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番外編 サブストーリー
11話「アクィオンの街」
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クラムメル。西の大陸の最東端の街であり、港町として栄えていた街である。現在はアクィオン達の支配を受け、何処と無く沈んだ空気が、街を包み込んでいた。
「なんだか元気がありませんね…どうしたのでしょうか…?」
「ここも…アクィオンの攻撃を受けたの。…魔物達と親密な街だったから…皆落ち込んでる…」
ユリネは残念そうに街を見渡して、表街道を歩き出す。
「そう言えばユリネさん、アクィオンは何処に潜んでいるのですか?」
「わからない…から…ここで聞くの。そしたら…スジンで飛んでいける…でしょ?」
「なるほどです!では、どんどん聴き込んでいきましょう!」
おー!とトレファ達も意気込み、クラムメルの住人達から情報を集めていく。
─────
少しして。スフレ達はどうも困り果てた様子で、再び元の広場に集まっていた。
「トレファさん、情報、集まりましたか?」
「いいえ。私の方は全然ダメ。…イチゴ、貴方もそうでしょう?」
「ああ。どうやら、アクィオン達から口封じをされているらしい。これでは話せないのも仕方ない。」
情報を話すことさえ、禁じられているらしい。よほど支配的な組織なのだろう。
「情報…集まらないね…どうしよっか。」
「そうですね…とりあえず、宿屋を探しましょうか!」
「それが良いわね。スジンもお疲れでしょうし。」
凄まじい速度で飛んできたとはいえ、大陸を隔てる海の距離はかなりのものだ。スジンもそれなりに疲弊していた。
「そうだな。では、宿屋を探し…」
「きゃーっ!だ、誰かー!」
と。その時だった。遠くから悲鳴が聞こえ、四人の耳へと届いた。真っ先にイチゴが飛び出し、トレファとスフレも後に続く。
「あ、待って…」
「えっと…ユリネさんはここで待っていてください。危険な事かもしれませんから。」
「で、でも…私も…戦える…私、武闘家だから…」
「えっ…武闘家…?」
武闘家。それは西の大陸にのみ存在する職業の事で、武器を巧みに扱う職業とは対照的に、己の体を武器へと変えて戦う、己を戦いの権化へと変化させる職業だ。
「……わかりました。一緒に行きましょう!」
「…うん…!」
ユリネと手を繋ぎ、急いで悲鳴がした路地へと走るスフレ。イチゴ達がひと足早く駆け付けると、少女を襲う化け物の姿があった。
「捧げよ…捧げよ…アクィオンに全てを捧げよ…」
「助けて…!いやぁ…!」
そこにいるのは、全身を鱗に包まれた、化け物のような女の怪物。怪物は少女を掴んで今にも引き裂かんとばかりに腕に力を込める。
「させるかっ!」
疾風の如くイチゴがそれに割って入り、少女をかっさらいながら斬撃を一撃見舞う。
────ガィィィン!!
強固な鱗に剣は弾かれるが、少女は無事にイチゴの手中に収まり、小さな安堵の息がトレファ達から漏れる。
『我が主。危険です。あの生物は…私達でないと倒せません。』
「えっ…それって…どういう事ですか…?」
「なんだか元気がありませんね…どうしたのでしょうか…?」
「ここも…アクィオンの攻撃を受けたの。…魔物達と親密な街だったから…皆落ち込んでる…」
ユリネは残念そうに街を見渡して、表街道を歩き出す。
「そう言えばユリネさん、アクィオンは何処に潜んでいるのですか?」
「わからない…から…ここで聞くの。そしたら…スジンで飛んでいける…でしょ?」
「なるほどです!では、どんどん聴き込んでいきましょう!」
おー!とトレファ達も意気込み、クラムメルの住人達から情報を集めていく。
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少しして。スフレ達はどうも困り果てた様子で、再び元の広場に集まっていた。
「トレファさん、情報、集まりましたか?」
「いいえ。私の方は全然ダメ。…イチゴ、貴方もそうでしょう?」
「ああ。どうやら、アクィオン達から口封じをされているらしい。これでは話せないのも仕方ない。」
情報を話すことさえ、禁じられているらしい。よほど支配的な組織なのだろう。
「情報…集まらないね…どうしよっか。」
「そうですね…とりあえず、宿屋を探しましょうか!」
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「そうだな。では、宿屋を探し…」
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と。その時だった。遠くから悲鳴が聞こえ、四人の耳へと届いた。真っ先にイチゴが飛び出し、トレファとスフレも後に続く。
「あ、待って…」
「えっと…ユリネさんはここで待っていてください。危険な事かもしれませんから。」
「で、でも…私も…戦える…私、武闘家だから…」
「えっ…武闘家…?」
武闘家。それは西の大陸にのみ存在する職業の事で、武器を巧みに扱う職業とは対照的に、己の体を武器へと変えて戦う、己を戦いの権化へと変化させる職業だ。
「……わかりました。一緒に行きましょう!」
「…うん…!」
ユリネと手を繋ぎ、急いで悲鳴がした路地へと走るスフレ。イチゴ達がひと足早く駆け付けると、少女を襲う化け物の姿があった。
「捧げよ…捧げよ…アクィオンに全てを捧げよ…」
「助けて…!いやぁ…!」
そこにいるのは、全身を鱗に包まれた、化け物のような女の怪物。怪物は少女を掴んで今にも引き裂かんとばかりに腕に力を込める。
「させるかっ!」
疾風の如くイチゴがそれに割って入り、少女をかっさらいながら斬撃を一撃見舞う。
────ガィィィン!!
強固な鱗に剣は弾かれるが、少女は無事にイチゴの手中に収まり、小さな安堵の息がトレファ達から漏れる。
『我が主。危険です。あの生物は…私達でないと倒せません。』
「えっ…それって…どういう事ですか…?」
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