男が、そんなレベルに達する程の魔力を持っていたとは。いくら常人を脱した自分達でも、とても敵う相手には思えない。
「そしてこの炎は、逆に攻撃に転じる際に使用する事も可能だ。その意味がわかるか?」
言うなれば、死刑宣告。自分達四人よりも、遥かに上の魔力を持った者が、そう放つのだ。そうとるより他に無いだろう。
「み、皆さん!攻撃が来ます!」
「ええっ!わかってるわよ!」
────ポンポン!
トレファが持ち味の神速を活かして、高速で魔法陣を組み上げる。四属性の中で、一番アクィオンに有利なのが彼女だ。
『アクアヴェール』
────ドッパァァァッ!
巨大な水の壁。それは人知でどうこう出来るレベルよりも遥かに上であり、もはや魔法の域を出て、禁術レベルにまで達していた。
しかし。
「無意味だ。そんな水で…!」
────ゴォゥッ!
紅蓮の獅子が放たれる。炎は怒涛の勢いで流れる水を一瞬で突き破り、トレファ達の方へと押し寄せていく。
「しまった…!」
「喰らい尽くせ!紅蓮の獅子!」
────キィィィィン!
だが。
その時だった。
3人の耳によく聞きなれた、ある音が鳴り響いた。
「えっ…!」
「あっ…!」
「…!」
紅蓮の獅子はその牙を翻し、怒涛の勢いでアクィオンの方へと迫っていく。アクィオンは驚いてその炎を振り払ったが、炎の先には、信じられない人物が立っていた。
「ば、馬鹿な…貴様は…!」
「悪いな、皆。俺がいない間に、色々と面倒な事になっちまったみたいだな。」
懐かしい声が。3人の耳に届く。とても大きく、頼もしく、力強い言葉。誰よりも近くで戦い、そばで過ごした彼が。今帰ってきた。
「トモヤさん!」
スフレは嬉しくて、状況も忘れてトモヤへと抱きつく。トモヤは振り返る事無く、そっとスフレの事を撫でて、呟いた。
「一旦引くぞ。今の俺達じゃ、あいつには勝てない。」
「えっ…!?」
『防衛術式:深霧逃賽』
トモヤの口から放たれた驚くべき言葉とほぼ同時に、盾からは煙が放たれ、濃霧のごとく変化してトモヤ達の姿が消える。
「…逃げたか。厄介な事になったな。まさかあの男が着くことになるとは。」
アクィオンはさも忌々しそうに呟き、開けられた穴を見下ろした。
「…これは、あれを利用する事もあるかもしれまいて。」
…はずだった。
「今のは効いたぞ。流石はここまで魔戒共と渡り合ってきただけの事はある。」
「なっ…」
だが。アクィオンは、軽いかすり傷を作っているだけで、まるで効いている様子が無かった。あれだけの魔力だ。咄嗟の防御では、ダメージは避けられなかったはずだ。
「不思議そうな顔をしているな。…教えてやろう。我が力、紅蓮ノ獅子を。」
「紅蓮の獅子ですって…!」
ユリネは驚いた。ムスペルヘイム。本来ならば、この世界に存在する地獄の意味を冠する名前だ。だが、アクィオンはそれを、自分の魔法であると名乗った。
「我が魔力は人の体内では抑えきれぬ程の力を持っていてな。溢れ切った魔力は我が周りへと漂い、紅蓮の獅子として、我が鎧へと転じているのだよ。」
アクィオンはそう言うと、手を腰の高さ程にまで持ってきて、そっと開いた。すると、彼の背後に、炎で作り上げられた獅子が浮かび上がったのだ。
「そ…そんな…まさか…!」
それを見て、ユリネは膝を落とす。目の前に立っているこの男が、そんなレベルに達する程の魔力を持っていたとは。いくら常人を脱した自分達でも、とても敵う相手には思えない。
「そしてこの炎は、逆に攻撃に転じる際に使用する事も可能だ。その意味がわかるか?」
言うなれば、死刑宣告。自分達四人よりも、遥かに上の魔力を持った者が、そう放つのだ。そうとるより他に無いだろう。
「み、皆さん!攻撃が来ます!」
「ええっ!わかってるわよ!」
────ポンポン!
トレファが持ち味の神速を活かして、高速で魔法陣を組み上げる。四属性の中で、一番アクィオンに有利なのが彼女だ。
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────ドッパァァァッ!
巨大な水の壁。それは人知でどうこう出来るレベルよりも遥かに上であり、もはや魔法の域を出て、禁術レベルにまで達していた。
しかし。
「無意味だ。そんな水で…!」
────ゴォゥッ!
紅蓮の獅子が放たれる。炎は怒涛の勢いで流れる水を一瞬で突き破り、トレファ達の方へと押し寄せていく。
「しまった…!」
「喰らい尽くせ!紅蓮の獅子!」
────キィィィィン!
だが。
その時だった。
3人の耳によく聞きなれた、ある音が鳴り響いた。
「えっ…!」
「あっ…!」
「…!」
紅蓮の獅子はその牙を翻し、怒涛の勢いでアクィオンの方へと迫っていく。アクィオンは驚いてその炎を振り払ったが、炎の先には、信じられない人物が立っていた。
「ば、馬鹿な…貴様は…!」
「悪いな、皆。俺がいない間に、色々と面倒な事になっちまったみたいだな。」
懐かしい声が。3人の耳に届く。とても大きく、頼もしく、力強い言葉。誰よりも近くで戦い、そばで過ごした彼が。今帰ってきた。
「トモヤさん!」
スフレは嬉しくて、状況も忘れてトモヤへと抱きつく。トモヤは振り返る事無く、そっとスフレの事を撫でて、呟いた。
「一旦引くぞ。今の俺達じゃ、あいつには勝てない。」
「えっ…!?」
『防衛術式:深霧逃賽』
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「…逃げたか。厄介な事になったな。まさかあの男が着くことになるとは。」
アクィオンはさも忌々しそうに呟き、開けられた穴を見下ろした。
「…これは、あれを利用する事もあるかもしれまいて。」
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