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番外編 サブストーリー

3話「魔法少女☆スフレちゃん」

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「ど、どうなって…!?」

「スフレちゃん!」

咄嗟にレーバが叫ぶ。スフレに任せて解呪の魔法を練っている為に仮面の人間が解放され、スフレに向かって突撃を始めていたのだ。

「アクィオンは…絶対なり…!」

「ひっ!」

魔道本で魔法を使用していたスフレは杖だけで咄嗟の攻撃が出来ず、慌てて腕でガードを行う。

『訂正者。主の生命的危機を確認。自動防衛を行います。』

──ガィィィン!!!

「…」

「えっ…?」

展開されたのは、バックラーの様な魔力で作られた円形の防壁。仮面の人間の攻撃を完璧に弾いている。

『我が主。戦闘準備を。』

「え、あ、はい!(こ、これって…トモヤさんの…)」

防壁が消滅し、再び仮面の人間と相対する。仮面の人間は刀を拾い上げ、スフレの方へと刃を向ける。

『我が主の意志を確認。これより、戦闘形態フルコスチュームに移行します。』

「ふ、フルコスチューム…?」


───ピカッ!


と、辺り一面が眩しくフラッシュし、スフレの身体が眩しい光に包まれていく。凄まじい光に目が暗みそうになりながら、スフレは自分の身体に起こっている出来事に驚愕していた。

───ポンッ!

と、今まで着ていた服が弾け飛び、その分子を再構成して作り上げたようなキャピキャピした服が身体を包み込んで行く。ヒラヒラのミニスカートにへそ出し脇出しの「これ狙って作ったよね」的な服装へとスタイルチェンジしていくのである。

「な、な、なんですかこれぇぇぇっ!?」

『武装完了。魔法少女☆スフレ、ここに爆誕です。』

「「ま、魔法少女~!?」」

と、近くにいたレーバまでビックリして叫ぶ。あまりにも唐突というかミスマッチというか…なんとも言えない感覚に二人は愕然としている。

『我が主。来ますよ。』

「そ、そうですね!やらないと!」

とはいえ、今は戦闘中。魔法少女云々に一喜一憂していては殺されかねない。スフレが意識を戦闘に向けるとほぼ同時に、仮面の人間の一太刀が振り下ろされる。

「きゃっ!」

──ビュン!

と、刀の一撃が空を切る。洗脳されているとはいえ、凄まじい一撃。かなりの腕前を持っているだろう。

「よ、避けられました…」

が、唖然としているのはスフレの方。今まで防御は全てトモヤが担っていた為、スフレは自分自身で攻撃を避けた経験が少ない。それこそ、スライムの体当たりすら上手く避けるのは難しいだろう。

『肉体的能力の向上を確認。武装は成功したものと判断します。』

「肉体的…こ、この杖、私を強くしてくれたんですか…!」

スフレが驚いているのも束の間。仮面の人間は刀を振り上げ、スフレの眼前へと迫っていた。

「わわっ!」

──ビュッ!

─ガィィィン!!

スフレが慌てて両手を上に掲げると、先程のバックラーの様なシールドが作り出され、刀の攻撃を再び防いだ。

『虚影魔術、使用可能と判断。我が主は魔法少女として確立されました。』

だから魔法少女ってなんなんですか!?とツッコミたくなったが、それどころでは無い。レーバが魔法を完成させるまで戦わなくては。

「炎よ、我が手に…!」

基本的にウィザードは、魔道本が無い時は、簡易的な魔法しか使用出来なくなる。だからこそ、スフレは腕に魔力を集めて炎を作り上げたのだが…

──ゴォォォッ!!!

いつしか魔法の威力を間違えて図書館の天井を突破った時の如く、凄まじい炎が立ち登ってみるみるうちに天まで登って行くのだ。これでは相手を焼き尽くしてしまうかもしれない。

「す、ストップストップです!もっと弱く弱く!」

そう言うと、炎の威力は弱まり、大方平均的な魔法のそれに近くなる。これなら攻撃も程よく足止めをしてくれるはずだ。

火炎防壁ファイアウォール

スフレは炎を地面に薙ぎ払い、ぐるっと器用に仮面の人間の周りを一周させて炎を立ち登らせる。拘束魔法の一種、ファイアウォールだ。周囲を炎に囲まれた仮面の人間は、何も出来ず硬直する。

「ナイスよスフレちゃん!さぁ、ハイキューケン、行くわよぉぉっ!」

一部始終を唖然としながら見ていたが、ようやく解呪の魔法が完成したレーバは球体状の魔力作り上げ、スフレの方に放り投げる。

「トスよ!」

「は、はーい!」

──ポンッ!

と上手く魔法の球をスフレがトスし、ふわりと魔力の球が上空へと浮かび上がる。

「アターック!!」

『ハイキューケン』

──ドボォッ!!

と、Uの字にぐんにゃり曲がったボールは一気に加速し、スフレの作りあげた炎を切り裂いて仮面の人間の顔にドガッと直撃する。

「…!」

ドサッ、と仮面の人間が倒れると、炎の壁はすうっと姿を消し、スフレの着ていた武装も解除される。どうやら、戦闘に打ち勝ったようだ。

「決まったわねー!」

「い、いえーい!です!」

一応、打ち合わせでは決まったらハイタッチするのがお約束になっている。が、二人は正直、この杖の事の方が気になっていた。

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