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番外編 サブストーリー
24話「炎王アクィオン」
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『テュボポホー!』
『グゾァァァァー!』
遅い来る魔戒達。それら一つ一つを的確に処理しつつ、アクィォンの潜んでいる場所を探す。バベルの塔は天まで届く様な高さで、登れど登れど先が見えぬ、無限の迷宮の様に空へ伸びていた。
「一々登るのも面倒ね。スフレちゃん、魔法で上まで一気に薙ぎ払えないかしら?」
「それは名案ですね。早速、やってみましょう!」
スフレは腰のカードを取り出し、その中の一枚を選び抜く。塔を破壊すべく選ばれたのは、直線上に伸びる破壊のレーザー。魔方陣が腕へと展開し、スフレの両手へと集まっていく。
『魔力爆煙波』
────ゴォォォッ!!
両手に集められた魔力が解き放たれ、バベルの塔の天井を次々に貫いていく。外で雑兵との戦闘を繰り広げていたスジンも、天井から立ち上った閃光にちらりと目をやった。
「よし、上手く行きましたね!」
「スフレ、凄いわね。」
天を見上げると、青い空が広がっている。ここからどこかに進めば、魔物達を苦しい目に合わせているアクィオンの居場所にたどり着くはずだ。
────
「くっくっく…来たか。天に仰ぐべきこのアクィオンに刃向かう、知能の遅れた下郎共が。」
屋上。吹き抜ける突風に揺らめく、一筋の炎がそこに立っていた。赤く燃え上がる真紅の髪。そして、悠然たる態度を示した如き紅蓮の髭。雅やかな服装に身を包み、涼しい顔でクレアの禁術を跳ね除けた。その男こそ。
「面白い。私が直々に、出迎えてやるとしよう。」
西の大地を蹂躙せし、炎の王。炎王アクィオン。彼は絢爛豪華な椅子から立ち上がると、なんの躊躇いもなくその椅子を炎で消し飛ばし、悠然と立ち上がる。
「はああっ!」
────バッ!
と。飛び上がってくる四人の魔法少女達。アクィオンは、彼女らを余裕の表情で見つめた。
「…貴方が、アクィオン…ですね。」
「如何にも。私の事は、そこの小娘が一番よく知っているだろう。」
そう言って、ユリネの方を見る。確かにユリネは、アクィオンによって洗脳されていたのだ。ユリネはぎっ、と小さく奥歯を噛み締めていた。
「しかし大したものだ。ユリネよ。お前は私が力を奪ってやったはず。今一度魔法少女になるとは、抜け殻の貴様に精神が宿ったという事か?」
「…なっ…!では、お前は…!」
いまいち事情が飲み込めない、スフレ達。ユリネはあの日、アクィオンに直々に始末された。その理由が、彼女は魔戒に対抗しうる唯一の存在、真の魔法少女であったからだ。
「ど、どういうことですか…?」
『…ユリネ様は…』
アルケリオは、ユリネがこの時代の、真の魔法少女であった事を明かした。だが、ユリネは魔法少女としての力をアクィオンに奪われ、洗脳されて記憶を失ってしまっていた。だからこそ、アルケリオは彼女を追って、あのギルドの、彼女を救えるだけの力を持った者の所へ現れたのだ。
「そうだったんですか…!」
「さて、前座も済んだところで、お見せしようか、炎王、アクィオンの力を!」
────ゴォォォ…!
底知れぬ魔力。ガイアが言っていた様に、今までの魔戒達とは比べ物にならない程の威圧感。これが、炎の王。最大最強の正義にして、最強最悪の悪。さあ、刮目せよ。
『グゾァァァァー!』
遅い来る魔戒達。それら一つ一つを的確に処理しつつ、アクィォンの潜んでいる場所を探す。バベルの塔は天まで届く様な高さで、登れど登れど先が見えぬ、無限の迷宮の様に空へ伸びていた。
「一々登るのも面倒ね。スフレちゃん、魔法で上まで一気に薙ぎ払えないかしら?」
「それは名案ですね。早速、やってみましょう!」
スフレは腰のカードを取り出し、その中の一枚を選び抜く。塔を破壊すべく選ばれたのは、直線上に伸びる破壊のレーザー。魔方陣が腕へと展開し、スフレの両手へと集まっていく。
『魔力爆煙波』
────ゴォォォッ!!
両手に集められた魔力が解き放たれ、バベルの塔の天井を次々に貫いていく。外で雑兵との戦闘を繰り広げていたスジンも、天井から立ち上った閃光にちらりと目をやった。
「よし、上手く行きましたね!」
「スフレ、凄いわね。」
天を見上げると、青い空が広がっている。ここからどこかに進めば、魔物達を苦しい目に合わせているアクィオンの居場所にたどり着くはずだ。
────
「くっくっく…来たか。天に仰ぐべきこのアクィオンに刃向かう、知能の遅れた下郎共が。」
屋上。吹き抜ける突風に揺らめく、一筋の炎がそこに立っていた。赤く燃え上がる真紅の髪。そして、悠然たる態度を示した如き紅蓮の髭。雅やかな服装に身を包み、涼しい顔でクレアの禁術を跳ね除けた。その男こそ。
「面白い。私が直々に、出迎えてやるとしよう。」
西の大地を蹂躙せし、炎の王。炎王アクィオン。彼は絢爛豪華な椅子から立ち上がると、なんの躊躇いもなくその椅子を炎で消し飛ばし、悠然と立ち上がる。
「はああっ!」
────バッ!
と。飛び上がってくる四人の魔法少女達。アクィオンは、彼女らを余裕の表情で見つめた。
「…貴方が、アクィオン…ですね。」
「如何にも。私の事は、そこの小娘が一番よく知っているだろう。」
そう言って、ユリネの方を見る。確かにユリネは、アクィオンによって洗脳されていたのだ。ユリネはぎっ、と小さく奥歯を噛み締めていた。
「しかし大したものだ。ユリネよ。お前は私が力を奪ってやったはず。今一度魔法少女になるとは、抜け殻の貴様に精神が宿ったという事か?」
「…なっ…!では、お前は…!」
いまいち事情が飲み込めない、スフレ達。ユリネはあの日、アクィオンに直々に始末された。その理由が、彼女は魔戒に対抗しうる唯一の存在、真の魔法少女であったからだ。
「ど、どういうことですか…?」
『…ユリネ様は…』
アルケリオは、ユリネがこの時代の、真の魔法少女であった事を明かした。だが、ユリネは魔法少女としての力をアクィオンに奪われ、洗脳されて記憶を失ってしまっていた。だからこそ、アルケリオは彼女を追って、あのギルドの、彼女を救えるだけの力を持った者の所へ現れたのだ。
「そうだったんですか…!」
「さて、前座も済んだところで、お見せしようか、炎王、アクィオンの力を!」
────ゴォォォ…!
底知れぬ魔力。ガイアが言っていた様に、今までの魔戒達とは比べ物にならない程の威圧感。これが、炎の王。最大最強の正義にして、最強最悪の悪。さあ、刮目せよ。
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