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番外編 サブストーリー
9話「西の大陸へ」
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「見事だ。私の必殺技を打ち破るとはな。」
「はぁ…はぁ…」
スフレもイチゴも、驚きを隠しきれなかった。スフレはあれ程の必殺技を放ったイチゴを、イチゴはそれを完璧に相殺した禁術を、互いに驚いていたのだ。
トゥハイフリズスキャルヴ・オーバーロード。イチゴが放ったその閃光は、無惨に地面を焼き付くし、黒焦げの道を作り上げていた。模擬刀ですらこの威力なのだから、真剣でやれば更におぞましい必殺技と化すだろう。
「わかった。魔法少女の力は認めよう。これなら、アクィオンとやらも倒せるかもしれないな。」
イチゴは模擬刀を収めると、満足そうに微笑む。
『目的の遂行を確認。武装解除します。』
と。ステッキが喋ると同時にコスチュームが普段の服へと戻る。どうやら、目的が果たされると自動で元に戻るらしい。
「…い、生きててよかった~…」
へたり、とその場に座り込むスフレ。それもそうだ、あんな威力の必殺技、そうそうお目にかかれるものでは無い。生きていただけでも奇跡と呼ぶべきだろう。
「二人とも…凄い…アクィオンも倒せるかも…!」
と。ユリネは嬉しそうに言う。
「えへへ。そうでしょうか?」
「うん!早速、来て欲しい…西の大地に!」
「西の大地…」
西の大地。元々は平和な大陸であったが、ユリネの話ではアクィオン達がのさばっている地で、今や国土の大半がアクィオンによって統制されている場所になっていると言う。
「わかりました。早速準備をして、明日には出発しましょうか!」
ドンと来い、とスフレは胸を張る。本当はトモヤに頼りたい気持ちはあったが、今のトモヤは無敵の盾を持っていない。その為、最低限、世界を守る力を手に入れるために東の地へと修行に赴いている。その邪魔をする訳にはいかない。
「ありがとう…スフレ…さん…!」
そして、その夜。スフレが征伐に出かける前の見送りとして、盛大なパーティが開かれた。トモヤの姿こそ無かったが、スフレは仲間達の励ましを思いっきり受けて、自信で胸を満たすことが出来たのだった。
翌日。スフレはトモヤ宛の手紙を残して、ギルドを出発した。自分は西の大陸へ出かけているから、修行から戻ったら待っていてくれ、と。
「では、行きましょうか。ユリネさん。」
「ん…」
と、二人の少女が街の門を出ていこうとしたその時。二つの影がバッと二人の前に現れた。
「む…!?」
「だ、誰ですか…?」
が。スフレの困惑の表情はすぐに明るい笑顔へと変わる。
「私達よ。私達。」
「仲間だと言うのに、置いていくというのは無いだろう?」
変態痴女に、緑の竜騎士。スフレと共に戦った頼もしい仲間達である。
「トレファさん、イチゴさん!…き、来てくださるんですか…?」
「とーぜんよ。スフレちゃんがいなかったら、私達も暇だしね~」
「トレファに同意だな。それに、アクィオンの非道を許せない、というのもあるな。」
二人の編入に、スフレの顔はより一層明るくなる。いつもの三人で、また旅ができる。楽しくなりそうだ。と期待を膨らませていた。
「そういう訳だから、私達も同行するわ。宜しくね、ユリネちゃん。」
「…お姉さんは…香水臭い…」
握手を求めるトレファを、ぶんぶんと拒絶するユリネ。イチゴとは、難なく握手してくれた。
「なー!こ、香水は付けてないわよー!踊り子の付ける化粧があって…!」
なんだかんだ、相変わらずな三人。果たして、今度はどんな旅になるのだろうか。
「はぁ…はぁ…」
スフレもイチゴも、驚きを隠しきれなかった。スフレはあれ程の必殺技を放ったイチゴを、イチゴはそれを完璧に相殺した禁術を、互いに驚いていたのだ。
トゥハイフリズスキャルヴ・オーバーロード。イチゴが放ったその閃光は、無惨に地面を焼き付くし、黒焦げの道を作り上げていた。模擬刀ですらこの威力なのだから、真剣でやれば更におぞましい必殺技と化すだろう。
「わかった。魔法少女の力は認めよう。これなら、アクィオンとやらも倒せるかもしれないな。」
イチゴは模擬刀を収めると、満足そうに微笑む。
『目的の遂行を確認。武装解除します。』
と。ステッキが喋ると同時にコスチュームが普段の服へと戻る。どうやら、目的が果たされると自動で元に戻るらしい。
「…い、生きててよかった~…」
へたり、とその場に座り込むスフレ。それもそうだ、あんな威力の必殺技、そうそうお目にかかれるものでは無い。生きていただけでも奇跡と呼ぶべきだろう。
「二人とも…凄い…アクィオンも倒せるかも…!」
と。ユリネは嬉しそうに言う。
「えへへ。そうでしょうか?」
「うん!早速、来て欲しい…西の大地に!」
「西の大地…」
西の大地。元々は平和な大陸であったが、ユリネの話ではアクィオン達がのさばっている地で、今や国土の大半がアクィオンによって統制されている場所になっていると言う。
「わかりました。早速準備をして、明日には出発しましょうか!」
ドンと来い、とスフレは胸を張る。本当はトモヤに頼りたい気持ちはあったが、今のトモヤは無敵の盾を持っていない。その為、最低限、世界を守る力を手に入れるために東の地へと修行に赴いている。その邪魔をする訳にはいかない。
「ありがとう…スフレ…さん…!」
そして、その夜。スフレが征伐に出かける前の見送りとして、盛大なパーティが開かれた。トモヤの姿こそ無かったが、スフレは仲間達の励ましを思いっきり受けて、自信で胸を満たすことが出来たのだった。
翌日。スフレはトモヤ宛の手紙を残して、ギルドを出発した。自分は西の大陸へ出かけているから、修行から戻ったら待っていてくれ、と。
「では、行きましょうか。ユリネさん。」
「ん…」
と、二人の少女が街の門を出ていこうとしたその時。二つの影がバッと二人の前に現れた。
「む…!?」
「だ、誰ですか…?」
が。スフレの困惑の表情はすぐに明るい笑顔へと変わる。
「私達よ。私達。」
「仲間だと言うのに、置いていくというのは無いだろう?」
変態痴女に、緑の竜騎士。スフレと共に戦った頼もしい仲間達である。
「トレファさん、イチゴさん!…き、来てくださるんですか…?」
「とーぜんよ。スフレちゃんがいなかったら、私達も暇だしね~」
「トレファに同意だな。それに、アクィオンの非道を許せない、というのもあるな。」
二人の編入に、スフレの顔はより一層明るくなる。いつもの三人で、また旅ができる。楽しくなりそうだ。と期待を膨らませていた。
「そういう訳だから、私達も同行するわ。宜しくね、ユリネちゃん。」
「…お姉さんは…香水臭い…」
握手を求めるトレファを、ぶんぶんと拒絶するユリネ。イチゴとは、難なく握手してくれた。
「なー!こ、香水は付けてないわよー!踊り子の付ける化粧があって…!」
なんだかんだ、相変わらずな三人。果たして、今度はどんな旅になるのだろうか。
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