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番外編 サブストーリー
14話 「彼女の選択」
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そして。煙が巻き上がり、魔法少女の前に吹き飛ばされたラミーが、姿を表す。鱗が剥がれ落ち、皮膚が焼けたダメージで動けなくなっていた。
「やったぞ!」
「流石ね!」
「た、倒したん…ですよね…?」
『はい。我が主。生命活動は奪えませんでしたが、戦闘不能と判断します。』
しかし、いつものようにスフレの武装が解除されない。まだ警戒を怠っていないのか。それとも。
「じゃあ、戦わなくても大丈夫ですね。あの人からお話とか、伺えないでしょうか?」
『それは難しいと判断します。魔戒は世界の歪み。悪しき者の権化。悪によって呼ばれ、悪によって作り出されます。我が主、人間のように善の心を持ち得ていないのです。』
「えっ…?じゃあ、あの女の人は…」
『率直に申しますと、話は通じません。魔術師に駆使される使い魔の様なものです。あの女は、魔物を殺す使徒を増やす様にアクィオンに命じられています。それ以外の物事は、頭に入らないのです。』
「そんな…じゃあ、話し合いでは解決できないのですか…」
『その通りです。さあ、あの女にトドメを刺しましょう。それが、魔法少女たる貴女の使命です。』
ステッキは確かに、正しい事を言ってはいた。このまま彼女を野放しにすれば、またいつ人を襲うか分からない。始末するのが妥当だと。
「…私は、あの魔戒を倒す為に魔法少女になったんですよね。ステッキさん。」
『…その通りですが…?』
「……わかりました。」
スフレは杖を手放して、ラミーの方へと歩み寄る。ラミーも戦闘不能だからか、スフレが歩み寄っても微塵も反応を示さない。
「…あなたも、洗脳されているのでは無いですか…?」
『何を…?我が主、魔戒は悪たる権化。洗脳など…』
「…捧げ…よ…」
「怖がらないで下さい。…もう、痛いことはしませんから。」
そっと相手に寄り添うスフレ。ラミーは。ステッキに悪と呼ばれた存在は、小さく涙を流した。
「さ…さげ…よ…!」
────ジャキン!
ずるり。とその爪が伸びる。長さ的には短剣とさほど変わらないが、近くにいたスフレを貫くには十分な強度と長さを誇っていた。
『我が主!』
「っ…!?」
「スフレ!」
「スフレちゃん!」
────ドスッ!!
と肉を切り裂く音。ビシャっと鮮血が飛び散り、寄り添っていた二人のうちの一つが、肉塊となってその場に崩れ落ちる。
「どうして…ですか…?」
「……アリガトウ…」
ずぬり。と爪が抜け、傷口から赤い血がぼたぼたと流れ落ちる。そして、崩れ落ちた肉塊は、ゆっくりとその瞼を閉じた。
「やったぞ!」
「流石ね!」
「た、倒したん…ですよね…?」
『はい。我が主。生命活動は奪えませんでしたが、戦闘不能と判断します。』
しかし、いつものようにスフレの武装が解除されない。まだ警戒を怠っていないのか。それとも。
「じゃあ、戦わなくても大丈夫ですね。あの人からお話とか、伺えないでしょうか?」
『それは難しいと判断します。魔戒は世界の歪み。悪しき者の権化。悪によって呼ばれ、悪によって作り出されます。我が主、人間のように善の心を持ち得ていないのです。』
「えっ…?じゃあ、あの女の人は…」
『率直に申しますと、話は通じません。魔術師に駆使される使い魔の様なものです。あの女は、魔物を殺す使徒を増やす様にアクィオンに命じられています。それ以外の物事は、頭に入らないのです。』
「そんな…じゃあ、話し合いでは解決できないのですか…」
『その通りです。さあ、あの女にトドメを刺しましょう。それが、魔法少女たる貴女の使命です。』
ステッキは確かに、正しい事を言ってはいた。このまま彼女を野放しにすれば、またいつ人を襲うか分からない。始末するのが妥当だと。
「…私は、あの魔戒を倒す為に魔法少女になったんですよね。ステッキさん。」
『…その通りですが…?』
「……わかりました。」
スフレは杖を手放して、ラミーの方へと歩み寄る。ラミーも戦闘不能だからか、スフレが歩み寄っても微塵も反応を示さない。
「…あなたも、洗脳されているのでは無いですか…?」
『何を…?我が主、魔戒は悪たる権化。洗脳など…』
「…捧げ…よ…」
「怖がらないで下さい。…もう、痛いことはしませんから。」
そっと相手に寄り添うスフレ。ラミーは。ステッキに悪と呼ばれた存在は、小さく涙を流した。
「さ…さげ…よ…!」
────ジャキン!
ずるり。とその爪が伸びる。長さ的には短剣とさほど変わらないが、近くにいたスフレを貫くには十分な強度と長さを誇っていた。
『我が主!』
「っ…!?」
「スフレ!」
「スフレちゃん!」
────ドスッ!!
と肉を切り裂く音。ビシャっと鮮血が飛び散り、寄り添っていた二人のうちの一つが、肉塊となってその場に崩れ落ちる。
「どうして…ですか…?」
「……アリガトウ…」
ずぬり。と爪が抜け、傷口から赤い血がぼたぼたと流れ落ちる。そして、崩れ落ちた肉塊は、ゆっくりとその瞼を閉じた。
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