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番外編 サブストーリー

13話「魔戒と魔法少女」

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『正義の使者、魔法少女☆スフレゃん、ここに推参!』

「そこのあなた!私が相手です!」

「捧げよ…!」

女はスフレの変身を見た途端に興味でも失ったかのように二人から離れ、スフレをギロリと睨み付ける。

「スフレちゃん…気をつけて…!そいつは攻撃が全く通じないわ…!」

「…!わかりました!」

ステッキの言っていた通り、二人の攻撃はあの女には通じていない。鱗のひとつにも、傷が付いていないのだ。先程立ち上った閃光から察するに、禁術にも匹敵するイチゴの必殺技を直に受けたにも関わらず…だ。

「簡単な攻撃は通じないかもですね…」

『はい。我が主。その判断は妥当です。奴はラミー。魔戒の中でも有数の防御力を持つ怪物です。』

「そうなんですか?でもどうしてそんな…」

────ブォン!

「きゃっ!」

「捧げよ…お前の命を…!」

殴打による凄まじい猛攻。魔法少女となったスフレでも、それをギリギリで躱す事で精一杯だ。ラミーとステッキに呼ばれた女は、必死の形相でスフレに攻撃を繰り出し続ける。

────ブン!ブォン!

「はっ!」

相手の拳を華麗に躱し、空中から爆裂魔法で爆撃を行うスフレ。物理攻撃も可能だが、スフレの得意としている面では無いのだ。

「……」

────シュウウウ…

と。煙が巻き上がる。しかし、鱗に傷がついた様子は無い。イチゴ達の必殺技を防いだ鱗だ。魔法少女だからといって、簡易な魔法で破壊できるような代物では無いのだろう。

「き、効いていませんね…」

『我が主。やはりここは禁術絵札を使うべきでしょう。』

「そうですね。…全力で、撃破します!」

スフレはポーチからカードを取り出すと、それらを外へと放り投げる。カードはパラパラと空を舞いながら、スフレの手元へと綺麗に山札となって収まっていく。

『禁忌術式・第一魔術アルケニア

1番上のカードがヒラリと捲られ、それが魔法陣へと変形していく。禁術の中でも、古より伝わる原始の魔法使い達が編み出した恐るべき禁忌の魔術。イチゴ達は当然、勉強に勤しんだスフレでさえ、形すら知らない魔法陣。それが、今目の前で具現化している。

「こ、この魔法は…!?」

『錬金術、というのはご存知ですね。古来、人類は金属を精錬して純金を作り出す為に試行錯誤を重ねました。その過程において偶発したのがこの魔術。…虚影魔術です。』

「虚影…魔術…」

スフレはその魔法の名前を、一度だけ聞いた事がある。自らの想像力を、そのまま形として具現化させるある種の「魔法」。膨大な魔力と複雑な回路を有するが為に、人類のほとんどがその境地に辿り着く事が出来ない、幻の禁術。それこそ、神域に達しなければ不可能だと言われた魔術だ。

「では…これは私の想像を武器にする…という事ですか…?」

『その通りです。我が主。さあ、念じなさい。貴方の中に眠る、最強の力を。』

「…最強の力…」

自分が見てきた中で、とてつもなく強い力。そんなもの、急に言われたって想像出来る訳が無い。だけれど、とても印象強く残っているのが、一つだけあった。

「想像の贈物おくりもの。我が脳裏に映る陽炎。我は世界。世界は我。双方の垣根を今砕き候う。万物は我が手に。」

スフレが両手を組み合わせると、魔法陣は圧縮されて光の玉へと変化していく。

「あ、あれって…!」

「まさか…!あの技を…!」

────ギュゥゥゥゥン!

光の玉は瞬く間に大きさを増し、スフレの手のひらに治まりきらない程まで成長する。

「行きます!」

────カァァァッ!

その刹那。光の玉が大きく瞬き始める。

『テュールラグナロク・虚影魔術プロスクリプション

────ゴォォォッ!!!

魔王を葬った、世界最強の閃光。スフレの放ったその一撃は、それにも負けず劣らず、恐ろしい程の破壊力を保ったまま、真っ直ぐにラミーへと突進していく。

「…ささ…げよ…!」

────バァン!!

今まで、どんな攻撃にも動じて来なかったラミーも、その攻撃を必死に両手で受け止める。バキバキと鱗が剥がされ、身体が閃熱に溶かされていく。

「行っけぇぇぇぇっ!!!」

────

その刹那、音もなく凄まじい爆発が巻き起こり、天へと登りゆく爆風が遠くからでも見えた。
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