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番外編 サブストーリー
7話「新たなる旅立ち」
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「い、いえ、私はそんな…大層な者では…」
と、否定しようとするスフレを他所に、泣きじゃくっていたステッキが突如誇らしげに騙り始める。
『その通り!この御方は我が主、ミクス=スフレ様にあらせられます。そしてその正体は、私、アルケリオを駆使せし魔法少女でございます!』
この杖アルケリオって言うんだ~、と思いながら、スフレはステッキの話を聞いていた。対して少女は、アルケリオの話をそれはそれは感激したように聞いていた。
「やっぱり!貴女が伝説の魔術師ね!良かった…本当に良かった…」
少女は感極まってか、ぐすんぐすんとその場で泣き始めてしまう。スフレは自分が伝説の魔術師みたいな扱いになってしまって困り果ててしまったが、もう後には引けないと諦め、覚悟を決めるのだった。
「そ、そうですね。…私が伝説の…魔術師スフレです!貴女の村を滅ぼしたアクィオンは、私が倒して差し上げますよ!」
『いえ、我が主は魔法少…』
喋ろうとするステッキ…アルケリオを制してスフレは少女を見つめる。もうヤケだ。全部請け負ってしまえ。と、トモヤばりに思い切った行動に出る。
「ありがとう…ありがとう…!」
「良いんですよ。…えっと、そう言えば、お名前聞いていませんでしたね。貴女のお名前は?」
「私は…ゴルバ=ユリネ。ユリネって呼んで。」
ユリネと名乗った少女は涙を拭きながら、スフレに何度も頭を下げる。余程、伝説の魔術師が現れたのが嬉しかったのだろう。
「わかりました。ユリネさん。これから、よろしくお願いしますね!」
「…うん…お願い…します…!」
こうして、スフレはアクィオンを倒すべく、新たなる旅路を踏み始めた。平和になった世界を脅かす悪を滅す、魔法少女の旅立ちだ。
…
それから少しして。傷が癒えたユリネと共に、スフレはトレファ達と共に作戦会議を始めていた。アクィオンはどんな所で活動を行っているか。どんな風に魔物を襲うのか。大元は何処に存在しているのか。共に話し合った。
「…でもスフレちゃん、ほんとに行くの?アクィオンなんて得体の知れない部隊を相手に戦うんでしょ…?」
トレファも仲間として、スフレの事はとても心配している。当然、共に激戦を潜り抜けてきたイチゴも同様だ。
「はい。私も、戦うのは苦手ですけど…それでも、ほっておく訳にはいかないんです。」
「…しかしスフレ。聞いた限りでは、魔法少女として戦う理由が見つからないぞ。私達の攻撃でも、辻斬りやアクィオンやらは倒せるのだろう?」
イチゴはイチゴで、魔法少女という存在を疑問視していた。それもそうだ。「ただ見た目を変化させて身体能力を向上させる」と言うだけなら、スフレの全体的な能力は他の冒険者と大差はない。
「…それは…そうなのですが…」
魔法使いとして戦うならば、スフレは全力で戦える。だが、魔法少女では上手く魔法が操れないのだ。
「…それなら…心当たりがある。スフレの攻撃を受けた時…少しだけ温かい感じがしたの…」
「…そうか…ユリネ殿が必要と申されているなら、何処かで必ず力となる時が来るのだろう。」
どうも腑に落ちない様子で、イチゴは引き下がる。それを見て、アルケリオは得意げに語りかける。
『ほほぉ?魔法少女の力を信じられない様子ですね。我が主、あの方に魔法少女の真価をバーンと見せてやりましょう!』
「えっ!?い、イチゴさんに…?でも、私じゃイチゴさんにはとても…」
『敵いますよ。私が断言致します。それどころか、魔法少女となれば貴方様はあの竜騎士を一歩も二歩も更に上回れます。』
自信たっぷり、というか自信過剰にも程がある発言。挑戦的な発言にイチゴも反応し、その激しい闘志を燃やす。
「私を上回る…か。面白い。相手になってやろう。」
「えっ!い、いや、そんな悪いですよ…それに私は…」
『よーし決まりです!さあスフレ様、外へ参りますよ!あの竜騎士をうちのめしてやりましょう!』
「え、ちょ、ちょっとぉぉぉ!!」
気合い十分なステッキと対照的に、全くやる気のないスフレが引っ張り合いながら外へと歩き出すのだった…
と、否定しようとするスフレを他所に、泣きじゃくっていたステッキが突如誇らしげに騙り始める。
『その通り!この御方は我が主、ミクス=スフレ様にあらせられます。そしてその正体は、私、アルケリオを駆使せし魔法少女でございます!』
この杖アルケリオって言うんだ~、と思いながら、スフレはステッキの話を聞いていた。対して少女は、アルケリオの話をそれはそれは感激したように聞いていた。
「やっぱり!貴女が伝説の魔術師ね!良かった…本当に良かった…」
少女は感極まってか、ぐすんぐすんとその場で泣き始めてしまう。スフレは自分が伝説の魔術師みたいな扱いになってしまって困り果ててしまったが、もう後には引けないと諦め、覚悟を決めるのだった。
「そ、そうですね。…私が伝説の…魔術師スフレです!貴女の村を滅ぼしたアクィオンは、私が倒して差し上げますよ!」
『いえ、我が主は魔法少…』
喋ろうとするステッキ…アルケリオを制してスフレは少女を見つめる。もうヤケだ。全部請け負ってしまえ。と、トモヤばりに思い切った行動に出る。
「ありがとう…ありがとう…!」
「良いんですよ。…えっと、そう言えば、お名前聞いていませんでしたね。貴女のお名前は?」
「私は…ゴルバ=ユリネ。ユリネって呼んで。」
ユリネと名乗った少女は涙を拭きながら、スフレに何度も頭を下げる。余程、伝説の魔術師が現れたのが嬉しかったのだろう。
「わかりました。ユリネさん。これから、よろしくお願いしますね!」
「…うん…お願い…します…!」
こうして、スフレはアクィオンを倒すべく、新たなる旅路を踏み始めた。平和になった世界を脅かす悪を滅す、魔法少女の旅立ちだ。
…
それから少しして。傷が癒えたユリネと共に、スフレはトレファ達と共に作戦会議を始めていた。アクィオンはどんな所で活動を行っているか。どんな風に魔物を襲うのか。大元は何処に存在しているのか。共に話し合った。
「…でもスフレちゃん、ほんとに行くの?アクィオンなんて得体の知れない部隊を相手に戦うんでしょ…?」
トレファも仲間として、スフレの事はとても心配している。当然、共に激戦を潜り抜けてきたイチゴも同様だ。
「はい。私も、戦うのは苦手ですけど…それでも、ほっておく訳にはいかないんです。」
「…しかしスフレ。聞いた限りでは、魔法少女として戦う理由が見つからないぞ。私達の攻撃でも、辻斬りやアクィオンやらは倒せるのだろう?」
イチゴはイチゴで、魔法少女という存在を疑問視していた。それもそうだ。「ただ見た目を変化させて身体能力を向上させる」と言うだけなら、スフレの全体的な能力は他の冒険者と大差はない。
「…それは…そうなのですが…」
魔法使いとして戦うならば、スフレは全力で戦える。だが、魔法少女では上手く魔法が操れないのだ。
「…それなら…心当たりがある。スフレの攻撃を受けた時…少しだけ温かい感じがしたの…」
「…そうか…ユリネ殿が必要と申されているなら、何処かで必ず力となる時が来るのだろう。」
どうも腑に落ちない様子で、イチゴは引き下がる。それを見て、アルケリオは得意げに語りかける。
『ほほぉ?魔法少女の力を信じられない様子ですね。我が主、あの方に魔法少女の真価をバーンと見せてやりましょう!』
「えっ!?い、イチゴさんに…?でも、私じゃイチゴさんにはとても…」
『敵いますよ。私が断言致します。それどころか、魔法少女となれば貴方様はあの竜騎士を一歩も二歩も更に上回れます。』
自信たっぷり、というか自信過剰にも程がある発言。挑戦的な発言にイチゴも反応し、その激しい闘志を燃やす。
「私を上回る…か。面白い。相手になってやろう。」
「えっ!い、いや、そんな悪いですよ…それに私は…」
『よーし決まりです!さあスフレ様、外へ参りますよ!あの竜騎士をうちのめしてやりましょう!』
「え、ちょ、ちょっとぉぉぉ!!」
気合い十分なステッキと対照的に、全くやる気のないスフレが引っ張り合いながら外へと歩き出すのだった…
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